人生の秋に―ホイヴェルス随想選集

制作 : 林 幹雄  Hermann Heuvers 
  • 春秋社 (2008年8月1日発売)
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  • レビュー :1
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393216170

人生の秋に―ホイヴェルス随想選集の感想・レビュー・書評

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  • 【この世の最上のわざは何?
     楽しい心で年をとり、
      働きたいけれども休み、
     しゃべりたいけれども黙り、
      失望しそうなときに希望し、
      従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

      若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、
      人のために働くよりも、
      謙虚に人の世話になり、
      弱って、もはや人のために役だたずとも、
      親切で柔和であること。
            (「最上のわざ」より一部抜粋) 】

    以下、もっと続くのだがレビューの都合上ここで割愛。
    「ツナグ」という映画の中で、この詩が紹介されているらしい。
    樹木希林さん演じる主人公の祖母が朗読するこの詩に問い合わせが殺到したため、この詩を収録した本書にも注目が集まったようだ。
    かく言う私も、とあるサイトでこの詩を知り、心震える思いをしたひとり。
    「第二の青春」だのと言いはやされたり、「アンチ・エイジング」だのと外見をつくろうことに労力を注いだりと、この世はなんと騒がしいことだろう。
    この詩で一石を投じられた心は、今も静かにさざなみを立て続けている。

    この本の著者であるヘルマン・ホイヴェルス神父は、1890年生まれのドイツ人で、33歳で来日。
    昭和52年に87歳で天寿を全うされるまで、日本で活動を続けた宣教師だ。
    上智大学の教授としてご存じの方も、歌舞伎化もされた戯曲「細川ガラシア夫人」の作者としてご存じの方もいるかもしれない。
    「イエズス会」というとあまり良くないイメージもあるが、そんな先入観はすべて払拭されてしまう、実に清廉な随想集だ。

    8月30日に来日し、翌々日の9月1日に関東大震災に見舞われたという日本での生活は、決して穏やかな時ばかりではなかったことだろう。
    自然について、東西文化の違いについて、信仰について、生きていく上での困難なあれこれについて綴られる穏やかな語り口が、しみじみと心にしみいる。
    読むたびに敬虔な思いにうたれ、何度も読み返したくなる一冊。
    【最上のわざ】を、果たして私は習得できるのだろうか・・・遠い遠い道のりだ。

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