インド哲学の教室: 哲学することの試み (シリーズ・インド哲学への招待)

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393133750

作品紹介・あらすじ

「哲学する」とはどういうことか?教師と学生の対話を通じ、西洋哲学とは異なるその独自の発想や考え方を学ぶ、シリーズ完結篇。

感想・レビュー・書評

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  • そもそもインドに哲学というものがあったのか?いつから?西洋哲学との違いは?といった疑問と興味を持ちながらまったくの素人感覚で本書を手にしました。

    まず、哲学を生んだのは、古代インド人とギリシャ人だけであり、カントやニーチェ等の西洋哲人同様に、インド哲学も「善く生きるため」に探求し、入口も目的地も倫理である点は変わらないということ。土着文化ではなく、立派な哲学のようです。

    次に、インド哲学固有で、西洋哲学にはない特徴として、「無」を論じること(ゼロを生んだのもインド)。例えば自分が思いやりの心を起こしても、それに対して徹底的に無関心になることだったり、執着を断ち切ること。確かにヨガの瞑想でも、邪念を取り払い、完全な「無」の状態を作ることで、インド=ヨガ=無という図式は私たちにも馴染み深いものだと思います。

    そして、本書で最も多くの頁にわたって綴られている「自己論」というテーマの単純明快すぎるが故の難しさ。このような、環境から自己を引き離し、自分(自己)を認識主体として世界を見る自己一元論(ヤージュニャヴァルキヤ)や二元論などの思想もインド哲学が原点だそうです。

    このように、インド哲学は非常に論理的かつ知的なもので、そのエッセンスを教師&生徒の授業による対話方式で書かれた本書は、入口としては非常に読みやすく、インド哲学の魅力を短時間で堪能するには十分なボリュームとコンテンツだったと思います。この1冊がきっかけとなり、インド思想史や曼荼羅の美術などにも興味を持ちました。

  • インド人は生まれ変わったらまた死ななければならない。
    死を繰り返すという輪廻転生。神々に生まれ変わることが最高の幸せ。

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著者プロフィール

1948年生まれ。東京大学で博士(文学)号を取得。
現在、國學院大學名誉教授。
著作に、『インド哲学七つの難問』(講談社選書メチエ)、『仏教誕生』(講談社学術文庫)、『仏教かく始まりき パーリ仏典『大品』を読む』『インド哲学の教室』(春秋社)、『わかる仏教史』『ブッダが考えたこと』(角川ソフィア文庫)、『勝宗十句義論』(臨川書店)、『新訳 ミリンダ王の問い』『インド哲学教室1 インドの死生哲学』『[全訳]念処経』(花伝社)など。

「2023年 『インド哲学教室2 インドの唯名論・実在論哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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