コミュニケ-ションのア-キテクチャを設計する: 藤村龍至×山崎亮対談集 (建築文化シナジー)

  • 彰国社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784395241118

感想・レビュー・書評

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  • 藤村さんと山崎さんの違いに興味を持ちましたが、本書ではそれほど深く追求されてはいません。広義の目標は共通でも、方法論やスタイルにおいて違う点があると感じますし、その違いを中心に今後もお二人の活動に関心を持ち続けていきたいと思います。

  • studio-L山崎さんの対談本。政治とアーキテクトの取り組んでいる課題は、共通点もある割にアウトプットの美しさが異なってしまうという点は、実はIT業界でもアウトプットへのこだわりという部分では近いものがあるかなと思いました。あと、お金は関係性を切ってしまうという点も共感したところで、確かに「これは貸しだからね」「こないだの借りを返すよ」っていうやりとりはお金を介在させないからこそ楽しくなる部分もあるなぁと思いました。自分の伝え方、コミュニケーションの質についてはまだまだケアするべき点がありますね。

  • 【読書メモ】
    アンリ・ルフェーブル『日常生活批判』
    →生活スタジオ

    ハンス・ホライン「すべては建築である」
    →「すべてはコミュニティである」

    磯崎新フリークの山崎さん
    「見えない都市」「プロセス・プランニング論」あたりが好き。

    ピーター・アイゼンマンまでは、まずコンセプトありきだった。レム・コールハース以降は「コンセプトはどうでもいいんだ。プロジェクトごとに異なるコンテクストがあって、政治的状況も違えば、環境的な条件の違いもあるから、その違いにただ応えていけばいい」という考え方になった。

    一般意志を可視化する=コミュニティの構成員の様々な意見をワークショップで引き出して、それを匿名化させてキーワードを抽出する。

  • 最近ちょっと注目している藤村龍至とコミュニティデザインでおなじみの山崎亮の対談なので、面白そうだと思って読んでみた。

    ハードものを作らなくても、地域の課題を乗り越えていく手助けを仕事にしている山崎さんが、「つくる仕事」を知らないと「つくらない仕事」はできない、「つくらない」といってもフィジカルなものは作らないというだけで、クリエイティブという意味ではたくさん創っていると語っていたのが印象深かった。

    また、「住民参加」のスキルは相当上がってきているのに、行政側の公共事業への参加の仕方が20世紀型。あたかも公共事業は全部行政ができるかのようにふるまってきた。行政が全部公共的な事業を抱えるというのはほとんど不可能なんなだから、住民にも支えてもらわなければいけない、というのは耳が痛いがその通りだと思う。もっと現場の担当者に裁量を与えて、臨機応変に対応すべきなんだと思うし、そういう方向に向かいつつあるが、長年しみ込んだ組織マインドはなかなか変わらないというのが実感。

    それに、建築設計に携わった人は、いったん決めたことは後戻りしないということが染みついているから、住民のワークショップでも、ひとつひとつフィックスさせていって議論を積み重ねて結論を引き出すっていうのは、大事なこと。心しなければならない点だと感じた。

    これまでの山崎さんや藤村さんの言っていることと重なっている部分も多々あり、とりわけ目新しい発言をしているわけではないが、それらを再確認するという意味でも面白い対談集でした。

  • コミュニケーションのアーキテクチュアを設計する。
    「何を目的として」「誰のために」「どうやって」、それぞれについての二人の意見、主張、哲学が悉く異なっているのに、何か共通するものを感じるのは何故なのか。

    同じことを繰り返したり、言い換えたり、アプローチを変えてみたり、テーマをスライドさせたり、何というか・・・小賢しい印象が強いです。

    二人が歩み寄ろうとしているからこそ、そうなってしまうのでしょうか。

    最もしっくりきたのは「物語性」を重視するという点において、二人が楽しみながらそれぞれの仕事をしているし、また建築家やデザイナーは、その部分をこそ語る熱意・技術を持つべきであるというところ。

    ハッピーエンド、ネバーエンディングを目指すには、あらゆる箇所を整合、統括させていく必要があって、それこそ建築・アーキテクトだよね、みたいな。

    とてもインテリな本でした。

  • コミュニティから建築へと進んだ藤村さん、建築からコミュニティへ進んだ山崎さんの、つくることと、つくらないことについての対談集。
    学生の頃、有名建築家の設計した建物を見に行き「建築を勉強してるんです」と言うと、たいていそこで働く方が建物の使い心地などを話してくれた。学生だという気安さからか、建物の悪口も多かった。いくら形がカッコ良くても、使う人たちが不便ならば、その建物は存在する意味があるのだろうか?というようなことを考えていたような記憶がある。本書を読んで、その頃のことを思い出した。
    すでに建物を建てれば地域の課題が解決できる時代ではないし、公共建築の数は減る一方だ。建築家は、つくらない世の中に恐々とするのではなく、その専門知識と能力をつくらないことにも発揮できるという。そのためには、政治や社会などの広い知識も必要なのだろう。でないと、説得力ないからなぁ。

  • 分野は違ってもいまやっているようなことにいろいろヒントを得られたと思う。

著者プロフィール

藤村龍至:建築家。東京藝術大学准教授。RFA主宰。アーバンデザインセンター大宮(UDCO)副センター長。主な建築作品に「すばる保育園」(2018)「鶴ヶ島中央交流センター」(2018)「OM TERRACE」(2017)など。主な著書に『批判的工学主義の建築』『プロトタイピング』がある。

「2018年 『BIOCITY ビオシティ 74号 エコロジカル・デモクラシーのデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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