屋根裏の散歩者 他六編 (江戸川乱歩文庫)

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  • 春陽堂書店
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394301042

感想・レビュー・書評

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  • 子供向けの文庫で読んだような、テレビドラマで見たのを読んだと思ってるような…
    どちらにせよ、今回、初めてまともに意識して江戸川乱歩作品を読みました。
    やはり、今の時代に読んでも十分に面白いですね。
    むしろ、いろいろな制約が設けられている現代では、こういったお話は読めないんじゃないかな、と思います。
    北村薫先生の「街の灯」で、女学生が江戸川乱歩の小説を読む事は憚られる時代があった、というエピソードを思い出しました。
    その話に出てくる作品も、「屋根裏の散歩者」でしたが、
    私の中の江戸川乱歩作品は、もっとエログロナンセンス全開のイメージだったので、
    この程度の表現や内容で、社会的抑圧が降りかかるのか!と驚きました。
    ある程度は倒錯趣味に関して理解のある現代の感覚では、
    同じような内容の話を書いても、ここまで面白くはならないだろうと思います。

    この短編集の中でも、私が気に入ったのは『火星の運河』で、
    『鏡地獄』、『押し絵と旅する男』、と続いて並んでいるのが粋ですね。
    前衛芸術的でファンタジックな世界観が一服の清涼剤の役割を果たしていると思います。
    一読では全貌を見た気にならないのが、奥深くて素敵です。

  • 表題作がなんとも魅惑的でしたねぇ…一度読んだことがあるのですけれども、あまり話の筋を覚えていなかったため、今回再読してみた次第なんですけれども…素晴らしい!

    という感じで絶賛していますけれども、☆が三つなのはアレですね、基本的に娯楽小説というか…いやまあ、それでいいんですけれどもまあ、純文学のような深い感動があるのかと問われればそれは無い、ですねぇ…でもまあ、江戸川さんのこういった、ともすれば変態ッ! とも受け取られかねない世界観は好きなんですけれどもねぇ…。

    角川文庫でどうやらシリーズ化されているみたいですから、この際順繰りに読んでみるのもいいかもしれませんねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • (収録作品)火星の運河/屋根裏の散歩者/疑惑/押絵と旅する男/鏡地獄/目羅博士の不思議な犯罪/虫

  • 春陽堂から大正時代に刊行された江戸川乱歩短編集を文庫で復刊したものです。表紙も含め春陽堂版が一番雰囲気が出ていると思います。本短編集には、"屋根裏の散歩者(1925)""鑑地獄(1926)""押絵と旅する男(1926)""火星の運河(1926)""目羅博士の不思議な犯罪(1931)""虫(1929)""疑惑(1925)"の7篇を収録。表題作の"屋根裏~"は、ご存知 名探偵明智小五郎が登場する作品ですが、その他のものは人の狂気が垣間見える作品です。現代にも通じる変態趣味が満載です。

  • 表題作「屋根裏の散歩者」以外に「鏡地獄」「押絵と旅する男」「目羅博士の不思議な犯罪」など7編が収録されている。

    ★「屋根裏の散歩者」郷田三郎は何をしても面白くない日々を過ごしていた。ある日ふと思い立って、下宿の屋根裏に潜んで各部屋を覗いてみたらこれがおもしろい。ところがあきっぽい彼は三日ほどであきる。その後彼が思い付いた奇行は、屋根裏から毒薬をたらし誰かを殺害することだった。
     計画実行----完全犯罪と思われた彼の犯罪も名探偵・明智小五郎によってやぶられる。私は映画を先に見たが、この映画があまりにもエロすぎて倒れそうになった。三郎の完全犯罪よりも覗いている部屋で行われている変態プレイに重点が置かれている映画はおいとくとして、小説では探偵小説らしく彼の完全犯罪に重点が置かれている。お好みに応じて(?)映画を見るなり小説を読むなりしてもよさそうだ。

    ★「鏡地獄」内部を鏡で張り詰めた球体に入り込んだ青年が発狂する話。「だったらそんなところに入るなよ、最初から」と言いたくなる話だが(笑)彼の恐怖がまざまざと伝わってくるすごい作品。

    ★「押絵と旅する男」これも映画化されている(私はまだ見ていない)。押絵の美女に恋い焦がれた男がついに自分も押絵になると言う話。あらすじだけを聞くと「アホか」と言いたくなる話だが、作品を読むと「アホか」と言える雰囲気ではない。妖美な世界を堪能させてくれる。私は密かにお気に入り。

    ★「目羅博士の不思議な犯罪」これは単純に読んで楽しめる。といっても殺人の犯罪なので楽しむのは読むだけにしたいのだが。

  • 一気に読み上げました。屋根裏の散歩者と暗黒星と二つの作品。私的には後者の方がとても読み応えがありましたし色々考察しながら読める内容。犯人はやっぱりそうだったか、と言った感じですが見えざる真実と云うか、兎に角面白かった。

  • 「虫」と「疑惑」が好き。
    「虫」の主人公の健気さにちょっと絆されそうになる。
    「疑惑」は会話文だけでもちゃんと展開していけるんだなあと思った。

  • 2012/12/29

  • 表題作を読みたくてamazonで購入。

    「火星の銀河」と「虫」は他の短編集で既読だったが、未読の作品も多く楽しめた。
    明智小五郎の登場する表題作「屋根裏の散歩者」はもちろんおもしろかった。
    一番のお気に入りは「目羅博士の不思議な犯罪」です。
    江戸川乱歩が創り出すその雰囲気や情景、心理描写は、やはりいつの時代でも独特であり最高ですね。

  • コレ映画化されてたけど乱歩の正しい解釈ではなかったね。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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