7カ国語をモノにした人の勉強法 (祥伝社新書331) (祥伝社新書 331)

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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396113315

感想・レビュー・書評

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  • 今から2年前(2012)の5月後半に、恐らく生きている間に見れる最初で最後のチャンスだったと思いますが、金環日食を見ていたときに、「そうだ、中国語勉強しよう!」と思い立って勉強を始めました。

    英語はともかく、大学の教養時代にドイツ語をかじりましたものの、三十年振りの外国語の挑戦に長い間躊躇してきましたが、いわゆる決断というのをやりました。

    決断したことには後悔していないのですが、覚悟はしていましたが、年を取ってからの語学は、特に発音やヒアリングは難しいですね。日々努力はしているのですが、私を教えてくださっている先生達はもっと苦労されていると思います。

    あなたの発音を完璧に!という触れ込みで入学した学校では、その創始者の先生に「貴方には匙を投げた、こんな(覚えの悪い)生徒は初めて!」と言われた時は流石にショックを受けましたが、幸か不幸か、それを引き継いだ先生達は、そのようなことを目の前で言うことはなく、私も勉強を続けられています。

    この本に目が留まった理由は、この本の著者が7カ国もマスターしているという点と、その中に中国語は入っていた点です。一読して分かったことは、本当にマスターしたいのなら勉強時間を増やせ、それも真剣にやれ!というものでした。

    当たり前のことですが、プロのピアニスト、野球選手が練習にものすごい量を費やすのと同様に、プロでもない私が上達するには、多くの時間を、それもできれば効率的な方法で勉強に費やすのは理にかなっていると改めて実感しました。

    この本には、そうは言っても、時間の限られた私のような人に、より効果的な勉強をするためのヒントを与えてくれています。それらを参考に私も自分で立てた目標に向かって精進していきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・私が7カ国語を習得することができたのは、「語学ができない人たちが語学のできない人たちを再生産するシステム」に気づくことができたから(p8)

    ・外国語ができない人は、単語の日本語訳を覚えているのみ、できる人は、単語そのもののイメージやニュアンスを理解している(p20)

    ・外国語の文字列とその日本語訳を暗記するのではなく、じかに音声と概念とを結びつける(p32)

    ・外国語で喋るというケースでは、例えば「桜の木が並んでいる状態」のイメージから、じかに英語で表現される。(p35)

    ・与えられた文を単に暗記するのではなく、それを実際に使う場面を想定し、頭の中で、あるいは口に出して使っている。わざわざ現地へ行かなくても、頭の中のシミュレーションで世界と言葉をつなげている(p36)

    ・音声がつかめてくると、単語や文章表現の記憶も飛躍的に向上する、聞き取れない・話せない人は、聞いている量が圧倒的に足りない(p46)

    ・GW1週間に、一日あたり10時間やったら、それだけでも大幅に語学力はアップする(p57)

    ・聞き流すのではなく、できるだけ自分の感覚で観察することを心がける、実際の音のつながりはどうなっているのか、日本語の場合とどう違うのか、そういったことを自分で考えることで聞き取り能力はアップする(p67)

    ・中国語、韓国語、フランス語は、鼻に息を抜くかどうかで異なる意味となる場合があり、はっきりと発音し分けている(p72)

    ・中日辞典をめくると、それほど多くの意味は載っていない、これは日本が古くから中国の言葉を取り入れてきた歴史があるため、日本語にある漢語の概念と一対一で対応することが多いため(p88)

    ・外国語を自由に操れる人の頭の中では、言葉は道具ではない、世界と一体になっていて切り離すことはできない(p97)

    ・漢字において、同じ字形を含むとは、同じ音符を持っているということで、つまり古代においては同じ音であったという歴史を示している(p105)

    ・日本語の音読みで同じ音を持つ漢字は、現代中国語でも同じ発音であることが殆ど、中国語はある一定のレベルに達すると語彙の習得が容易になる(p106)

    ・英語の本来語(古ノルド語など)とラテン語(およびギリシア語)系の言葉との違いは、日本語における和語と漢語の違いに近いところがある(p113)

    ・フランス語起源の動詞(例:donate, contribute,transfer,explainなど)は、二重目的語をとれないので、toを用いる必要がある(p114)

    ・複数の言語を学習することは、すでに学習した言語を相対化することにつながり、お互いの底上げも可能になる(p115)

    ・使える外国語を身につけるためには、日本語をできるかぎり介さずに、その言葉の語感をじかにつかむことが大切(p123)

    ・帰納的に学ぶのが大事、「なんでそう言うのかわからないけど、この場合にはこう言う」を集める、そして、できるだけ多く気づいていく(p158)

    ・現状、独学にもっとも向いているテキストは、NHKラジオ講座。半年分でだいたいの文法は網羅される(p195)

    ・本当に語学を習得しようと思ったら、一冊を隅から隅までやるより、8割の出来で、このテキストはいったん終わりにして、同じレベルの別のテキストに進むのが効果的(p197)

