人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284)
- 祥伝社 (2012年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396112844
感想・レビュー・書評
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本屋の立ち読みで読了できるくらいの内容量だけどメッセージは濃かった。この本を読んだ人は普段考えないようにしている日本の先行き暗い未来をもう一度見つめ直し、自分が何とかしなければいけない!と思ったことでしょう(いや、高城フリークの人間ならばw)。実際に地域活性というのはそれだけ重要なことで、内需に媚を売るのではなくグローバルな視点を持って地域をブランディングしていくことが大事だと説く。ここでもやはり日本で大事なのは世代交代なんですよね結局。相変わらずブレ幅の少ない高城さんの言うことはもっともっといろんな人のもとに届いて欲しいと思う。提言的なものだけでなく、サンセバスチャンの事についても色々と載っていて、歴史文化など非常に興味深く、いろいろ考えさせられる。バスク地方と日本を対比して考えたとき、やはり決定的に日本が間違えたのはアメリカナイズしたことだったんだろうなと。。その斑の部分が浮き彫りになったからこそ、脱アメリカがやっぱり日本が閉塞感から立ち上がる手段なんだと思うけど。うーん。
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以前、フレンチのお料理教室で、バスク地方の郷土料理を作る回があり(バスク地方はスペインとフランスを跨ぐ自治州)この地方はちょっと興味のある地域でした。
そうしたらこのたび夫の友人が、著者侮るなかれ、とオススメしてくれたのが、このバスク地方を舞台をした本です。
著者は、エリカ様の元夫(だっけ?)高城剛さん。
若い女優を妻にして満足している、更にハイパーメディアクリエーターという胡散臭い肩書を持つ彼を連日ワイドショーで見かけたときは完全に引いてました。
が、読んでみたら意外に文章は簡潔明瞭、クセがなくて分かりやすいし読みやすい、それに見解もいい。見直してしまいました。。
スペイン北部のバスク自治州の小さな街サン・セバスチャンは、ミシュラン☆レストランがいくつもあるという美食の街として有名で、世界中から観光客が大勢やってくる場所だそうです。
著者はこの小さな街がなぜ観光産業で成功したのか食分野での成功の秘訣を解きながら、日本での観光産業の問題点をクローズアップしています。
と同時に、観光案内本としてもイケるような楽しさ、そして料理に関する記述も多く、料理好きな私はいろいろな面で楽しめました。あーその料理習って作ったよ!とか、
ピンチョスは華やかで前から好きだったけど、進化系のピンチョスハンバーガーの、想像外のかわいらしさに感心したりしてね。
(著者はそっちの意図じゃないと思うけど・笑)この本を読んでスペイン料理を作りたくなりました☆ -
高城剛氏の本は初めて。「ハイパーメディアクリエーター」「沢尻エリカの夫」という刷り込みがあるのでこのタイトルでなければ手に取ることはなかったでしょう。
20年前に訪れたサンセバスチャンは静かな港町でした。確かにメシの旨さは出色でしたがまさかこんな展開になっているとは。人口18万人の街でミシュラン3つ星が3軒。人口当たりの星の数はダントツの世界一。
事業再生・地域再生に通じるポイントが一杯です。
教育が力になる。(本格的な料理大学を設立)
あるものを活かす。(雨の多い気候を地の野菜の美味しさにつなげた)
街全体でコンセプトを共有した。(ベースはあくまで伝統料理。加える変革は、同じ材料で違う形のもの、同じ形だが材料が違うもの、というルールを設定)
レシピを公開する。(情報を共有することで広がりができる)
地方自治の究極の形、と思えます。「ゆるキャラとB級グルメでは地方は救えない」のは真実です。インバウンドを全く念頭に置いていないからでしょう。
面白く読めました。 -
観光を考える出会いになる1冊。
日本力、観光力を考えて今日この日から行動しようと思う。
世界を生で見ている、だからここはすごいと
断言できる自信には圧巻。
以下レバレッジメモ
スペインはなぜ観光で大成功を収めているのか?
