精進料理考

  • 春秋社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393159026

作品紹介・あらすじ

食事も修行ととらえる曹洞宗の教えに沿いながら、つくる・食べる・片付けるまでの心がまえから、醍醐味とは何か、ごちそうさまの起源などまで網羅した、精進料理大全。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の本はこれが初めてですが、とても穏やかな文章で、誠実な人柄が伝わってきます。精進料理と禅について、耳障りの良い言葉で済まさずエビデンスを求め、それをわかりやすく伝えようとしてくれる良書。著者の他の本も読んでみたくなりました。
    乳製品について詳しく取り上げているのが印象的。他の精進料理の本にはなかなかないのでは。
    日常の全てが仏道修行という禅の思想の根底に寺院における食糧問題があったとは。ここのパラダイム・シフトについてもう少し詳しく調べてみたくなりました。

  • これまで、仏教について、割と分かりやすく噛み砕いた内容の本を書いてきた著者ですが、なんというか、これは難しい。表現法は平易ながら、内容は濃くて難解といった感じ。研究書と一般啓蒙書の中間、やや研究書寄りといった感じでしょうか。レシピなどは、微塵もなく、ただただ精進料理にまつわるエトセトラを、文献と実践から明らかにしていっています。

    著者もどこかのインタビューで言っておりましたが、魚川祐司『仏教思想のゼロポイント』の精進料理版をイメージしたというのは、なんとなく納得。

    そう、確かに難しい部分はありますが、内容的には大満足で、精進料理(特に僧侶の食事)についてはほぼ網羅していて、痒いところに手が届いています。

    精進料理系の本は、レシピ本を含めてたくさんありますが、永平寺を開いた曹洞宗の道元禅師にルーツを求めるものがほとんどで、この本のようにそれ以前の中国、さらにその前のインドまで遡ったものは初めて読みました。

    しかし、最後の尋常ではない量の参考文献を見ると、論文が多くあったので、研究自体はなされていたようです。そんな、一般人の目に触れないマニアックな研究を、表に出してくれただけでも星5つの価値はあります。

    そして、他の精進料理関連本では見たことがない内容も多く、それは、仏教学だけでなく農学や建築学の領域まで調べ上げているからで、その説得力には圧倒されました。特に、醍醐味の正体に迫るくだりは圧巻です。

    とにかく、著者の妙な執念を感じる、熱量の高い本でした。

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著者プロフィール

吉村昇洋(よしむらしょうよう)
1977年3月広島県生まれ。曹洞宗八屋山普門寺副住職、公認心理士、臨床心理士、相愛大学非常勤講師。駒澤大学大学院修士課程修了(仏教学修士)。広島国際大学大学院専門職学位課程修了(臨床心理修士)。曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヵ月間の修行生活を送り、現在は、精神科病院に勤務する傍ら、禅仏教や臨床心理学、精進料理、仏教マンガに関する講師、執筆活動も積極的に行っている。著書に『精進料理学』(春秋社)、『心が疲れたらお粥を食べなさい』『気にしない生き方』(幻冬舎)、『週末 禅僧ごはん』(主婦と生活社)などがある。

「2021年 『心とくらしが整う禅の教え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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