反体罰宣言 日本体育大学が超本気で取り組んだ命の授業

著者 :
  • 春陽堂書店
4.17
  • (3)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 32
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394880028

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【書誌情報+内容紹介】
    『反体罰宣言――日本体育大学が超本気で取り組んだ命の授業』
    著者: 南部さおり 法医学・刑事法学・スポーツ危機管理学。
    デザイン:WHITELINE GRAPHICS CO.
    版型: 四六判/並製
    発行日:2019/11/28
    ISBN: 978-4-394-88002-8
    価格:1,760円(税込)

      部活動の場で命が奪われる現実――
    「反体罰宣言」をした日本体育大学が企画した「一生もの」の講義には、 学校の部活で我が子を亡くした親たち遺族が登壇し、聴衆は主に体育教師やスポーツ指導者を 目指す日本体育大学の学生、 また今まさに指導者として活躍している同大の教職員だった。 重大事故・事件から学ぶ、部活動・スポーツ教育の在り方とは――

    [著者紹介]
    南部さおり  日本体育大学スポーツ文化学部 武道教育学科准教授・医学博士。高知県生まれ。2000 年、明治大学大学院法学研究科前期博士課程修了(法学修士)。05 年、横浜市立大学大学院医学研究科博士課程修了。05 年、横浜市立大学医学部法医学教室助手、06 年同助教。16 年に日本体育大学体育学部に移り、17 年より現職。専門分野は法医学・刑事法学・スポーツ危機管理学。児童虐待やスポーツにおける体罰・ハラスメントに関する問題を、医学・法学等の分野横断的なアプローチで研究している。
    https://www.shunyodo.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000000685


    【簡易目次】
    反体罰・反暴力宣言(学校法人 日本体育大学 理事長 松浪健四郎) [002-004]
    目次 [005-007]

    はじめに 008

    第1章 法医学教員だった私が日体大に行った理由 015

    第2章 学校・部活動における重大事故・事件から学ぶ研修会 43
    case file 1 日体大卒のバレー部顧問による不適切な対応で死亡した 51
    case file 2 中学強豪柔道部の顧問から「なぶり殺し」にされた 82
    case file 3 剣道部顧問の暴力指導により、「内臓が煮えて死んだ」 111
    case file4 灼熱の中、ラグビー部の顧問からの執拗な「罰走」により「体温43度」で死亡した 141
    case file 5 野球部で仲間が受ける体罰に耐えられず、死を選んだ 177
    case file 6 「友だちにお菓子をもらって食べただけ」で、死に追い詰められた 216
    case file 7 「いじめから友達を守れなかった」悔しさから命を絶った 255

    第3章 日体大に来て、見えてきたこと 285
    1 「日体大生」「日体大卒」と体罰 287
    2 なぜ体罰は残り続けるのか 290
    3 体罰の免罪符である「信頼関係」とは? 293
    4 体罰はなぜいけないのか 297
    5 フォローのできない教師と「指導死」 300
    6 なぜ学校は「隠蔽」しようとするのか 315
    7 教育委員会は悪の巣窟か? 321
    8 学校部活動の語り尽くせぬ問題点 325

    おわりに(2019年1月 南部 さおり) [332-335]





    【目次】
    反体罰・反暴力宣言(学校法人 日本体育大学 理事長 松浪健四郎) [002-004]
    目次 [005-007]

    はじめに [008-014]
      部活動問題ブーム
      研修会での罵詈雑言
      当事者たちからの語り


    第1章 法医学教員だった私が日体大に行った理由 015
      柔道事故被害者からの問い合わせ
      「こんなに死んでるの……?」
      子どもを「死なせた」学校の非情な対応にあぜん
      倉田久子さんとの出会い
      誠実さを貫いた学校・教育委員会
      冊子「部活動の安全指導」
      日体大学長からの、突然のアポイントメント
      「スポーツ危機管理学研究室」の教員に
      「日体大から加害者を出さない!」


