サイゼリヤ革命―世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話

著者 :
  • 柴田書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784388153268

感想・レビュー・書評

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  • 失敗しても倒産しなければいい、創業者の母親の全ては自分に責任があるとの姿勢、無償でも仕事を覚えられるからいい、みんなで仲良くなんて無理だから、そうでなくても回る仕組みを作る、人間は疲れるから人間工学的に分析さりして疲れないようにする仕組みを作るなど、たいへん面白かった。

  • 今では誰もが知っているサイゼリヤ。
    その創業者「正垣泰彦」氏の学生時代から現在までを著者「山口芳生」氏が正垣氏にインタビューして書かれた本だ。

    サイゼリヤは当初千葉の本八幡という街から始まった。

    その頃はイタリアンという食べ物が全く知られていなく、パスタ(スパゲティ)といえばナポリタンぐらいしかない時代だったらしい。

    そんな時代にお店を流行らせたのは、やはり「価格」だった。

    最初は3割引に、そして5割、最後には7割引きの価格で提供したという。

    目の前に流行りの八百屋さんがあり、列が出来ている建物の2階という入りにくい立地にも関わらず、次第にサイゼリヤへお客さんが入ってくるようになったという。

    やはり、立地が悪いからお客さんが少ないんだと諦めるのではなく、どうやったらお客さんが入るのかを考え、工夫することがうまくいくコツだなと感じた。

    そして、現在も創業時の価格で料理を提供しているということにも驚いた。
    他店が増税などで値上げしていく中、サイゼリヤだけは価格をほとんど変えなかったという。

    利益重視でなく、お客さんが喜ぶことを一番に考えているからこそ出来たことだなと感心した。

    その安さから、サイゼリヤの料理は「安物」のイメージがついてしまっている。

    ただ、他のお店でこのレベルの料理を出すなら倍以上の価格になっているのではないだろうか。

    また、食べ方も、単品だけ頼むのではなく、オードブルからドルチェまで、コースを自分なりに選んで食べるということを推奨している。
    そうすることで料理同士が引き立て合うらしいので、今度サイゼリヤに行く際は色々なメニューを食べてみようと思った。

  • ■高校生の時、ミラノ風ドリア+フォッカッチャ+ドリンクバーで3時間ぐらい居座った記憶が強いサイゼリア。こんなにも食への想いが強い企業だったとは・・・。
    ■サイゼリアは確かに安くてうまいが、中高生のたまり場的な存在になっているイメージがあるのはサイゼリア発祥の千葉県市川市育ちの自分だけだろうか?ブランディングよりも、みんなにおいしいものを食べてもらうことを優先しているからOKなのだろうか。
    ■大人〜シニア向けに「コースメニュー」があるといいのでは?

    <抜粋>
    ・相対性理論で価格を見る
    →イタリアでは200円で食べられているものが日本に来ると2000円で売られている
    ・単品が安いのはメニューコーディネートを楽しんでもらいたいから
    →事実、サイゼリアの料理はワインや前菜などを組み合わせて食べたときに一番おいしくなるように設計されている
    ★2000円前後のコースがあれば結構食いつくのでは?
    ・価格帯のクリティカルポイント(臨界点)は存在する
    ・イタリア料理は世界で1番味付けが少ない
    ・野菜や果物は体のためにも毎日食べるべきなのに日本のは甘すぎる。甘さが旨さだと思っているから。
    ・オーブン:バッチ式→コンベアー式
    ・科学的思考能力のある人間は「数値化」できる能力があるから採用する
    ・目の前で起こっていることをありのまま受け取る=物理学
    ・カミッサリー:ポーションコントロールとディストリビューション機能
    ※プラントは大量生産工場
    ・中国での出店も「独立資本」にこだわった
    →理念を貫くため
    ・サイゼリア基本理念「人のため、正しく、仲良く」
    →一時的な義援金拠出よりも永続性のある社会貢献を

  • 何事も「想い」だよね!

