陰獣 他三編 (江戸川乱歩文庫)

著者 :
  • 春陽堂書店
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本棚登録 : 316
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394301011

感想・レビュー・書評

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  • 『屋根裏の遊戯』『B坂の殺人』『パノラマ国』...探偵作家大江春泥こと平田一郎という名は、おそらく江戸川乱歩の本名、平井太郎のもじりだろう。しかし、小説家江戸川乱歩という存在自体がミスリードを誘う仕掛けであるとは思わなかった。ミステリーの筋としては充分あり得ることで予想もできたはずだが、楽しく騙されてしまった。文章も美しく雰囲気たっぷりで、いっきに読み終えた。
    他に『盗難』『踊る一寸法師』『覆面の舞踏者』と好短編が三編。
    特に『踊る一寸法師』はあざやかな色彩描写と物語の緩急のつけ方が素晴らしく、一寸法師がマジックを演じるシーンでは、見物たちと一緒に息をのんだりホッとしたりした。妖しく美しく恐ろしい話だが、大変おもしろかった。

  • 主観の危機、が裏テーマだと思う

  • 「陰獣」、なんだこれ、自分を悪役のモデルにして遊んでる( ´ ▽ ` )ノ。
    自作を徹底的におちょくって、楽しい作品だね( ´ ▽ ` )ノ。
    オチは正直、途中で読めちゃうけど、作者もそれを予期してか、最後は何だか曖昧な結末にしてるねえ( ´ ▽ ` )ノ。
    泥棒の話もそうだけど( ´ ▽ ` )ノ。

    乱歩=エログロ、猟奇という社会的印象が強いけど、昨今の小説と比べて直截的な描写がものすごく少ないから、それほどショッキングではないね( ´ ▽ ` )ノ。
    文章がとにかく読みやすい( ´ ▽ ` )ノ。
    タイトルは今的な感覚からしても秀逸( ´ ▽ ` )ノ。

    スワッピングの話は、今ならむしろ、ああいう展開だからこそ主人公らは興奮して、さらなる倒錯ワールドに没入する……という話になってたんだろうね( ´ ▽ ` )ノ。

    ホビットの話は……これは、今では絶対に書けないね……(´ェ`)ン-………。

    しかしこのシリーズ、奥付見ると20年くらい前の版だけど、やたら古臭い体裁だね(゚д゚)!。初版でも30年前。何か、昭和30~40年代ころの本みたいだ( ´ ▽ ` )ノ。

    2016/03/28

  • '96.9読了。
    傑作の表題作の他、
    ⚫盗難
    ⚫踊る一寸法師
    ⚫覆面の舞踊者
    収録。

  • 長編「陰獣」、短編「盗難」「踊る一寸法師」「覆面の舞踊者」を収録。「陰獣」は推理小説。

    いつかは読破したかった乱歩作品だが、最近 [2015年8月]、機が熟した気がして、片端から読んでいる。春陽堂の江戸川乱歩文庫を選んだのは、ひとえに表紙の多賀新による銅版画に惹かれたため。乱歩作品の雰囲気と良く合っている。

  • どんでん返しがめちゃめちゃ好き

  • 「陰獣」は「孤島の鬼」とほぼ同時期に書かれているが、随分印象が違う。
    江戸川乱歩らしい作品だと思った。
    「陰獣」:どんでん返しがいっぱい。
    「盗難」:こちらもどんでん返し。
    「踊る一寸法師」:ちょいグロ。
    「覆面の舞踏者」:ちょいエロ。

  • 陰獣はいい。二転三転して話を転がして人を惹き付けるのは悪くない。ただ転がしたあとの最終ゴールが恋て…分かるけど、良くできた話だけど軽いなぁ…
    陰獣関係ないけど、イニシエーションラブがスゴかったのは最後の転がしで、自分の中の女性観をガラッとかえる。そういう意味で、マダムバタフライもそうなんだけど、推理もの、サスペンスは読み手の価値観を揺さぶる効果的な方法。
    あとの3つは論外。ただちょっと書いてみたかっただけ。個人的には嫌いじゃないエグさを持っているだけに、教科書的な書き方におさまっているのが残念。

  • 大人になったから楽しめる乱歩。
    淫靡だ。

  • 陰獣:淫靡かつ滑稽。静子がなぜ犯行に及んだかが謎のまま?
       それとも、主人公の妄想だったのか??
       最後にそうゆう事を匂わせつつの結末は楽しい。
    盗難:あまり記憶に残りそうにない作品。展開も陰獣を読んだ後なので
       似たような印象を持った。
    踊る一寸法師:不気味で子気味いい作品。お気に入り。
    覆面の舞踏者:背徳感はこの時代ならではないだろうか。現代ならそう
           そう深く悩みそうになさそうだ。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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