- Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
- / ISBN・EAN: 9784391126488
感想・レビュー・書評
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こんな小説、こんな作家があったのかと感銘を受けた。
私は男だ。
しかし、ここに描かれる「女」に妙に納得するのだ。
女が描く女たち、その全てが著者の経験に基づいて産み出された存在である。
そこにあるのは病的なまでに女であること。
いやはや脱帽。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者の菜摘ひかるは、2002年に29歳で急逝している。
だからもう、彼女の新刊を読むことはない。
残念に思う。
著者の実体験も織り交ぜながら、まるで心のあちこちから
血を噴出しながら綴られたようなこの小説は、
読んでいてものすごく痛いのだけれど、引き込まれる。
読み終えて、愛情飢餓という言葉が浮かんだ。
認められたい。
必要とされたい。
ほかの誰かではなく、自分だけを見てほしい。
でも、無償の愛なんて得られなかった。
金か。性か。どちらかでしか、気さえ引けなかった。
だから、この子達は自分を自分で壊しながら生きるしかなかった。
私と主人公達の生き様は、まるで異質なものではあるが、
それでも彼女達に対して沁み込むように共感できてしまうところがある。
それが、「女」というものの本質なのかもしれない。 -
菜摘ひかるは僕の憧れの作家でした。本当にありがとうございました。とてもおもしろく拝見させてもらいました。大好きです。ありがとう。天国で安らかに過ごしてください。自分を傷つけないよう心から願っています。さようなら。
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依存
とは、生活の中で必ずや何処かしら、何かしら、誰かしらにしているものだと思う。
要はその矛先ですよね
わたし的には
ありえない世界感ではなかったので、ゾッとしながらドキドキしながら読み終えました。
好きな作品です。 -
これは小説ですけど、基本的にこの人はどんな媒体でも同じことを書いてる。と思う。
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リアルすぎてどうしようかと思った。
ホスト、買い物にハマるのが今までよく分かんなかったけど、少し理解できた気がした。 -
「どうして菜摘さんは死んじゃったの!!」と、もうどうしようもないことで気持ちを揺さぶられた1冊。
そこに居なければ生きられないから働く、悲しさを正面からぶつけられた。
何処にも逃げ場がないと思う本。
情緒不安定な人は安定している時、もしくは読了後に絶対に一人にならずに済む環境で読むことをオススメします。 -
面白いけど暗に引き込まれる系。
弱くて痛い女の子たちの話。 -
足りないものがあるのに、それが何かがわからない。
悲しい気分なのに、理由がわからない。
その喪失感を埋めるべく、努力して努力して努力するけど、結局は何も残らない。どうして?
そんな物語。
痛くて辛いけど、共感する。共感してしまう。
菜摘ひかるさんにとって、この世の中が苦しいものだけでなかったなら幸いです。
ご冥福をお祈りします。 -
『本当の顔はどこ?』整形したものの、ますます被害妄想に取り付かれる女性の話。
『夢がみたいの』ホストに溺れて沈んでしまった女性の話。
『買って買われて』買い物と過食で、心の隙間を埋め傷を癒そうとする女性の話。
『ただ、欲しかった』他人と身体を交わる事を拠り所にし、セックスしていないと不安で不安で堪らない女性の話。
『依存姫』の4篇の主人公は、中村うさぎ系の女性達だと思った。中村うさぎも、整形・ホスト依存症・買い物依存症・風俗嬢と、『依存姫』の主人公達に似た病に罹っているのだ。これらの依存症は、「自分自身を愛せない」という根本的な原因から来ている。中村うさぎと『依存姫』の主人公達の違いは、中村うさぎは依存症に足掻く事すら快楽になっているのに対して、『依存姫』の主人公達は依存症に溺れて沈んでしまったという違いだ。
主人公達が菜摘ひかるさんと似た境遇なのか、菜摘さんの内面が透けて見えてくる様だ(『ただ、欲しかった』は特に)。
風俗嬢を辞めた後の菜摘ひかるさんの著作は、エッセイより小説の方が面白い(風俗嬢を辞めた後の菜摘ひかるさんのエッセイは『えっち主義』だけ、小説は『依存姫』しか読んでいないが)。
あとがきとプロフィール写真が痛々しい。
『依存姫』の主人公達を見ていると遣り切れない。救いは何処に有る?