ほんとうの考え・うその考え―賢治・ヴェイユ・ヨブをめぐって

著者 :
  • 春秋社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393331675

作品紹介・あらすじ

どんな思想や宗教の立場からでも理解できる普遍の場所。思想家・吉本隆明が追いつめる生涯のテーマ。

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  • 吉本隆明 「 ほんとうの考え うその考え 」

    宮沢賢治の文学、ヴェイユの神学、ヨブ記 から 普遍的宗教を示唆した 講演集。普遍的宗教を問うためのモチーフとして 銀河鉄道の夜 のセリフ「ほんとうの考え と うその考え を分けることができたら、その実験の方法さえ決まれば、信仰は 科学と同じ」を取り上げている。




    著者が考え続け普遍的宗教を持つ人物とは 「雨にも負けず〜そういうものに私はなりたい」の 私 のような聖人ではないだろうか?


    銀河鉄道の夜「ほんとうの考え と うその考え を分けることができたら、その実験の方法さえ決まれば、信仰は 科学と同じ」から宮沢賢治の宗教的到達点を論じている
    *信仰=宗教の信心を含む すべての種類の信じ込むこと
    *実験方法=勉強して 自分自身を 本当の考えと嘘の考えを分ける実験装置にする
    *科学=敵対、憎悪など人間悪なしに 本当の考えと嘘の考えを分けること

    宮沢賢治は法華経のどこを読んだか
    *法華経の眼目=個の完成した意味の悟りでない、意識しないでいける道を万人にとれなければ悟りでない
    *安楽行品(文学、芸術に近づくな)を独自解釈した
    *常不軽菩薩品を倫理の問題として読んだ

    安楽行品を どのように 思想的に解決したか
    *マリヴロン「わたしはいつでも あなたが考える そこにいる」→芸術家から宗教家への変身
    *変身=人に気付かれないように 万人が行ける道を作る
    *宮沢賢治は 芸術の宗教性を 物語に取り込んだ

    常不軽菩薩品の倫理問題
    *鳥を捕る人=差別された人、弱小な人→これらの人に対するシンパシーに気づくことが最高の倫理

    宮沢賢治の宗教観
    *宗派を超えた神、宗派を超えた思想に到達できる方法がある
    *その意思が 宮沢賢治の文学の宗教的匂い


    ヨブ記=自然、倫理、信仰の葛藤の物語
    *善い人なのに 悪い目ばかりあうヨブ
    *神=自然〜善悪問わず 同じように災害にあう
    *ヨブの神に対する抗議〜神と自分の仲介者を求める
    *ヨブ=福音書のキリスト
    *内村鑑三〜ヨブの苦難は 神が 信仰の深さを試みるための試練

  • 親鸞,ヴェイユ,そしてヨブ.ほぼ日の吉本隆明講演集でそれぞれのテーマについて聴いているだけではみえなかった,これら3つをつなぐ統一宗教という線の存在が,本書を読むことではじめて見えました.

  • 読み助2013年10月5日(土)を参照のこと。http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2013/10/post-4954.html

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著者プロフィール

吉本隆明(よしもと・たかあき)
1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。

「2021年 『吉本隆明全集24』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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