- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784394700500
感想・レビュー・書評
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「咳をしても一人」って、これを「俳句です!」と言って発表したことがすごいのであって、描いていること、使っている言葉自体は、事実ありのままなんです。例えば「スマホしすぎて目が乾く」みたいな。
でも、他の句を読んでもみんなそんな感じで、一周回って面白い。
(表紙が怖いのでもっと素敵な装丁に変えてほしい。) -
「やっぱり一人がよろしい雑草」と
自虐的哄笑を響かせるがごとき山頭火に対して
「咳をしても一人」の尾崎放哉には
どこかめそめそした印象が残る
どっちが好きかと問うたれば
どっちも嫌と言われそうですけどね…
放哉の人生は、デモクラシーの理想に敗れ去った者のそれで
母が死んでずっと現実逃避的だった山頭火に比べると
ちょっと涙を誘うところもある
晩年に言った言葉が「人間『馬鹿正直』ニ生ルゝ勿レ」だそうだ
だがここに選ばれた句の全体を見る限り、自己憐憫は最小限で
写実主義に徹した作風が強い
それをまあダンディズムのあらわれと解することもできよう -
「咳をしても一人」の尾崎放哉の句集。トイレに置いて、半年くらいかけてちびちび読んだ。トイレ読書は、やっぱり俳句か短歌か詩かエッセイがちょうどいいなあと思う。
好きな句がいくつもあった。
「すばらしい乳房だ蚊がいる」
「花が咲いた顔のお湯からあがつてくる」
「蟻を殺す殺すつぎから出てくる」
いいなあ。 -
自由律は俳句ではないと思っていたが、茲に表現されている世界は非常に俳句的だ。孤独の中での心象風景であり、戸惑いの表現でもある。放哉が白秋と同年生まれだと初めて知った。