なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)

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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396112875

作品紹介・あらすじ

ルーズベルトが周到に敷いた開戦へのレール。そうとも知らず和平を願い、独り芝居を演じる日本政府。この教訓から、今日、何を学ぶか!?本書は日米両国の記録を用いて、日米開戦にいたるまで、東京とワシントンにおいて何が起こっていたのか、時系列的に対比したものである。

感想・レビュー・書評

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  • 日米関係を中心とした世界観を一変する驚愕な話。いったい事実なのだろうか。

    今日、日本国民の多くが、先の対米戦争が日本が仕掛けた無謀な戦争だったと信じ込まされている
    だが、事実はまったく違う。アメリカは日本が真珠湾を攻撃するかなり前から、日本と戦って、日本を屈服させ、日本を無力化することを決定していた

    アメリカも日本と同じように、誠がある国だと思い込んできた。それがとんでもない間違いだったと気付くのは、ずっと後のことだった。

    セオドア・ルーズベルトは、日露戦争までは、日本に好意をいただいていたが、日本がロシアに勝つと、日本を、アメリカがアジア太平洋においてもっていた、フィリピン、グアム、ハワイなどの領土や、中国大陸にあるアメリカの権益に対する、新たな脅威とみなすようになった。

    ルーズベルトは、日華事変が始まると、蒋介石政権が日本と戦うために必要とする巨額の資金を提供した。

    後に首相となった、近衛文麿はアメリカを訪問したときに、ルーズベルトと、ハルは極東について、まったく無知だと語っている。

    昭和15年(1940年)9月末から10月にかけて、アメリカ陸海軍の暗号解読班が日本の外交暗号すべてと日本会議の暗号の一部を解読することに成功した。これ以降、アメリカは日本政府の動きを刻々と手に取るごとく、知ることができるようになった。

    日本を追いつめるための政策、蒋介石政権に可能な限り支援を行う。英米が強力して日本に対して完全な禁輸を実施する。蘭印に日本へ石油を輸出させない。日本を挑発するために、日本近海に巡洋艦を出没させる

    開戦前に、ルーズベルト大統領は、日本本土爆撃作戦を立案し、承認していた。

    近衛内閣が日米交渉を始めた時点では、陸海軍は日米関係が悪化しつつあったものの、まだ、対米戦争になるとは思っていなかった。そして、陸海軍も日米交渉が成功することを強く期待していた。
    開戦直前の昭和19年(1944年)まで日本は南洋諸島に防備を施すことが全くなかった。もし、十分な時間をかけて、これらの島々に防備を施していれば、サイパンや、テニアンをはじめとする諸島に来寇したアメリカ軍に対して、もっと頑強に抵抗することができただろう。少なくとも、短期間で奪われることはなかったはずだ。

    日本は短期戦争を行う能力しか、もっていなかった。近衛首相以下の参列者の前で、模擬演習の総合結果について報告が行われ、対米英戦争は日本の敗北で終わるという判定がくだされたことが明らかにされた。

    もとより、ルーズベルトは日本と戦うことに決めていたので、日米交渉が妥結することを望んでいなかった。

    御前会議で、昭和帝が、「よもの海みなはらからと思ふ世に など波風のたちさわぐらむ」が読み上げられた。平和を希求する明治帝の御製だった。

    11月25日にホワイトハウスで会議が行われた 結論は、「アメリカに過大の危険を招かぬように配慮しつつ、日本のほうから攻撃せざるを得ないように仕向ける」であった。

    11月26日、ハル国務長官は、野村、来栖両大使を国務省に招いて、ハル・ノートを手交した。政府と軍の誰もが、アメリカの最後通牒だと判断した。

    真珠湾にのこっていたのは、アリゾナをはじめ、ほとんどが、第一次大戦からの旧型艦であった二隻の空母は出払っていた。

    目次

    第1部 アメリカに強要された日米戦争の真実 加瀬英明
     第1章 ルーズベルトが敷いた開戦へのレール
     第2章 米政府が秘匿した真珠湾の真実
     第3章 日本人が知らない日本の歴史的功績
     第4章 この教訓から何を学ぶか