21世紀における最大の産業は何か
21世紀における最大の産業は観光産業です。自動車産業でも航空宇宙産業でもありません。雇用の面でも売上の点でも、観光産業に匹敵する産業は見当たりません。UNWTO(世界観光機関)によると、1993年の時点ですでにその規模は自動車産業を抜いています。さらに今後BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)等の国々で新たに誕生しつつある中間所得層が続々と海外旅行に出かける事が予測され、現在8億人の国際交流人口が2020年には倍の16億円に増加すると言われています。また、ボーイング社の長期予測によると20年後には3万5千基の民間商業気が世界の空を飛び回ることになるそうです。現在は1万9千期なので、エアラインの供給は航空機の大型化を考えると、飛行場などの航空関連インフラが整備されることを条件に、増加する国際交流人口にやった対応できそうな状況なのです。しかし、目的地の観光インフラがこの膨大な旅行者数を受け入れられるかどうかが、今後の観光産業の唯一の懸念材料となると言われています。逆に考えれば、しっかり問題点を解決することができれば観光勝ち組都市となることができるわけです。
外国人観光客が、国の人口を超えたスペイン
世界有数の観光先進国となったスペイン。訪れる外国人の数は、フランス、アメリカについで世界第3位です。2001年時点の統計で、スペインを訪れた観光客4800万人は国の人口4000万人をはるかに超えており、現在も伸びています。国際観光収支世界第1位であり、観光GDPをみると、スペインは日本の50倍も観光産業が発達しているのです。一方2010年4月にアメリカウォールストリートジャーナルが発表した数字によれば、日本を含むアジア太平洋地域トップの観光産業国は、GDPの14%を占めるカンボジアです。2位は9.5%のマレーシアと香港。4位以下は、タイシンガポール、ラオス、ニュージーランド、フィリピン、インドネシア、韓国と続きますが日本はわずか0.3%にしかありません。この数字は日本が21世紀最大の産業である観光産業にいかに本気で取り組んでいないかのあかしであり、また、外交を含む国際コミュニケーションが下手であることの表れであると感じます。客観的に見ても観光資源が多い日本は宝の持ち腐れ状態にあることは間違いありません。世界のどうぞよろしくお願いいたしますの観光の専門家と話しても、日本の現状を勿体ないやなぜ?と口をそろえます。なぜスペインがこれほどまでに世界的な観光地になれたのでしょうか?観光産業の発展には様々な要素がありますが、まずは治安、気候、観光資源、交通手段、宿泊、飲食施設、値段の安さ、そして外国語への対応などが挙げられます。そして、スペインはこれらのほぼすべてを備えています。正確に言えば、努力して補い顧客ニーズにこたえています。
後手に回る日本の観光政策
日本も世界に冠たる治安の良さ、美しい敷き、豊かな歴史と遺産、新幹線等の交通手段、多様な宿泊施設、ヘルシーな日本食と、外国人観光客にとって魅力的な要素がいっぱいそろっています。問題は残りの2つ、物価の高さとPRなどのコミュニケーションを含む国際感覚を持った外国語への対応の不足です。まず、観光産業界の国際感覚の違いの代表的なものとして、ホテル料金の値段設定が挙げられます。海外では一般にホテルは1部屋イクラの料金なのに、日本では1人いくらとして計算されることが多く、海外からの旅行者にとっては大きな不満となっているようです。また、言語の面でも大変に遅れていると思います。スペインの観光バスのガイドは大概3か国以上を話します。母国語の他に英語、フランス語、ドイツ語などで、バルセロナに住む多くの人も、言質の言葉である過多乱後、スペイン語、英語、さらにもう1か国話す人が多くいます。観光客用のツアーバス内では小名氏説明をたとえば3言語に分けてするバスガイドや、また著名な観光地では言語別グループに分けて案内するところもあります。バルセロナに限らず大都市の市内観光バスには、座席にイヤホンがついていて10か国語前後の言語で説明が効けるのが一般的です、これに比べると日本は英語での対応さえも十分ではないように思えます。そして円高については、これは観光産業界だけで考える問題ではないと思いますが、今後円安になった時の国家としてのリスクヘッジを観光産業に求めるべきであると個人的に思っています。
