- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396112141
作品紹介・あらすじ
私たちが日頃なんとなく「おいしい」を伝えたつもりで使っている表現は、およそ不完全なものばかりだという。それは、深く意味を考えずに常套句を使っていたり、先入観にとらわれて、本当はどうなのかを正しく言い表わせていなかったりするためだ。そこで、正しい感覚を取り戻し、言葉の数を増やし、表現力を豊かにするためのプロセスについて解説したのが本書である。
感想・レビュー・書評
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あらためて、用いる言葉や伝え方について考えさせられる一冊。
表現力もさることながら、「香りを嗅いだ瞬間から、右脳を経由せずに、直接左脳で、すでに言語化している香りや味わいの表現を使って分析している」というソムリエの技術に関心させられた。
個人的に”わが意を得たり”と読んだのが、純米酒原理主義者や、ビオワインの信仰者に関する記述。自分の場合は、「嗜好品だし、おいしければいいじゃん」くらいのレベルの低い話なのだが、本醸造も酸化防止剤入りも全然アリ。 -
日本人の味を伝える際に使う「変な表現」をぶった切って行き、言葉にして伝える技術とはなんなのか。五感を使うとは、五感の鍛え方、さらには五感を鍛えることで豊かな表現、語彙力を身につけて成長するには。ということが書かれていて読んでいて非常にためになった。きっと多くの経験と知識は人とのコミュニケーションにも活きてきて思いやりを持つことができる、というのも納得でした
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著者の本はどれを読んでも分かりやすく、かつ論理が緻密で好きです。
「美味しい」という表現をどのように表現するか。
香りは、味は、見た目は?
「表現する言葉はどのような国の人とでも理解しあえる表現を使いましょう」という著者の主張には共感します。
感覚を共通表現で言語化する。
著者はそのテイスティングの最中どういう脳活動をしているか科学実験したところ、右脳ではなく左脳が活発に働いていたそうです。感覚脳ではなく論理脳。つまり活発に論理脳を使って言語化しているとのことでした。
えてして「美味しい」「いい香り」で済ませてしまうのですが、具体的にどうなのか意図的に言語化して表現して記憶していくことが大切だと痛感しました。 -
ワインの表現だけかと思っていたら、まず第1章で「おいしい」に関する様々な思い込みが紹介されるという軽快な切り口でスタート。
以前からTVレポーターの「肉汁じゅわっと」という表現に、あまりおいしさを感じていなかった私はこの第1章を読んでスッキリ。ただ逆に「日本のワインより、フランスワインのほうが絶対おいしい」という先入観での思い込みはまさに私のこと…。味わいを表現することの難しさを痛感しました。
そして第2章以降で、言語化するまでのプロセスや、五感を鍛え表現力を豊かにする方法が書かれています。事例が具体的でわかりやすく、人生やビジネスでも役立つ「表現力の鍛え方」を学べる本だと思いました。
さあ、明日の散歩は、嗅覚を使って風や草木を感じながら歩いてみようと思います。うまく言葉で表現できるかな…。 -
どうしてソムリエの方は確実にワインの味を表現できるのだろう?と思っていました。私もコンサルですからしゃべってなんぼ。伝える技術とは?
大別すると、
「感じ取る力」と「表現する力」に分解されます。私がなるほど、と思ったのが、
感じる力のストックです。
ワインの味の表現で、「イチジク」とか「ナツメヤシ」と言うのがありますがそもそもそれらの香りをまともに嗅いだ事はない。香りの「語彙」を増やすために著者の田崎さんはいろんな匂いをかいで、覚えました、と。
あとは順番は逆ですが感じる力。現代人は嗅覚を使わず視覚に依存しすぎ、と。 -
五感、特に鈍くなった嗅覚を鍛えることで表現力を豊かにする。積極的に誉める力もつく。減点方式は個性がなくなりがち。
ビジネスや教育に通じるところも意識して書かれてて良かった。
ソムリエは左脳でテイスティングしているという話に妙に納得。 -
・表現上手になるには、常にポジティブになろうとする。
・相手を褒める -
以前、ワインの味見をした人が「馬小屋の藁」の「味」と言ったのか「香り」と言ったのかは忘れましたが、とにかく驚いたのが「馬小屋の藁」!これってあり?全然理解できないって思ったものです。一方でテレビのコメンテーターが「肉汁がしゅわっと」って言う味の表現もどうかと思っていたので、一体、美味しさをどう表現するのか少しでも知りたく読んでみました。
ソムリエじゃないから(みそソムリエだけど)この本によると「美味しい」でいいそうです(そう単純じゃないけど)
昔は賞味期限とかなくて、臭覚を敏感にして食べられるものを選ばないといけなかったです。「三丁目の夕日」って映画では、シュークリームを臭いで腐っていると判断した薬師丸ひろ子が捨てるように言ったのだけど、それでも食べたい堀北真希がそれを食べておなかを壊すシーンがありました。
でも、賞味期限に頼るようになって、自分で判断できなくなっていますね(ワープロで漢字が書けなくなったり、スマホで電話番号を覚えられなくなったりって言うのと似ているような)。
「思ったよりも癖がなくて食べやすいですね」「飲みやすい日本酒ですね」って言う言葉はよく聞きますが、じゃ、食べたり飲む前は「癖がある料理」「飲みにくいのが日本酒」って思っていたのか。そもそも、「飲みやすい」は誉め言葉なのか?個性があって、ある人には「飲みにくい」って感じることこそ日本酒の良さかもしれない。一方で、いろんなコンクールなどあるけど金賞とかもあるけど、そういう権威も大事だろうけど、「美味しい」って単純な言葉でいいから、喜んでもらえるファンを作ることは食にかかわるものとして大切かな。
田崎さんはその食品やワインが商品が本来持っている美味しさを言葉にして記憶する必要があるのでしょう。でも、一般人の私は、美味しさは、本来そのためのが持つおいしさの他に、「ギンギンに冷えている」ビールをめちゃくちゃ熱い日に飲むとか、すごく楽しい友達と飲むとか、いろいろ周りの影響を受けたりして「美味しさ」が生成されます。それも重要な要素になるような気もします。 -
五感を鍛えようと思った。