- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396112660
作品紹介・あらすじ
二〇一一年七月、米国防総省は「サイバー空間」を陸・海・空・宇宙空間に次ぐ「第5の戦場」であるとし、サイバー攻撃に対して武力で反撃すると宣言した。レーダーの乗っ取りや原発関連施設へのウイルス攻撃など「サイバー戦争」は現実のものとなっており、さらに電力・通信・交通など攻撃対象は生活の中枢に及ぶ。その中で、日本の対応は大きく遅れを取っている。現在の法律では、サイバー攻撃に対して自衛隊は出動すらできない。戦争を根底から変えるとされるサイバー戦について、陸上自衛隊システム防護隊の初代隊長として最前線にいた著者が解説、日本の現状に警鐘を鳴らす。
感想・レビュー・書評
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古いが、犯罪としてではなく、戦闘領域としてのサイバーというものをざっと理解するのには役立つ。
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LACに勤めるサイバーの専門家で、自衛隊OB。個々の項目は、記述が発散気味で学術的とはいえないが、よく調べられており内容は濃い。サイバーに関する多くのことが網羅されており、新たに知ったことが多かった。印象的な記述を記す。
「サイバー戦では攻撃者が絶対的に有利であり、ターゲットにされた側は常に反撃が困難な戦いを強いられる」p102
「いつか日本がどこかの国と衝突し、戦争が始まれば、その国の愛国青年たちが「愛国無罪」などと言って一斉に日本の中枢インフラなどにサイバー攻撃を仕掛けてくるかもしれない。いや、きっとそうなるだろう」p108
「「もしやったら、タダではおかないぞ」と米国が拳を振り上げるほどに、おそらく水面下では熾烈なサイバー戦争がすでに戦われており、それが世界最強のサイバー戦能力を誇る米国をもってしても、もはや御しがたいほどに深刻になりつつあるということなのだろう」p188
「世界の軍隊を規律する法規は、国際法でやってはいけないとされていること以外は何をやってもかまわない、いわゆる原則無制限の「ネガリスト」方式とよばれるものである。これに対して日本の自衛隊は、すべての行動に法的な根拠が必要で、法に定められていることしかできない。命令にないことはご法度の、いわゆる原則制限の「ポジリスト方式」である」p211 -
5年前の著者ではありますが、サイバー戦の事実を知るための教科書的な書籍です。ご本人のセミナーは分かりやすかったです。
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サイバー攻撃の主体は、
1.愉快犯
2.金銭目的の犯罪組織
3.政治的ハッカー
手段としては
1.DDos攻撃
2.プログラムの乗っ取りや書き換え
3.チップへのマルウェアの埋め込み
4.脅迫、潜入、心理戦 -
序章はかなり煽っている。前提条件が異なる事項を混合させて煽る手法。マスゴミ的記述だが,一般人に危機感を持たせるにはこれでいいのかもしれない。
民間から経済産業省の審議官になった著者がこの本で提起した課題を解決してくれることを望む。
気になった点(間違いではないが)
・用語の使い方が一般的でない(自衛隊用語?)
・後日判明した事柄から記述が不正確な部分がある(スタクスネットなど) -
サイバー戦に関する日本や周辺国の状況を簡潔にまとめた本。リチャード・クラーク氏の世界サイバー戦争と内容が近かったことから個人的にはあまり有意義ではなかったが、時間をかけずにざっくりと把握しておきたい場合には適しているのではないかと思う。
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著者の新作、『サイバー・インテリジェンス』を読んだ後に本書を読了。
なので、本書と新作のほうを読んでの感想を先にのべるとどちらも基本的な内容に大きな違いはないように感じた。
ただやはり、どちらもタイトルに即した内容にはなっている。
ハッキングの問題をインテリジェンスの問題として捉えるのと、戦争との関係で考えるかの違いである。
とまあ、比較はこれくらいにして、
読んだ感想としては、「もしかして日本ヤバイんじゃね!?」ということである。
今はいいけど、今後マイナンバー制度が日常の隅々に広がっていくことを考えてもヤバイと思う。
”自衛隊は専守防衛。サイバー攻撃は物理的攻撃ではないので、日本が大規模なサイバー攻撃を受けても自衛隊にそれを止めることはできない。”
”日本はウイルス対策ソフトの会社がない”
など・・・。
IT界隈では「IoT」などと騒がれているようですが、新しいモノや事ををつくるのも大事ですが、それを守る・維持する段階にも入ったと思います。 -
2007/4 エストニアへのサイバー攻撃
1991 独立 IT立国
第一次ウェブ大戦 -
著者である伊東氏(元防衛省)の講演が面白かったのをきっかけに購入。
分析・記述には説得力があり、「脅威」をわかりやすく理解できた。様々な手口がありえるということ、喰らうと本当に深刻な事態になるということを、行政組織・企業の(セキュリティ担当者に限らず)PC等を使うすべてのビジネスパーソンにとって一読の価値あり。