サン・セバスチャンの成功から日本が学ぶべきこと
街の成長に必要なのは、個人のパッション
サン・セバスチャンは21世紀初頭における小都市での産業クラスターの成功例であり、観光産業の成功都市であるのは間違いありません。特に食文化による観光戦略の成功は世界中の小都市がモデルにできないかと、専門家たちがこの町を研究していますが、日本ではまだまだ名前が知られていない小都市です。世界中を回って、面白いと思った題材を書いている僕が、この町で1冊書こうと思うほどですから、他にはない何かがあるのは確かです。では、その他の街にない何かとはなんなのでしょうか。それは第一にこの地の人達のパッションだと思います。何かに熱中する熱い心が何よりも大切なことだと、多くのシェフや教育者と話していると改めて実感します。経験や知識なんて、重要じゃありません。そんなものはやりながら覚えればいいんだと皆話すのです。そしてそのパッションとは一時的なものでは仕方がありません。いつまでも継続するパッションを持ち続けられるか。ここも大切だと、アルサックやイリサールなど決して若いとは言えない料理人たちと話しても感じます。そう彼らには今もパッションがあふれているからです。ただ一方でパッションだけではどうしようもありません。2つ目に大切なことは世界の中での自分たちを知ることです。地元の魚や食材がおいしいと思っている人はどこにでもいます。しかし世界の端から端まで見渡して、自分たちの可能性を客観的に理解している人はどれくらいいるでしょうか。来尾が何よりも大切なポイントです。若きサンセバスチャンのシェフたちは世界中を旅して再びサンセバスチャンに戻りました。
多くの日本人にとって長い間世界とはアメリカを指す言葉だったと思います。しかし実際は違います、だからまずは本当の世界を知る事が、観光戦略を立案するうえで、最も大切なことだと僕は考えています。そして、日本はアジアにあります。ですので、アジアの近しい国々を知ることが、観光戦略を立案する上で地理的にも大切なことなのです。世界の中の日本を知ること、アジアの中の日本を知ること、ここに日本の観光戦略の表層ではない本質的な解決策があると思います。
その世界すぉしる顕著な例のひとつに階級社会があります日本には理解しずらいと思いますが、海外からの観光客にはいろいろな階級の人達がいてそれに合った旅のスタイルを利提案できないといけないと理解することにつながります。たとえば世界の富裕層が泊まるホテルは日本円にして最低10万円というホテルは少なくありません。日本にはいったい何件あるのでしょうか。最低資産500億円の人たち向けの旅行先はかつて中産階級国家だった日本ではほとんど見当たらないのです。同時に必要なのはこの富裕層をケアするアテンダントでしょう。この人材もほとんど今の日本にはいません。いわば高級日本観光サービスのプロフェッショナルです。そのてん韓国済州島は確実に時代に合った観光戦略を作っているように見えます。また階級とは必ずしもお金を持っている人たちを指しません。上流階級=富裕層ではないのです。かつてぼくはロンドンで仕事をしていた時に人前で自動車の所有が趣味だとは絶対に言うなと教えを受けたことがあります。自動車を趣味にすることはお金を払えばだれにでもできることです。一方クラシック音楽や美術、歴史や文学はそれなりの知識や教養がなければ話すことはできません。ものやそれにまつわる情報はお金で瞬時に入手できても知識や教養は一朝一夕ではにゅうしゅできません。そのため車が趣味のような下品な話をしたらクリエイティブ能力とセンスを疑われるというものでした。ですので、富裕層というターゲット設定も長い目で見たらそのような所得も知識もある人をターゲットにしていかないといけません。外国人の観光目的は歴史と伝統文化に触れたい、現代文化(音楽、アニメ、ファッション)、料理を楽しみたいがトップ3です。いま世界的な観光戦略はサンセバスチャンに限らずある特化したあるジャンルでメディアに格付けされることを狙っています。それはレストランだけではなくホテルも地域もすべてです。
世界を知る
そのうえで己を知る。身の丈を知る。
古いものを守り、新しいものを融合させ今を考える
そして、オープンな姿勢で、多くのものとシェアしていく
この次の時代のヒントを、世界一の美食の街と言われるバスク地方サンセバスチャンの食事やここで働く多くの人とふれあって何より僕は感じます。
