- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784385365244
作品紹介・あらすじ
漢字は中国の文字である。そして漢字は象形文字である。漢字は表意文字である。漢字は奥深く、記号とは違うものだ。ゆえに漢字は表現力に富む。漢字を使うと単語を強調して表現できる。…漢字に関する言説は、世上にかくのごとく、決まり文句やときに格言のようになって流布している。どれをとっても、その通りだと言えそうだが、実際に日本で使用されている一つ一つの漢字に、きちんと当てはまるものだろうか。漢字には多面性が付与されており、個々の例をよく観察したならば、すぐに疑問を差し挟まざるをえないものが目の前にあったことに気付くに違いない。-では、日本の漢字とは何なのか。
感想・レビュー・書評
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筆者の笹原宏之さんは、漢字、とりわけ国字の専門家で、『国字の位相と展開』(三省堂)という国字に関する厚い専門書を出している。もっとも、ぼくが最初に笹原さんを知ったのは岩波新書の『日本の漢字』を読んだときで、いい意味での「漢字オタク」の存在に驚嘆した。本書は、笹原さんが三省堂のホームページの連載したものをまとめたもので、第一章は現代日本の漢字のさまざまな姿の観察記録であり、第二章は「海外から見た・海外に見る漢字の現在」である。本書の副題が「リアルな文字生活と日本語」とあるように、日々の生活に見る漢字の諸相はとても興味深い。ただ、ぼくとしては第2章がとりわけ印象的であった。それは、ベトナム、韓国、中国の漢字、漢語のリアルな報告で、ベトナム語、韓国語では、それぞれの言語の漢字で書かれない漢語の実態に迫っていて、田中克彦さん(『漢字は日本語を滅ぼす』)ではないが、漢語は必ずしも漢字で書かれる必要はないということばを思い出した。円(圓)と元とウォンが同じであることの指摘はなるほどと思ったが、圓が硬貨でのみ元と書かれ、お札で元と書かないのはなぜかまだ疑問が残る。
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