    第2章 学校・部活動における重大事故・事件から学ぶ研修会 043
      授業で扱う「体罰問題」
      いよいよ行動を起こす


    case file 1 日体大卒のバレー部顧問による不適切な対応で死亡した草野恵〔くさのめぐみ〕さん 51
      恵さんとママ
      合宿所へ向かう朝
      合宿1日目
      合宿2日目
      合宿3日目
      病院で
      学校による隠蔽
      バレー部員たちの話
      裁判、そして和解
      その後、今日まで
      《日体大生へのメッセージ》――草野とも子さん
      《日体大生たちの感想》


    case file 2 中学強豪柔道部の顧問から「なぶり殺し」にされた村川康嗣〔むらかわこうじ〕君 082
      中学入学、柔道部に
      常識外れの練習方法
      事件当日(2009年7月29日)の練習内容
      目隠し、Tシャツでの寝技練習
      地獄の乱取り練習
      顧問自らが「とどめを刺す」
      「康嗣は今、生きるために頑張ってるんや!」
      診断「右急性硬膜下血腫」
      手術後
      永遠の別れ
      逃げ出した顧問、厚顔無恥な学校
      地域との確執
      《日体大生へのメッセージ》――村上弘美さん
      《日体大生たちの感想》


    case file 3 剣道部顧問の暴力指導により、「内臓が煮えて死んだ」工藤剣太君 111
      剣士の父、パフォーマーの母
      体育大卒の顧問
      夏休み中の部活動
      事件当日
      「もう無理です」
      「演技じゃろうが!」
      病院へ
      医療ミス
      司法解剖
      通夜、告別式
      保護者会
      懲戒処分が軽すぎる!
      戦いは終わらない
      《日体大生へのメッセージ》――工藤奈美さん
      《日体大生たちの感想》


    case file4 灼熱の中、ラグビー部の顧問からの執拗な「罰走」により「体温43度」で死亡した宮脇健斗君 141
      ラグビーどの出会い
      川西中学校ラグビー部
      事故当日
      地獄への一報
      熱中症による多臓器不全
      「お手上げ状態です」
      「生まれてきてくれてありがとう!」
      通夜、告別式
      世間との戦い
      顧問に対する刑事告訴
      子どもの人権オンブズパーソン
      顧問との面談
      民事訴訟へ
      健斗君の『生きた証』を実践する
      《日体大生へのメッセージ》――宮脇勝哉さん
      《日体大生たちの感想》


    case file 5 野球部で仲間が受ける体罰に耐えられず、死を選んだ山田恭平君 177
      共感性の高すぎる子
      努力家の野球少年
      工業高校野球部
      技能オリンピック
      「もう、高校生活をあきらめた」
      「部活を辞める」ということ
      「トランプ事件」
      「今まで、すみませんでした」
      廃車置き場で
      通夜、告別式
      学校の対応
      部員たちの聞き取り
      手紙
      その後
      《日体大生へのメッセージ》――山田優美子さん
      《日体大生たちの感想》


    case file 6 「友だちにお菓子をもらって食べただけ」で、死に追い詰められた 大貫陵平〔おおぬきりょうへい〕君 216
      アウトドア大好き兄弟
      小学校時代
      両親の離婚
      面会交流
      野球部での体罰事件
      キャッチボール
      「お菓子」と生徒指導
      「親に言っておけ」
      「臨時学年集会」での「決意表明」
      「自爆だよ」
      真夜中の電話
      地域て評判の「いい学校」
      PTA合同委員会でのバッシング
      「こんなに起きているんだ」
      「指導死」
      「指導死」としての桜宮高校バスケットボール部主将自死事件
      《日体大生へのメッセージ》――大貫隆志さん
      《日体大生たちの感想》


    case file 7 「いじめから友達を守れなかった」悔しさから命を絶った篠原真矢〔しのはらまさや〕君 255
      美しすぎる遺書
      友達思いの愛されキャラ
      友達へのいじめ
      「いじり」
      「教科書事件」
      最後のSOS
      「絶対に扉を開かないでください」
      「真矢が亡くなった」
      それぞれの悲しみ
      調査委員会
      「産声」
      「生き方報告書」
      その後
      《日体大生へのメッセージ》――篠原真紀さん
      《日体大生たちの感想》

