日本王権論

  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393291498

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  • 儀礼と実体、
    外来と土着、
    祭祀と世俗、
    権力と権威。

    宮田登、網野善彦、上野千鶴子の鼎談という
    おそるべき企画に惹かれて読んだが、激しく揺さぶられた。[more]

    しかし対談ものは、『神話の力』や本書のような破壊力のある本と、
    残念で悲しくなるような本との両極端という印象がある。
    編集側の事情は分からないが、不思議だ。


    王権とは、何か。
    要するに、象徴的な「外部」の独占のことである。

    ヒト、モノ、情報といった「外部」との交通権のような、
    実態的な独占であると同時に、
    儀礼的な独占も、ここでいう王権に含まれる。

    王権は「周縁」と隔離・保護される「中心」ではない。

    「周縁」を否定して内部を「中心」のもとに均質化し、
    その「中心」だけが外部との通路になるという、
    「中心」=「周縁」の逆説が帝国の論理である。

    テクノロジーと流通・交通を担う者が、
    聖なるものと結び付くという構造において、
    彼らは内と外を媒介する専門集団である。

    だから、職能民が神に直属する、
    という例がしばしば見出される。
    そして「中心」にいて媒介の力能を持つのが、
    周縁性をもった王権である。

    職能を持つ「境界」的な人々が、
    その境界性ゆえに神仏とつながりを持つという、
    集団のあり方は日本特異のものではない。

    なおレヴィ=ストロースによれば、
    職能集団というのは非常に均質なプリミティブな社会から、
    一般交換のリンクの成立にともなって、
    だんだんと分解していく。(p101)

    日本の場合には、
    外部から来た貨幣が本格的に流通し始めることで、
    神仏と職能の関係が切れていった。
    これが資本主義の成立である。




    【目次】
    1.古代王権のコスモロジー ―――王権と[外部]
    2.後醍醐の新政と民族史的転換 ―――[聖]と[賎]の変化
    3.王権の変質 ―――天皇制はいかにして存続したか
    4.近世社会における天皇の位置 ―――フォークロアの中の天皇
    5.江戸王権の支配構造 ―――階級社会と[礼]の構造
    6.現代の民俗コードと天皇制

  •  <メモ>
     ・超越王権ができあがる時、ほとんどの場合外来思想に自己の正統性の根拠を依拠するというのは、日本に限らず普遍的に見られます。古代王権が依拠したイデオロギーも仏教という外来思想でした。
     
     ・帝国の論理というのは周縁を否定して内部を中心のもとに均質化しその中心だけが外部との通路になるという中心=周縁の逆説にあります。その中心にいて内部と外部を媒介する力能をもっているのが王権です。

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著者プロフィール

1928年山梨県生まれ。東京大学文学部卒業。都立北園孝行教諭、名古屋大学文学部助教授、神奈川大学短期大学部教授、同大学経済学部特任教授を歴任。専門は日本中世史、日本海民史。著書に『日本中世の非農業民と天皇』『無縁・公界・楽』『異形の王権』『蒙古襲来』『日本の歴史をよみなおす』『日本社会の歴史(上・中・下)』『「日本」とは何か』『歴史と出会う』『海民と日本社会』ほか多数。2004年逝去。

「2018年 『歴史としての戦後史学 ある歴史家の証言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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