中村元の仏教入門

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393135815

作品紹介・あらすじ

東方学院の講義録をもとに、インド学・仏教学の泰斗である中村元が仏教をやさしく解説。その深い見識と幅広い視野から語られる釈迦と原始仏教の真髄とは。

感想・レビュー・書評

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  • 第一人者による講義の再録。
    とてもわかりやすく、入門編としてちょうど良いのではないだろうか。
    ただ、ブッダの弟子や生涯などについてはある程度知識があった方がわかりやすいと思う。
    ブッダについての入門ではなく、あくまでも「仏教」の入門。仏教とは、と知りたい人向け。

  • 仏教学者の大家、中村元である。
    講演録なので、とても読みやすい。

    とはいえ、釈尊の生涯や思想、聖典や教団の成立過程、そして仏教の実践倫理と、インドから始まった上座部、大乗のそれぞれの仏教の概略が知れてとても良い。

    しかも随所に当時のインドの社会的背景や、西洋や現代との対比、現代的解釈の試みが分かりやすくされているのでためになる。

    本当に入門書の域なので、すでに仏教好きの人には物足りないかもしれないですね。

    備忘録

    P10-11
    インド人は歴史に関心を示さない。
    中国や日本人は歴史が大事。歴史の反省から未来を作る。
    インド人は永遠を見つめています。この世の出来事など陽炎のごとくはかない。だから書く必要がない。歴史が分からない。

    P38~
    結集(けつじゅう)
    聖典編纂のために長老様たちが集まる会議。
    1)釈尊の死後。500人
    2)釈尊の死後100年後。塩を蓄えていいか、ご飯を午後に食べてもいいか
    金銀浄物
    お金を受け取る→金が溜まる→組合に貸し付け(貸付信託)→利子もとる→経済基盤の安定…これもいいのか。
    3)アショーカ王時代
    4)世紀前25年ころ
    5)6)近代

    P52
    二つの意見が対立した時に、どちらでもない、返事をしない、という態度。西洋では考えられない。

    P66
    仏教は形而上学としての自己(アートマン)を否定した。

    P167
    鈴木正三の「世法即仏法」

  • 有名な中村元先生を初めて読んでみた。お釈迦様とその教えについての基本を平易な文章で書いていてくれて本当に読みやすい。入門なので扱っている分野に濃淡がある。網羅性を求められる教科書としては不足だが、一歩目としては非常によかった。仏教学者の著作なので、哲学・宗教の広い視野で説明されていておもしろい。もっと中村先生の本を読みたくなった。

  • 私自身、特段宗教に関して深い深い思い入れはない。ただ、世界中で多くの人が信仰している宗教は理解したいと思っている。仏教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教それぞれの生い立ちや考え方を理解したいのだ。ゆえに、それぞれの教本も読みたいと思っている。歴史を学ぶ上でも各宗教の本質を理解しておいたほうが、より楽しく学べると思っている。
    という理由から、宗教に関する書籍も時々登場する。今回は仏教入門。仏教の教えは用語も読み慣れないものも多く、私のような凡人には理解をするのは一苦労する。そんな人向けの一冊。

  • 講義を書き起こした入門書。
    話し言葉で書かれているので、実際に講義を受けているかのように感じられる。
    アジアやヨーロッパなど他国と日本の思想の比較なども面白かった。

  • 仏教学の大家、中村元氏の講義録を書き起こした本。仏教の成立と思想、その実践について語られている。一般向けの公開講座のため、わかりやすい話し言葉になっていて読みやすい。

    時間がある時に、第三章のゴータマ・ブッダの思想を中心に再度読み返したい。

  • 講義を本にしているからか言葉も優しくて読みやすかった
    具体的な釈尊の教えや考え方についてはもう少し詳しく知りたかったけど、入門にはぴったりだった
    インド人は永遠を見つめている、という言葉が気に入った

  • 具体的な話もあって分かりやすい。
    引っかかった点としては、答える必要がないから答えないのと、いずれが正しいとも言えないから答えないのは違うのでは。後者は、現状では分からない、又は解明できないことが分かっている、等とコメントすれば良いと思う。

  •  「法華経」がなぜ重宝されるのか、その経典の教えはなんなのか、という疑問が湧き「法華経」に係る書籍を読んでいる。
     本著をはじめに読めばよっかたのかもしれないが、周辺の書籍を読んできて、「仏教」の成り立ちが整理されておりスッと頭の中で整理された感じがする。
     ひとくちに仏教といっても日本の宗派それぞれに成り立ち(教えの根っこ)があるようだ。一方で、(本著の前に読んできた)釈尊の語ったことばに立ち戻ればいいのではないのか、という思いも新たにする一冊だ。
     そして仏教を研究してきた中村元先生の純粋な心に触れられた気がする。

  • ささくれだった心にはシンプルな原始仏教の教えが心地よいです。
    こういうふうに生きられたら幸せだろうなと思いました。

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著者プロフィール

新潟大学人文学部准教授
1977年、東京都八王子市生まれ。1999年、東京都立大学人文学部史学科卒業。2009年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(史学)。
八王子市総合政策部市史編さん室専門員、獨協大学法学部特任助手を経て現職。
著書・論文に、『東京の制度地層』(公人社、2015年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2016年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2017年、共著)、「1930・40年代日本の露店商業界紙『関西俠商新聞』・『小商人』・『日本商人』について」(『資料学研究』12号、2015年)、「戦災の記憶の継承と歴史資料――長岡空襲の事例に即して」(『災害・復興と資料』8号、2016年)など。

「2018年 『近現代日本の都市形成と「デモクラシー」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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