ブッダ入門

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  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393133934

感想・レビュー・書評

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  • ・釈尊に弟子として入門する、そんな第一歩を踏み出すための本のような気がします。それほどまでに、中村 元先生が語る「釈尊」は、魅力的で、そばにいてくれるように感じます。

     やがて自分も老いるのに、他人が老衰するのを見て嫌悪する……。釈尊は、そうなりたくないと思って出家したのでしょうね。

     誰にとっても自分が置かれていない境遇を想像することは難しいわけですけれども、釈尊は若くて恵まれていたにも関わらず、その境遇に安住することで、やがて悩みが生じることを察知したのでしょう。

     私は還暦を迎える年齢になって、ようやく釈尊が開いた仏教が、何を示しているのかを理解できるようになりました。私の人生はかなり前に折り返し地点を過ぎてしまっていますが、今からでも覚りに近づくことができるかな?

     日本では、若い人のほとんどが、仏教に興味を持たずに生きているのではないかと思いますが、もし生きづらさを感じているとしたら、仏教を研究してみると良いと思います。結局、生きづらい俗世間で、自分を客観的に観る方法が必要なわけですから……。

     『ブッダ入門』と言っても、釈尊について学ぶための第一歩という意味ではないような気がします。釈尊に弟子として入門する、そんな第一歩を踏み出すための本のような気がします。それほどまでに、中村 元先生が語る「釈尊」は、魅力的で、そばにいてくれるように感じます。

  • 宗教者というより、研究者のようにフラットな目線で解説されているので、仏教の原点がちょっと気になる程度の軽い気持ちで読んだ自分にとって理解しやすい内容だった。

    日本とは全く異なるインドの風習にも触れられていて勉強になる。

    ただ書き方が散文的というか……
    話題が芋づる式にあちこちに飛び、本筋から逸れる余談が多く、中盤までは非常に読みづらかった。

  • ブッダがこの世に生まれていたことは事実だとは思いますが、(当時)インドには歴史書を残すということがなく、しかもブッダは記録に残さないように弟子たちに言っていたようなので余計に謎の部分が多いのも事実です。

    本書は講演会の筆録なのですが、ブッダの生涯、思想などを事実に基づいてお話された記録です。

    ブッダはいつ生まれたのか、釈迦族のこと、釈尊の家系、「天上天下唯我独尊」と言ったのは本当か?など興味の湧くテーマが書かれています。

    また、ブッダは親、妻子を残して出家したことは普通の感覚ではおかしいと感じるが、実は背景にはインドの思想があったこと。

    ブッダが悟った真理はブッダ自身が難しく、他者に説明しても理解できないと思い、梵天(ブラフマン)に人々に説法するように説得させられても躊躇したこと。

    ブッダが死因となったと言われる、最後に食べたものはキノコか豚肉か論争(?)の裏事情。
    など幅広くブッダやインド文化が書かれています。

    ブッダとはどんな人だったのか、日本の仏教は知っていてもブッダのことは実はよく知らなという人にも解り易くてよいと思います。

  •  後期仏教(大乗)に法四依(ほうしえ)との教えがある。「法に依りて人に依らざれ。義に依りて語に依らざれ。智に依りて識に依らざれ。了義経に依りて不了義経に依らざれ」(『国訳一切経涅槃経部』)と。
    http://sessendo.blogspot.jp/2017/05/blog-post_11.html

  • 仏教美術への理解を深めるために、もう少し仏教系のことを知ろうと思う。

  • 島根県松江市出身の仏教学者中村 元(なかむら はじめ)先生の1991年の著作。
    仏陀(ゴータマ・ブッダ)を一人の人間として捉え、実際にどのような人であって、地上でどのような生活をされていたかということを解説した書。

    仏陀が悟りを開き、伝導の旅に出、入滅した時代背景や風習・文化も詳しく説明してある。
    また、用語の解説や仏教の思想における解説についてわかりやすく成されている。

    「入門」とタイトルにある通り、文章も読みやすく、内容も理解しやすい。敢えて難解な表現は避けておられるように感じた。

    世には数多く仏典が存在することもあり、様々な解釈がある場合はその旨を紹介されている。
    これを機に他書と併せて読むとより楽しめると思う。

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    【内容(amazonより)】
    仏教の創始者である釈尊ゴータマ・ブッダという人が、どのような生涯を送り、どのような思想をいだいていたか、を重点的に解明。神話や伝説を排し、一人の人間として、その真実の姿を描く、白眉のブッダ伝。
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    【目次】
    第1章 誕生
    ・はじめに
    ・家系と風土
    ・釈尊の誕生
    第2章 若き日
    ・幼き日々
    ・若き日の苦悩
    ・結婚
    ・出家
    第3章 求道とさとり
    ・釈尊とマガダ国王ビンビサーラ
    ・道を求めて
    ・真理をさとる
    第4章 真理を説く
    ・説法の決意
    ・釈尊の説いたこと
    ・伝導への旅へ
    第5章 最後の旅
    ・釈尊とヴァッジ族の七つの法
    ・終わりなき旅路
    ・最後の説法
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  • ブッダの生涯や時代背景が、たいへんやさいく説明されている。ブッダは伝説上の人物じゃなくて、一人の人間と理解できる。

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著者プロフィール

新潟大学人文学部准教授
1977年、東京都八王子市生まれ。1999年、東京都立大学人文学部史学科卒業。2009年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(史学)。
八王子市総合政策部市史編さん室専門員、獨協大学法学部特任助手を経て現職。
著書・論文に、『東京の制度地層』(公人社、2015年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2016年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2017年、共著)、「1930・40年代日本の露店商業界紙『関西俠商新聞』・『小商人』・『日本商人』について」(『資料学研究』12号、2015年)、「戦災の記憶の継承と歴史資料――長岡空襲の事例に即して」(『災害・復興と資料』8号、2016年)など。

「2018年 『近現代日本の都市形成と「デモクラシー」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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