漢字の現在 リアルな文字生活と日本語

  • 三省堂 (2011年8月25日発売)
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784385365244

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  • 筆者の笹原宏之さんは、漢字、とりわけ国字の専門家で、『国字の位相と展開』(三省堂)という国字に関する厚い専門書を出している。もっとも、ぼくが最初に笹原さんを知ったのは岩波新書の『日本の漢字』を読んだときで、いい意味での「漢字オタク」の存在に驚嘆した。本書は、笹原さんが三省堂のホームページの連載したものをまとめたもので、第一章は現代日本の漢字のさまざまな姿の観察記録であり、第二章は「海外から見た・海外に見る漢字の現在」である。本書の副題が「リアルな文字生活と日本語」とあるように、日々の生活に見る漢字の諸相はとても興味深い。ただ、ぼくとしては第2章がとりわけ印象的であった。それは、ベトナム、韓国、中国の漢字、漢語のリアルな報告で、ベトナム語、韓国語では、それぞれの言語の漢字で書かれない漢語の実態に迫っていて、田中克彦さん(『漢字は日本語を滅ぼす』)ではないが、漢語は必ずしも漢字で書かれる必要はないということばを思い出した。円(圓)と元とウォンが同じであることの指摘はなるほどと思ったが、圓が硬貨でのみ元と書かれ、お札で元と書かないのはなぜかまだ疑問が残る。

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著者プロフィール

早稲田大学社会科学総合学術院教授
1993年早稲田大学文学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(文学)。
専門は日本語学(文字・表記)、社会言語学(文字論)、漢字学。

「2022年 『漢字系文字の世界 字体と造字法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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