    第2部 ペリー襲来から真珠湾への道 ヘンリー・S・ストークス
     第1章 100年にわたるアメリカの野望
     第2章 ペリーが開けた「パンドラの箱」

    ISBN:9784396112875
    出版社:祥伝社
    判型:新書
    ページ数:224ページ
    定価:780円(本体)
    発売日:2012年08月10日初版第1刷
    発売日:2014年04月15日初版第8刷

  • ペリーが種を蒔き、ルーズベルトが育て、マッカーサーが収穫した。
    アジア唯一の独立国日本を、最後の有色民族を刈り取るため。

    ルーズベルトが日本からの開戦へと誘導した。
    アメリカ国民を欺き、あくまで攻撃される体裁をとるために用意周到に。
    決めてはハル・ノート。日本には到底呑めない内容。
    経済制裁により石油が枯渇し、今戦うか、枯渇して何もできなくなってから侵略に抗うかの二択を迫られた。
    フーバーとマッカーサーはルーズベルトを狂人と呼んでいる。
    「経済制裁は殺戮と破壊が行われないものの、戦争行為にあたるものであって、誇りを重んじる国であったとすればどんな国でも耐えられるものではなかった」

    もし日本が朝鮮半島を領有し続けたら朝鮮戦争は起こらなかった。日本軍が中国大陸にかなりの期間にわたって留まったとすれば、中国が共産化することもなかったはずである。

    国家の独立を自助努力によって守るのは、どのような国家にとっても国家として存立を確保するのにあたって求められる。

    第二次世界大戦が終わるまで、アジア・アフリカ諸民族は西洋の侵略を受け独立を失い、数百年にわたって植民地支配のもと辱められていた。人間の価値は皮膚の色で決められていた。
    日本が国際社会の仲間入りを強いられたときから夢見たのは、独立を全うしたうえで一流国になること、そして人種平等の世界の到来。
    日本が日露戦争に勝ったことで、初めて有色人種が白人の大帝国を打ち負かし、アジア・アフリカ諸民族が闇の中で光を見た。アジア各地で独立闘争の狼煙があがった。
    日本は連合国が第一次世界大戦を処理したパリ講和条約会議をはじめとした場で「人種平等の原則」を訴え続けたが、植民地を持つ諸国により拒まれた。アメリカは1960年代まで、黒人を法的に差別していた。
    もし日本が日露戦争に勝つことなく、先の大戦を戦うことがなかったとすれば、今でもアジア・アフリカ諸民族は西洋の植民地支配にあっただろう。
    日本によって世界のあり方は一変した。それだけに西洋による報復も凄まじいものだった。連合国は日本の輝かしい歴史の抹消を図ったのだ。
    大戦を経たアジアの解放が、アフリカ大陸に波及し次々と独立していった。
    以降、黒人の差別撤廃運動が広がり、権利を獲得していったのである。
    日本が先の大戦で大きな犠牲を払い、幕末から夢見てきた人種平等の世界を招き寄せたのである。

    例えばインドネシアでは、
    ・英語、オランダ語を禁止。
    ・青年に軍事訓練を課し、規律や忍耐を教えた
    ・オランダ人を一掃し、インドネシア人に高い地位を与えた
    ・民族結集組織や奉公会の本部、支部を置き、組織の運営方法を教えた
    このようなことを侵略する国にする訳はなく、これが証左である。
    また、ジャカルタの独立記念碑には05817という日付が刻まれている。1945年8月17日に署名されたもの。
    05とは何か、日本の皇紀である。日本を建国した神武天皇即位の年から数えて西暦1945年は皇紀2605年なのだ。
    インドネシアの独立は、その生みの親となった日本の「天皇の暦」で祝福されている。
    この事実一つ取ってみても、日本がアジアに対して侵略戦争を行ったという欧米の歴史認識は根底から崩れるのである。