    第3章 日体大に来て、見えてきたこと 285

    1 「日体大生」「日体大卒」と体罰 287
      「理不尽」というノスタルジー
      日体大という「役割期待」
    2 なぜ体罰は残り続けるのか 290
      暴力の世代間連鎖
      体罰と「即効性」
      「熱さ」の押し売り
    3 体罰の免罪符である「信頼関係」とは? 293
      「信頼関係」とはなにか
      体罰とDV
      インフォームド・コンセントがない
    4 体罰はなぜいけないのか 297
      スポーツと暴力は相容れない
      体罰の裾野
    5 フォローのできない教師と「指導死」 300
      「指導」は生徒と教師の相互作用
      教師の権威
      四つの「権威」
      生徒の伴走者になるために
      「指導死」を生む教師
      「指導」はコミュニケーション 
      「いじめ」加害者としての教師
    6 なぜ学校は「隠蔽」しようとするのか 315
      文科省「学校事故対応に関する指針」
      「学校事故隠蔽あるある」
        ①教師の身分を守るため
        ②校長が定年間際である
        ③人事考査制度
        ④在校生の保護
    7 教育委員会は悪の巣窟か? 321
      記者会見でおなじみの人たち
      教育委員会とはなにか?
      学校事故被害者の「敵」か「味方」か
    8 学校部活動の語り尽くせぬ問題点 325
      部活動と「軍隊教育」
      部活動と「自主性」
      顧問の専制君主化
      アスレチックトレーナーの活用
      外部指導員
      これからの部活動


    おわりに(2019年1月 南部 さおり) [332-335]

  • 読んでいて苦しくなる本ですが、私はこの本を読んで、子どもに怒鳴るということが激減しました。
     つい子どもにイライラした態度をとってしまう、激しく怒ってしまう大人たちに読んでほしい本です。
    子どもをここまで追い詰めてしまう、大人と子どもの上下関係の心理。
    直接的な体罰でなくても、激しい叱責、怒鳴り声を浴びせるようなことは人権侵害、虐待にあたると強く認識しました。
    自分自身の、子どもに対する態度も改めようと心に誓いました。

    私の母は、怒るとヒステリックになるタイプでした。
    言い訳になってしまうけど、自ずと育てられたように育ててしまいがちで、自分も余裕がなくなると子どもにたいして激昂して怖がらせてしまいがちでした。
    でも、本当にそれは間違ってるな、子どもたちに対して本当によくない態度だったなと心底理解できた気がします。

    親とは、それだけで権力になってしまいがちで、絶対に暴君になってはいけないのだと。非力な子どもに対して、意識して一人の人間同士として向き合うべきなんだと。
    やっと心底腑に落ちました。

    本当に耳を疑うような学校教育現場での悲惨な事例が紹介されています。
    学校では、子どもにとって教師というのはある意味親以上に絶対権力と子ども自身がとらえてしまいがちで、教師からの理不尽な指導に追い詰められてしまう心理状態が本当にこわいなと思いました。

    自分自身の子育てへの反省と同時に、教育現場へのある意味注視も怠ってはいけないなと。
    この本では、子どもを守れなかった親の切実な悔恨の声、加害教師が軽い懲戒処分だけで済んでその後も復帰できてしまうことへの憤り、等強く胸に訴えかけてきます。

    これを読むと、子どもらは学校という場所で多かれ少なかれいろんなことを我慢しながら毎日必死にがんばってるんだなと、改めて思いました。

    だからこそ、家は安全基地でないといけないんだ、と痛切に思いました。

    考えてみれば、この世に生まれてたかだか数年で、毎日決められた時間に登校し、集団行動できてる時点ですごいこと。
    低年齢のうちから強制的に社会生活に適応させられ、、ある意味不自然なことをさせられてるとも言える、、。

    そう考えると、家でも些細なことで怒られる、、なんて可哀想すぎる!という思いに至り、優しくしすぎてしすぎることはないんじゃないかと、そんな境地にもなりました。

    この本を読んだ直後の自分の気持ちを忘れないよう、長々とここに記しました。

著者プロフィール

日本体育大学スポーツ文化学部武道教育学科准教授・医学博士。高知県生まれ。
専門分野は法医学・刑事法学・スポーツ危機管理学。児童虐待やスポーツにおける体罰・ハラスメントに関する問題を、医学・法学等の分野横断的なアプローチで研究している。

「2021年 『親の手で病気にされる子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

南部さおりの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×