- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393957059
感想・レビュー・書評
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建築史家、五十嵐太郎の映画と建築についての考察集。
驚くべき量の映画を、発見的視点で鑑賞することは、努力が必要で、その点にまず著者に敬意を払う。
箇条書きでまとめる。
・アニメから小津まで対照が幅広い。
・が、寄せ集めのエッセイのため読みにくい。
・著者の収集家的性格の文章も拍車をかけている。取り上げたと思ったら一文で終わったりする。
・最初の、建築家としての小津安二郎は、なかなか充実している。
・ジャック・タチの『ぼくの伯父さん』が見たいと思った。
・ル・コルビュジエのくだりは、流石にノリに乗っている。充実していて読みやすい。
映画の作り手も、視聴者も、批評家も、批評家の文章も、批評家の文章の批評文も
なみなみならぬエネルギーが必要である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「映画のなかの建築、建築家カタログ」。ディテールから空間を細かく書き起こす筆力と、その博覧強記ぶりはさすがの一言。ただし、なにかの「結論」を期待したひとは、肩透かしをくらうかも。そういう主旨の本ではない。が、言及される映画を見た事のある人にとっては、その作品を解釈するためのヒントが大量に埋め込まれている。各作品について、論を深める書き手がこれから増えれば、この本の位置づけも変わるかもしれない。
個人的には、小津安二郎の作品についての章と、アニメのなかの都市表象についての章はとても面白く読めた。
かなり文字数の多い本なので、興味のあるところだけ、つまみ読みするのも可。それぞれの章は独立している。 -
「摩天楼」の主人公のモデルがフランク・ロイド・ライトだとは知らなかったなあ。