  • 戦後のGHQによって「日本が二度とアメリカに刃向わないように」と進められた教育の結果、先の大戦は「日本の帝国主義が招いた過ち」「日本軍部の暴走」などとして日本人に深く擦り込まれた自虐史観。しかし本書はこんな幻想を真っ向から否定し、「アメリカが仕掛けた対日戦争だった」と結論付ける。アメリカによる日本征服の野望は、ペリー率いる黒船艦隊が浦賀に来航して日本に開国を迫った1853年から既に始まっており、対日強硬派のルーズベルト大統領が仕掛けた大戦で勝利した結果として、マッカーサーによって日本がアメリカの属国となる「仕上げ」が完了した。 保守派の外交評論家であり、世界最古の百科事典として名高い「ブリタニカ」の日本語版である「ブリタニカ国際大百科事典」(1972年)の初代編集長を務めた加瀬氏と、フィナンシャルタイムズやニューヨーク・タイムズの東京支局長を歴任したイギリスのジャーナリストで、現在はNHK英会話や“本音マル出し”ぶっちゃけワイドショーの「5時に夢中!」などで人気のハリー杉山のお父上でもあるヘンリー・S・ストークス氏のお2人による「正しい歴史」講座。

  • ここ半年読んだ本の中ではベスト5に入ると思われる内容。真珠湾攻撃の真実、ハルノート、ルーズベルト大統領のやったこと等。中学や高校の教科書にもし書かれていたら、日本人がアメリカに対する接し方は全く変わっていたと思われる。アメリカ人全体というよりも、欧米各国の指導者のあり方だろう。日本国憲法に対する考え方もこの本を読むと変わってくる。購入して再読するのもよいかもしれない。

  • 白人人種による、有色人種に対する誤った思い上がりと人種差別によって、植民地化・日本人の絶滅を意図して戦争を仕掛けた。
    自分たちと同じ人間だと思っていなかったからこそ、原爆を2つも落とし、一般人の女子供などを空襲でマシンガンの的にしていたのである。
    今もその戦争による傷は健在で、今の日本国憲法がいい例である。

  •  戦争の犠牲者となった人々の命を無駄にしたくないという気持ちがあるが、そのために自分でできることは、「少しでも真実に近づく」ことであると考えている。今まで、東アジアに関する様々な本を読んできたが、いつもどちらかに片寄っている気がして、読んでいて疑問を感じることが多かった。「日本は悪である」という考え方がある一方で、「東京裁判は間違いである」という考え方もある。世界史の中の人種差別・植民地・戦争の歴史のひとつとして太平洋戦争を大局的に見ていきたい。
     この本は、加瀬英明さんとヘンリー・S・ストークスさんの二つの視点で書かれているので、より客観的で信頼できる部分が多い気がする。世界史の一部としてアジアの歴史を学ぶにあたって、できるだけ多くの人に読んで欲しいと思った一冊である。

  • 【由来】
    ・「プーチン最後の聖戦」で「裏切られた自由」という本が紹介されており、それは翻訳はされていないが、amazonの関連本で出てきて、結構面白そうだったので。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • アメリカが対日戦争(太平洋戦争)を仕掛けたその背景について探った一冊。

    「ペリーが種をまき、そしてマッカーサーが刈り取った」というのは秀逸。

  • 今日5月4日が三国干渉受諾の日だったことがきっかけで、読んでみました。
    内容的には、「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」と重なる部分もありますが、大東亜戦争(一般的には太平洋戦争と呼ばれてますが)が日本の侵略戦争だったと信じている方や、今でも日本はアジア諸国に詫びなければならない、と信じている方に読んでいただきたい本です。

    「何が真実かはわからないだろう?」と言ってしまえばそれまでですが、であれば「侵略戦争だった」「日本は詫びなければならない」と考えられている根拠についても疑うべきである、と私は考えています。

  • 学校で習ってた印象と全然違うことばっかり出てくる出てくる。日本人すごいやん。
    今の日本史の教科書はどう説明されてるのか気になるなぁ。当時使ってた教科書は捨てちゃってると思うから、巷で使われてる教科書読んで確認してみたい。

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著者プロフィール

外交評論家。慶應義塾大学、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長。1977年より福田・中曽根内閣で首相特別顧問を務めたほか、日本ペンクラブ理事、松下政経塾相談役などを歴任。公益社団法人隊友会理事、東京国際大学特任教授。著書に『ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか』『アメリカはいつまで超大国でいられるか』(ともに祥伝社新書)、『昭和天皇の苦闘 巡幸と新憲法』(勉誠出版)『「美し国」日本の底力』(共著、ビジネス社)など、多数。1936年、東京生まれ。

「2022年 『日本と台湾 なぜ、両国は運命共同体なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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