二十億光年の孤独

著者 :
  • サンリオ
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784387922070

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  • 谷川俊太郎デビュー詩集ということで
    彼の原点を知りたくなり,手に取ってみた。

    すると,
    私の中で知っている
    「谷川俊太郎さんの詩」よりも
    ずっとずっと
    暗い空気が満ちていて
    おどろいた。

    ―――――
    (P74)『二十億光年の孤独』
    人類は小さな球の上で
    眠り起きそして働き
    ときどき火星に仲間を欲しがったりする

    火星人は小さな球の上で
    何をしてるか 僕は知らない
    (或はネリリし キルルし ハララしているか)
    しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
    それはまったくたしかなことだ

    万有引力とは
    ひき合う孤独の力である

    宇宙はひずんでいる
    それ故みんなはもとめ合う

    宇宙はどんどん膨らんでゆく
    それ故みんなは不安である

    二十億光年の孤独に
    僕は思わずくしゃみをした

    (P76)『日日』
    ある日僕は思った
    僕に持ち上げられないものなんてあるだろうか

    次の日僕は思った
    僕に持ち上げられるものなんてあるだろうか

    暮れやすい日日を僕は
    傾斜して歩んでいる

    これらの親しい日日が
    つぎつぎ後へ駈け去るのを
    いぶかしいようなおそれの気持でみつめながら

  • 谷川俊太郎さんの処女詩集。
    10代後半に作った詩が載っている。
    やはりこの時代に若くして本が出版される人は親のパワーが強いという背景があるな。

    後半に拾遺として漏れた詩を載せているけれど、やはり長々と具体的に書いたものは「詩」としては二流だと感じた。
    中二病的な詩人が多いなか、詩は基本的に中二病の産物ではありながら、未来への希望も感じられる清々しさが良かった。

    しかし、これは戦後間もない頃の作品集。
    詩は憂いがあってこそ響くところがある。
    戦争が過去のものとなり、世紀末からも20年が過ぎた今、詩が昔ほど流行らないというのは仕方がないようにも感じました。

  • 谷川俊太郎の有名な処女詩集。18才の頃から綴り始めたノートを21才で上梓したという。なんて初々しく瑞々しく、そして悲しく透き通っているのだろう。詩を読むときってどうしてかいつもなぜか畏まってしまうのだけれど(その緊張感がとても好きなのだけれど)、肩ひじ張らずにゆるりと読むことができた。しゃちこばらず素直にいいと思えた。「あの青い空の波の音が聞こえるあたりに/何かとんでもないおとし物を/僕はしてきてしまったらしい//透明な過去の駅で/遺失物係の前に立ったら /僕は余計に悲しくなってしまった」(かなしみ)

  • 若くてとがっていて恥ずかしい。

  • 「それ」を目にした瞬間に
    電光のごとく体中を駆け(抜けて)行く思い。

    穴だらけである言葉の網で、掬いとるのは至難のワザだが、
    詩人の網はいつでも手入れを怠らずにいるのだろう。


    いまだピチピチと言葉が生きている
    谷川俊太郎先生初期の頃の詩集。

  • 谷川俊太郎さんが十代のころ書かれた詩集です。
    谷川さんの詩は、一見やさしいことば遊びのような感じを受けますが、意味が深くて鋭くて…いろいろ考えさせられます。
    同じ十代のうちにぜひ読んでほしい。(ima)

  • 小学生の時にもらった本だけど、大学生になって読み返すと全然違う。「祈り」や「電車での素朴な演説」「天使は」などは今ならよくわかる。「かなしみ」、「机上即興」、「秘密とレントゲン」「山荘だより」が好きだけど、全部の作品が好きでなかなか選びきれない。

  • お風呂の中でしたオナラが「ポコっと」出るように、詩を思いつくことがあるそうです。パチパチパチ。

  • 若い頃の谷川先生
    「宇宙はどんどん膨らんでいく それゆえみんなは不安である」

  • 2010.05.02 図書館
    2010.05.04 読了
    谷川氏の最初期作品なのね。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。詩人。1952年、21歳のときに詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など幅広く活躍。主な著書に、『谷川俊太郎詩集』『みみをすます』『ことばあそびうた』「あかちゃんから絵本」シリーズ、訳書に『スイミー』等がある。

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