あとがき
昨今の日本は閉塞していると言われています。その問題から脱却するためにはどうしたらいいのだろうか、とよく尋ねられますが閉塞の逆はオープン化に間違いないと僕は思っています。個人や組織が蓄積してきた解放されるべき情報を閉ざしている間は密までたっても閉塞感に溢れ新陳代謝は行われずに根幹から末端に至るまですべて停滞化し、やがては腐っていってしまう。これが日本においてあらゆる場面で見られる現状なのでしょう。では、なぜオープン化しないか、もしくはできないのでしょうか?それは、あらゆる物事をオープン化する事によって、既得権益や社会フレームが大きく変わってしまうからでしょう。もしオープン化したら大動乱になるかもしれない。それだったらゆっくりと朽ちたが方がよいと、既存フレームに寄り添う人たちは考えるのでしょう。これは権威とアカデミスムにおぼれたフランス料理の行方と同じなのです。現在スペイン料理が世界をあっ関していると言えます。それは料理業界に長く根付いていた指定制度や既得権益を打破することから始まりました。皆で教えあい、可能性を追求し、情報や技術をシェアし、地元を愛しながら、世界を回って探し出したフレーバーを織り込む柔軟さを持ち何より食べることや作ることの楽しさを追求することだと思います。どれも、今の時代には当たり前のことです。けれども、この当たり前のことが料理業界では長年出来なかった理想とされていました。スペイン料理が世界をあっ関している真の理由は、ただ単純に、どこまでも理想を追求したことです。そしてこれは誰もが気づけばすぐに始められることなのです。さて、小難しい話はどうでもよいと正直思います。ぜひ一度サンセバスチャンに食べに行って街を感じてほしいのです。
もしかしたら、なんだ、これくらいだったらわが町にも可能性があるじゃないか、と感じられる方も多いかもしれません。それほど、日本の小都市は山川溢れる自然が素晴らしい場所が多くあります。このいまは小さいけど、やがて大きくなる可能性の集合が、日本の次世代の可能瀬だと、世界を回って僕は思います。
日々、世界を回れば回るほど、僕は日本の眠れる可能性を感じます。その可能性が大きく花開くのを誰よりも楽しみにしています。 -
想像していたよりもずっと、日本が、そして日本の都市が学べる内容が盛り込まれていた。観光産業の市場規模にも驚かされたけど、日本の後発ぶりには焦るばかりに思えた。観光にもオープンイノベーションを、そして戦略的なマーケティングが急務なのかも。
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これ読んだらサンセバスチャンに行ってみたくなる。
そして行ってみた。
街の雰囲気、バルが最高だった。 -
料理がテーマだが、観光産業のあり方を考えさせられた。
料理は新しいことが必須だとは思わないが、情報を公開・共有して向上を目指すところには、共感する。
サン・セバスチャンに行ってみたい。 -
ダメ。
子供の夏休みの自由研究レベルの本。
調べたことをつらつらと書いてみました的な。
文章の構成、論理展開がデタラメなので読んでいて辛い。
「日本が学ぶべき戦略とは」がテーマだがまともな提言がされているわけではない。(問題提起はされているが)
サン・セバスティアンのグルメガイドとしてなら使えるかもね。 -
高城さんというと沢尻の夫?としてメディアで言われることが多く、多くの人が誤解していると思う。この本も、本来のカレの持ち味を活かしている。
分子料理などで有名なスペインバスク地方のサン・セバスチャンの魅力を紹介。単なる、観光地案内ではなく、なぜ、こんなに食で有名になったのか、歴史的、民族的、マーケティング的に解説。
それだけではなく、これからの日本の観光産業の行く末を憂い、提言を行っている。
料理界の徒弟性が、料理自体の進歩をゆっくりなものにして、持続的なイノベーションしかできないのに、サンセバスチャンでは、新しい料理法をシェアし、レストランにR&D部門も設け、開発に専念することにより、破壊的なイノベーションを興していると考えることもでき、ビジネス/マーケティングを考える上でも参考になる。
サン・セバスチャンを知りたい旅行好きばかりでなく、飲食業、観光業に関係している人にお勧め。バスク料理を食べたくなった。 -
バスクにカタルーニャ。
スペインの文化って魅力的だ。