小林多喜二名作集「近代日本の貧困」 (祥伝社新書122)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396111229

感想・レビュー・書評

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  •  短編を中心に構成されている。どれもダイレクトに感覚が伝わってくる作品だ。

     『オルグ』では珍しく(?)男女の恋愛模様が描かれており、「運動」とそれを絡めた書きかたは、見事なものだと思う。

  • 新書文庫

  • [ 内容 ]
    日本中で『蟹工船』が読まれているという光景を、いったい何人の人が予想しただろうか。
    小林多喜二の描いた世界なんて、すでに遠い昔話だと、誰もが思っていた。
    が、現代日本の若い人たちは、リアルを感じながら読んでいるのだという。
    本書では、なかなか一般の目にふれることのない小説・評論・戯曲を集めた。
    『蟹工船』ではじめて多喜二と出会った人は、ぜひ他の作品にも目を向けてほしい。
    どれも濃厚な味と匂いのある作品ばかりである。
    登場人物たちが、歪みきった社会との闘いに人生を燃焼させる姿は感動的だ。
    そして、この作品が昔話ではなくなってきた日本の行く末に、不安をおぼえる。

    [ 目次 ]
    失業貨車
    残されるもの
    銀行の話
    オルグ
    飴玉闘争
    宗教の「急所」は何処にあるか
    地区の人々
    小説作法
    山本巡査

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • プロレタリア作家小林多喜二の作品集。2中編、4短編、1戯曲、3評論を収録。資本主義下での抑圧の在りようは、今も嘗ても大差ないようだ。資本主義や帝国主義戦争への批判は今なお当を得ているに違いないが、しかし多喜二が描くような運動が当時と同じ情熱で現代に蘇ることは最早在り得ないように思う。左翼運動を扱った作品を読むたびに、"運動的なるもの"への嫌悪が思い出される。全ての価値を革命成就への効用で計る政治的還元主義、そこから派生する禁欲主義。連赤事件にも通じる、非人間的な暗さが嫌なのだ。現代には現代の抵抗運動の姿が在るはずで、それはとにかく陽気で愉快なものでなければならんと思う。

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著者プロフィール

1903年秋田県生まれ。小樽高商を卒業後、拓銀に勤務。志賀直哉に傾倒してリアリズムの手法を学び、28年『一九二八年三月一五日』を、29年『蟹工船』を発表してプロレタリア文学の旗手として注目される。1933年2月20日、特高警察に逮捕され、築地警察署内で拷問により獄中死。

「2008年 『蟹工船・党生活者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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