人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396112844

作品紹介・あらすじ

「三つ星レストラン」が3店「世界ベスト10レストラン」が2店-いま、世界中が注目する街。観光資源のない街が、たった10年で変われた理由。新しい食の運動「ヌエバ・コッシーナ」とは?-。

感想・レビュー・書評

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  • たまたま高級店の取材に行く前に読んでおいて幸運だった。
    大将とこれから来る観光業についてや文化の話ができたのは、この本によるところが大きい。
    飲食に興味なくても、街づくりや文化、旅や観光が好きな方は読んでおいて損はないと思う。

  • 世界を股にかけるクリエイター・高城剛さんが今もっともハマっている、スペイン北部のバスク地方におけるグルメによる地域振興について書かれた本。日本においては、B級グルメだったりゆるキャラだったり、他の地域において成功した事例をパクって展開するケースが多く見られるが、そんなレベルとは一味違ったカテゴリを創造し続ける活力が、人口18万人の小さな地域には感じられる。

    スペインの複雑な歴史とバスク地方の置かれた政治的な状況が、ピンチをチャンスに変えるという奇跡的な流れに繋がっていった。そのための要件として、中央政府は地域に対して大きな権限を委譲し、地方自治による大胆な特徴づくりが功を奏して、バスク地方の豊かな食材を活かした創作料理の数々が天才シェフたちによって編み出されていった。

    当然、日本においても共通する課題であり、むしろ四季折々の旬に彩られた日本の地域こそが、これら美食による地域活性化を仕掛けられる場所だと言えよう。景気が悪い、若者がいないなんて言っている場合ではない。できることから始めよう。

  • 11年ほど前に書かれた本。
    環境や情勢はかわれども、スペイン・バスク地方の地方都市「美食世界一の街」サン・セバスチャンから学べることは沢山あるようです。
    長らく積読でしたが、ようやく読了。

  • 少し前の本ながら、観光産業考える上では参考になる。

  • スペイン・バスク地方に一度行きたかったので、大変参考になりました。サン・セバスチャンを早く訪れたいです。

  • もちろん美食の話も興味があって大変面白いのだが、もっと興味を持てたのが「不利な状況でも勝つための戦略」の話。
    つまりはこれも人生論と重なる部分だ。
    人は自分の悪い点には気が付くが、いい点については案外気が付かないものだ。
    不利な状況は分かっている。
    その中で、何か特長はないのか?
    そういう点を突き詰めていく。
    そしてひとつずつ実行に移して、トライアンドエラーを繰り返していく。
    確かにサン・セバスチャンは愚直に、そしてしたたかに戦略立てて攻めていった。
    まさに「なるほど」なのだが、その中でキーワードはいくつかある。
    「科学技術を活かす」そして「オープンソース化」
    テクノロジーはもちろん万全ではない。
    しかし今までの状況を変えるきっかけにはなりえる。
    分子構造を理解して「味」を科学的にとらえる方法は今までやってこなかった。
    アナログ的にシェフの経験でしかなかったものが、新素材を開発するかのように「発明」していく。
    そして更に大きな点は、それらを抱え込まなかった点だ。
    知識を共有化して、この地域全体で発展するために活用した。
    これだけでも大きな変化を出せたのだ。
    なんか日本は幼いというか、思考が浅はかなのだ。
    ゆるキャラで地域再生にはなる訳ない。
    もう一歩も二歩も高い次元での思考回路が必要なのだろうと思う。
    (2019/11/15)

  • 1.最近ローソンでバスク風チーズケーキ?みたいなお菓子を目にして、ふとスペインに行った時のことを思い出しました。その時は、バスク地方にはいってなかったので、バスクってなんだろうと疑問に思ったので購入しました。

    2.バスクを発展させようと考えたルイス・イリサールがきっかけとなり、バスクをここまで成長させました。発展した理由は1大きく2つです。
    1つめは、料理人達同士によるオープンマインドを持つことです。1人で修行することが主流だったのですが、1人でできることは限られているため、互いに技術をシェアすることで、バスク料理のクオリティが急速に上がっていったのです。2つめは、市民と行政が同じ方向を向いてバスクを発展させようとしたことです。街を発展させるためには、どちらが欠けてもいけません。行政は魅力ある街の基盤をつくり、その基盤をもとに人々が輝いた人生を送るために頑張る。理想的な関係だと思います。

    3.タイトルには奇跡と書いてありますが、ここまで成長したは必然だと思いました。今の日本をみていても、発展してる地域は必ずといっていいほど民間と行政の連携がとれています。その街に良い店が1つあっても、経済効果はすぐになくなってしまう。しかし、街として取り組むことで、その効果を大きくできます。
    また、技術のシェアは現代においては必須のスキルとなってます。情報過多の現代では、嘘の情報がありふれてます。そのようななか、人が互いに教えあうことで、情報の信憑性は高まります。失敗したことも成功したことも包み隠さず話すことでコミニュケーションのきっかけにもなります。みんなと仲良くなることが良いとは限りませんが、気の合う仲間が増えることは悪いことではないと思います。

  • 読んでる最中だが、意外に鋭い示唆がある。
    日本に対する提言が散りばめられているが、多分日本の役所がこれに応えるのはムリ。

  • 目立った観光資源のない街サン・セバスチャンが10年で「美食世界一」の街として知られるようになった背景が書かれた本。

    21世紀の重要産業の一つである観光産業。日本が今後も観光立国として輝き続けるためには、一過性のブームで終わるのではなく継続するものにしなければいけません。観光立国として継続させるためのヒントが本書に多く書かれています。

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著者プロフィール

高城 剛(たかしろ つよし)
1964年東京都葛飾区柴又生まれ。
日本大学芸術学部在学中に、「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。自身も数多くのメディアに登場し、NIKE、NTT、パナソニック、ソニー・プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。著書に『世界はすでに破綻しているのか?』『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』(集英社)、『ヤバいぜっ! デジタル日本』『オーガニック革命』(集英社新書)、『2035年の世界』(PHP研究所)、『人生を変える南の島々』『LIFE PACKING2.1 未来を生きるためのモノと知恵』(パブラボ)などがある。

「2017年 『不老超寿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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