「明日の田園都市」への誘い: ハワ-ドの構想に発したその歴史と未来

著者 :
  • 彰国社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784395005949

作品紹介・あらすじ

田園都市の理念が、一九世紀末のロンドンの劣悪な都市環境に対する批判から生まれたことは確かであろう。そして具体的な都市イメージには中世の都市のスケールが参照されていることも事実であろう。しかもその源にはラスキン、モリス、そして米国のベラミーらが抱いたユートピアのイメージが横たわっている。日本においては、すでに明治時代に内務省の有志によってこの田園都市の理念が本格的に紹介されているし、欧米においてもこれを応用する都市づくりの試みがなされた。本書は、このような田園都市の歴史を幅広く捉えたものである。

感想・レビュー・書評

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  •  三浦展さんの本の推薦で、購入。

     ハワードの『明日の田園都市』も読んでいないのだが、この本を読んで、不思議と、ハワードの原著をあまり読む気にならなかった。

     ハワードはこの本によれば速記者で、独学で本を書き上げたらしく、その後のレッチワースなどもハワードの本にそって計画されたわけではないらしい。

     確かに、ハワードの円が七つある模式図はあまり魅力的に感じない。

     この東さんほかの本は、とても、なんだか明るい気持ちにさせる。東さんたちの性格の反映か?

    (1)特に現代において重要な意味の第一は、「都市と田園の結婚」である。(p227)

     人口減少社会のなかで、住宅地に空き地が虫食い状にでてくると、どうしても、農地と宅地の混在が想定される。そういう新しい意味で田園都市も考え直せるのではないか。

    (2)ハワードの代わりに、彼らは(田園都市を訳した内務省有志たち)、二宮尊徳の報恩思想と結びつけた、日本的ともいうべき田園都市思想を追い求めていたのである。(p107)

    (3)レッチワースの運営主体は、最初は株式会社、投機筋の株買いをおそれて、開発公社、そして最終的には財団が管理している。(p145)

     都市計画は、とにかく資本との戦いとおりあいの歴史だが、レッチワースもその舞台になったというのも象徴的だと思う。

  • 元祖・田園都市と疑似・田園都市の境界をなぞるような本だった。日本での有名な事例として取り上げられる田園調布を構想した渋澤秀雄、彼がインスピレーションを受けたのは実は田園都市の提唱者ハワードではなく、サンフランシスコの「田園郊外」だったということに少々衝撃を受けた。詳細は省くが、この事実を知らなければ少なくとも日本人は「田園都市」の本意を根本的に誤解している可能性があるということでもある。

    本来の田園都市は地球環境や地域コミュニティをも含めた持続可能性を実現するための居住環境として構想されたものであり、今日世界各地にみられる疑似・田園都市=田園郊外はオリジナルを中途半端に翻訳してしまった結果ともいえる。居住環境の不具合を田園都市理論そのものに押し付けるよりは、今一度その本意を捉えなおす必要があると思える本だった。

  • 農村地帯に囲まれた経済的に独立した寺院こう3万人程度の田園都市構想を打ち立てたハワード。

    コルビュジェが描いた高密度人口の集積による輝けるイメージとともに近代都市計画の2大記念碑といえる。

    東急田園都市の開発と比べるとさらにおもしろい。

  • ★当時こういう副読本があれば苦労しなかったのにな〜、とか思う反面、今だから併せて読むことに意味があるとも思ったり。当時からこの本があったら、原典をキッチリ読み込もうと努力せずに投げ出して売り飛ばしてたかもしんない。

  • 分類=農村・まちづくり。01年10月。

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