人と思想 129 ツェラーン

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  • 清水書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784389421298

作品紹介・あらすじ

ユダヤ人ツェラーンの原体験は第二次世界大戦中の迫害,なかんずく強制収容所での両親と同胞の死である。非人間的な極限状況を生きのびた詩人はアドルノがいうアウシュヴィッツ後の不可能な時代にあって,詩の可能性を追求した。彼は倒錯的ともいえる強い信念をもって,新たな現実と対話としての詩の相手を求めて一歩を踏み出す。解体した言葉と世界は新たな結合のもとに,可能的な言葉世界へと再構築される。本書では,ともすれば消極的になるツェラーン読解を反転させ,肯定的・積極的な面を解明する姿勢を貫こうとする。

感想・レビュー・書評

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  • 評伝部分は充実。ツェランの生まれた街の成り立ちからそこでのユダヤ人の地位、文化的状況から説きおこし、それがツェランに与えた影響に始まり、青年時代、収容所時代、戦後からその死まで簡潔に知ることができた。詩論の部分は、ドイツ語にも詩にもうとい身には難解だった。詩集「誰でもないものの薔薇」、特に「頌歌」の解釈が気になってただけの身には。かろうじて、自分の内面を掘って掘って掘った先に、否定の、否定の、否定の言葉を連ねてそこを突き抜けた先に何かをつかもうと/つかんだものを提示してくれたのかな、と思った。◆想起としての詩が得られるためには体験が砕かれ、搾られることが前提となることが明らかになった。知覚や思考がまず忘却の夜の中に沈まなければならないのである。そしてそれは言語の解体を経験するということである。p.104◆ツェラーンの詩は語りかける相手をあらかじめ持たない。そしてその無所有を究極まで深化させることにより、かえって無の対話者を可能性として出現させるのである。即ち時は無の人 (niemand) と対話し、「握手」することになる。p.171

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著者プロフィール

JAXAで小作成探査機「はやぶさ」や、太陽系系惑星探査実証機「イカロス」等の開発に携わる。「イカロス」では開発責任者・プロジェクトマネージャーとして手腕を発揮。JAXAの若きリーダーの一人である。

「2016年 『世界初の宇宙ヨット「イカロス」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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