隷属への道

  • 春秋社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393621516

作品紹介・あらすじ

マルクス主義・ケインズ主義を批判し、に基づく壮大な思想大系を築いた20世紀最大の思想家ハイエクの代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 極めて個人的に重要な本だった。ここ数年の個人的な関心事が言語化されており、この本に出会うために読書を繰り返していたと言っても過言ではない。だがそれはあくまで個人的な感慨であり、社会的な評価とは異なるだろう。ちなみに自分の関心事とは、国家、企業、コミュニティ、家族と言った様々な共同体を運営していくためのあり方、思想であり、以前はコミュニタリアニズムに傾倒していたが、最近は自由主義に強く傾きつつある。


    内容としては、第二次大戦中に書かれた、社会主義の盛り上がりに対して警鐘を鳴らした本。道徳的動機から発生する「平等」への要求と、既成の社会に対する嫌悪からくる革新への要求、自ら社会をデザインできるはずという人間理性に対する信頼が、社会主義への傾倒を不可避的に引き起こす。だがその結果が悲惨なものになるということをこの本は示唆しており、その警告は実際にヒトラー、スターリン、毛沢東ら、数多くの社会主義的試みを行った人々によって成就された。

    社会主義とは、共産主義とイコールではないということを痛切に感じる。共同体を全体最適化しようとする視点全てが、社会主義の視点を含むと言えるのではないか。では、現代において社会主義は不可避である。だが、社会主義への無軌道な傾倒は、この本で描かれ、歴史からも学べる通り、悲惨な「隷属への道」である。そのリスクを知らぬままただ道徳的な観点から政府の肥大化を望む姿勢の危険性を強く感じることとなった。

  • 社会主義の死後はドイツから。
    社愛首位から生まれた全体主義。
    何かに反対することで人々を団結させる方法。
    半資本主義という結合。
    自由、特に経済的な自由が根幹。
    平等は自由のもとにある。
    自由の保障が大切というのが根底にある話だと思う。平等の実現のために、集団のために個人の自由が恒常的に制限されてはいけない。

  • 資本主義かつ小さな政府がいかに重要であるかを説いている。
    ハイエクは戦時下を経験しているだけに、共産主義・社会主義の思想の危険性を深く理解している。特殊な状況において人々が団結するために純粋主義に傾くのは非常に危ない。
    そのような思想は何かに対する反発芯の塊でしかなく、敵を作ることで自分たちの関係性を繋ぎとめているにすぎない。
    また資本主義をベースに政府の力を強めて国を再建していくというのも不可能。結局は政府が裁量的に一部の人間の利得を高めるための行動を起こすことになる。
    つまるところ、資本主義・競争主義において全体的な効用が最も高まり、豊かな社会を形成することができるわけで、すべての国民の厚生を高めるなどと謳う政府あるいは指導者にその実現を期待するのは愚かだということなんだろう。

  • 少々まどろっこしかった。

  • ノーベル経済学賞受賞者であるハイエクがギター侍ばりに共産主義を斬った本。ただ、実証主義への偏見もみられる。

  • 共産主義を殺した偉大な本。

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著者プロフィール

1899~1992。ミーゼスとともにオーストリア学派の資本理論を展開。景気研究所の所長を務め、『貨幣理論と景気循環論』『価格と生産』を出版。市場制度擁護の論陣を張り、計画経済・ケインズ主義・福祉主義を批判。第二次世界大戦後に渡米。シカゴ大学で『自由の条件』を出版。法思想家・心理学者の顔も持つ。後に帰欧。

「2021年 『自由の条件Ⅲ 福祉国家における自由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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