- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393931615
作品紹介・あらすじ
邦楽改良、モダン芸者、大阪文化、レコード産業、新舞踊、宝塚、国民劇、戦時活動…大正・昭和期に沸騰するさまざまな改革の波。その試行錯誤の諸相を照射し、日本近代文化の変遷のありようと「日本」アイデンティティを再検証する試み。
感想・レビュー・書評
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<閲覧スタッフより>
日本音楽の変遷を辿ることで日本の近代社会を考えるという、斬新な一冊です。西洋の音楽・舞踊の受容から発展したダンスや宝塚歌劇、モダン芸者やレコード産業まで、新しい時代を切り開いた日本音楽と歌劇を中心とした日本文化論。
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所在番号:762.1||ワヒ
資料番号:10168985
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大阪のクラシック事情に関する本を読みました。非常に興味深い本でした。戦前の東京と大阪のクラシックは、対照的です。東京のクラシックは、高尚だが、独りよがりで、不入りでした。それに対して、大阪のクラシックは、通俗だが、定着した文化でした。スポンサーとの関係も、大きく異なっていました。東京の音楽家は、スポンサーである実業家と適切な関係を築くことが出来ませんでした。もちろん、スポンサーはいました。しかし、音楽家は、空想的であり、現実を鑑みることがありませんでした。たとえば、自らの能力、需要等を考慮せず、帝国劇場でオペラを上演したりしました。当然、失敗しました。これでは、スポンサーから信頼されるわけありません。それに対して、大阪の音楽家たちは、現実的でした。オペラをそのまま上演するのではなく、宝塚という形で提示しました。また、戦前、大阪の経済力は、東京を凌駕していました。しかし、金融恐慌は、大阪優位の状況を大きく変えました。金融恐慌は、クラシックのスポンサーを民間企業から放送局へと移行させました。マスコミが集中する東京が、クラシックの中心となりました。面白い主張なのですが、本当に正しいのでしょうか。戦前、週刊朝日は、大阪で発行されていました。また、大手の新聞社の本社機能が、大阪から東京に移ったのは、戦争直前です。マスコミが、東京に一極集中するのは戦後のことです。 ここら辺の事情を調べると、面白いかもしれません。