  • 「人のために」を考えると力が湧いてくる 失敗を重ねなきゃ、成功なんてありえない なず相手を大きくし、その後恩恵を享受 

  • 飲食店にとって、重要なポイントである「おいしさ」の定義を、サイゼリアでは「毎日食べても飽きない」に定めてある。
    そして、毎日でもお財布に優しいをテーマに、経営にブレイクダウンしているのが素晴らしいなあと。

    元々がレストラン雑誌の著者が執筆しているだけあって、随所に「宣伝色」があるが、さして気にならず。

  • 成功者の軌跡には得るものがある。

  • 最近ファミリーレストランでの外食が少ないので、サイゼリアに行ったのは結婚する15年程前になるでしょうか。この本を読むまでは、サイゼリアと他の外食レストランとの違いを理解していませんでしたが、この本に書かれている創業者(正垣氏)の理念を読んで素晴らしいと思いました。

    また正垣氏は東京理科大で学んでいますが、この業界の経営者としては珍しいでしょう。同じ理系として、さらに効率的な作業を研究する「動作研究」を経営に取り入れた点、計画生産で農業に取り組むなど、経営工学の知識が随所に取り込まれている点等に共感しました。機会を見つけてサイゼリアで食事をしてみたいです。

    以下は気になったポイントです。

    ・多くの外食産業は「自分たちの店はどうあるべきか」という哲学から出てきた低価格ではなく、場当たり的なもの(p13)

    ・サイゼリアにおける価格引き下げは、あくまでゴールに向かうための道標である(p25)

    ・日本では洋食系の外食産業は「脳をびっくりさせる」ことで成り立っていた、毎日食べるものではなく、誕生日を祝うなど、いつもとは違うものを求めるときに食べるもの(p39)

    ・正垣の仮説は「味とは速度である」、その国独自の味の体系があり、その体系から他国の味を判断しているから、味の受け止め方がかわってくるので速度(計測する場所で変わる)と同じ(p41)

    ・サイゼリアの料理は基本的には、ワインや前菜、フォカッチャ等と組み合わせて食べた時に一番おいしくなるように設計されている(p44)

    ・米の水軍含有量が異なると同じ量の水でも炊き上がりが異なるので、専用精米工場ではその日に精米する米の水分含有量を調べて、1パックの米粒量を決めている(p55)

    ・客のクレームを減らすために、包丁作業・仕込み作業・火加減を店の調理場からなくす努力をした(p63)

    ・目指した人時生産性は5000円、労働分配率を50%とするなら、残業なしの基準内賃金で社員一人に500万円の給料を払うために、一人当たり年間1000万円の粗利益必要、これを年間総労働時間の2000時間で割ると5000円となる(p64)

    ・サイゼリアの商品提供が速いのは、効率化された生産性の高い厨房と調理システムを組み合わせているから(p73)

    ・商社経由で仕入れたいたスパゲティはキロ270円だったが、直輸入に切り替えて130円と半額以下になった、日本では高級食材と言われているものの現地では高いものではない(p89)

    ・福島県白河市周辺に農作物の一大生産拠点を持っている、面積は280ha(東京ドームの62倍)である(p98)

    ・サイゼリアの提案する農業は、店舗で必要な分だけを生産する計画生産なので、収穫した全量は買い上げられる(p108)

    ・43歳は人生のターニングポイント、43歳でタネをまき、ずっと精進し続ければ10年後に花が咲く、43歳のときに何をするかが大事(p116)

    ・繁盛店は良い店とされず、原理原則から外れてた店として、早急に近隣に出店して集中したお客を分散させる(p126)

    ・飲食ビジネスの利益率が低い(銀行利率以下)のに飲食店をやるのは、脱税で成り立っているからと気づいた(p133)

    ・数字に置き換えられるとは、標準化ができる、すると問題点の発見も容易になり改善の効果も明らかになる(p134)

    ・苦労や問題というのは自分を成長させるために起きているので、正面から受け止めるべき(p156)

    ・ROI(投資回転率と売上高経常利益率の積算)を20%にするには、回転率が1の場合(売上=投資額)は利益率を20%確保、回転率2の場合は10%で達成できる(p189)

    2011年11月26日作成

山口芳生の作品

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