    ・最初のうちは、言葉につまったら何を言うのかも事前に考えておく。聞き取れなかったら、沈黙ではなく、どこがわからないのか、その箇所をリピートして、「~はどんな意味?」と聞けばよい(p204)

    ・短期集中が効果的、1日3時間x1ヶ月、1.5時間なら2ヶ月というように(p208)

    ・中級以上レベルの言語と、初級レベルの言語の2つ、あるいは中級レベルの2つを同時に勉強するのが良い(p212)

    ・中国語の場合、中級以上になると、使える語彙の数と表現の数を増やしていく作業となる。この作業が中国語では他の言語に比べて非常に簡単(p216)

    2014年5月6日作成

  • 言っていることが一貫してた。
    それをどんどん深堀する感じ?
    自身の体験と交ぜたり例をだしてるから読みやすい

    簡単に言うと日本の語学システムはクソ
    だから文法とたくさん音を聞いて
    外国語モードに変身する事
    日本語からイメージの絵そして外国語
    のふうにしろってことかな
    自分の好きな物から搾取して聞くことでモチベ◎


    お金が無いとできないことも多いけど
    自分のできる限りのことをしようと思った

    どうでもいいけど、、この人はきっといい環境に恵まれてるのかなって思った笑


  • ・著者の習得言語→中国語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、韓国語
    ・ネイティブバイリンガル→世界と言葉をつなげている
    ・興味のあるものを教材にする
    ・フレンズを1ヶ月見たら英語できた、TOEIC満点近く
    ・初期:丁寧に確認しながら見る、慣れた頃→どんどん違う作品を見て同じ表現を色んな場面で出会う
    ・似た言葉を見つけたらそのままにせず確認する(リンクして覚えられるから)
    ・短期間で集中した方が伸びる、長期戦は忘れるので堂々巡りする
    ・中国語は音以外日本人にとって難しくない
    ・大人になると聞いた音を反復する能力が劣る、理論的に口の中の構造を理解する必要がある
    ・言葉は道具ではない。道具=自分の外側。言葉は伝える内容と表す形式が一体なので切り離せない。
    ・帰納的(何でそう言うのかわからないけだこう言う時にはこう言う)で学ぶ。演繹的(一つのルールを提示して頭に入れる)にすると表現が身につかない。
    ・海外学生はできるだけ長く表現しようとする
    ・同時学習のおすすめ→①中級レベル1つ、初級レベル2つ②中級レベル2つ

  • 中国語を専門とする著者の学習履歴を辿る本です。英語ではなくて先に中国語を高めていったところが、なんとも好感が持てます。そのおかげで英語一辺倒にならずに、多くの言語に興味を持ったということが推測されます。多言語話者のため、文字の構造や生い立ちを他の外国語の単語と比較しながら解説している部分も面白いです。
    言及している学習法としては、辞書などでみる1対1の訳語に頼るのではなく、概念として外国語の表現を理解することで、日本語との結びつきがしやすくなるということです。たしかに日本語をそのまま文字通り英語に当てはめようとしてしまうときがありますが、意訳にしてしまえばすんなり訳せたりすることもあります。そういった概念を身に着けるために、英英、中中などの外国語辞書で単語の内容を掴むことを推奨しています。
    合わせて日本人は聞くことが圧倒的に足りないことを強調されています。著者の経験から、聞く量を増やすことは学習を大きく助けてくれるという旨を書かれています。
    文法に関しては『帰納的文法観』という考えがあることすら知りませんでした。たしかに日本語の文法に関して聞かれても答えられないことはよくあるので、雰囲気というか後付けでルール化されているなと感じることはあったので、上記の考え方はすごく腑に落ちました。

  • 中国語を皮切りに、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語を学び、現在は韓国語を学習中という著者が、語学を習得するためのコツについて語っている本です。

    著者は、現在の日本の語学学習の状況を「語学ができない人たちが語学のできない人たちを再生産するシステム」と批判し、外国語を話せるようになるための学習法の要諦や、言語学にもとづく学習に役立つ知見を紹介しています。

    学習法についても言語学的な蘊蓄にかんしても、やや中途半端な情報量にとどまっている印象があります。

  • 音から入る、音で文を作る。

  • 言語の専門家が身に付けた7カ国語。各言語の構造、歴史を学んだ著者だからこそというアドバイスがある。勉強量を増やすこと、聞くことを意識すること、5年もあれば3カ国語はそれなりの使い手になれそうな気がする。その楽観的な意欲と、まじめに勉強する時間を作ることができれば語学は活用できるのでしょう。

  • 具体的な勉強法が参考になった。NHKラジオ講座の活用法、語学クラスでのフリートークにどう挑むか、問題集の選び方進め方、早速取り入れようと思う。
    聞き流すだけ、映像を見るだけで語学が身につく事は無いし、そうだったらつまらない。
    簡単に手に入らないから、魅力的なんだな。

  • つまり『フレンズ』をずっと見ればいいということ

  • 主張には概ね賛同するし、共感もするが、どこか他の人の文章を拾って繋いだ様な内容で、目新しいものが何一つない。それならば各項目をもっと簡単に取り上げて、詳細に知りたければ参考書籍を読んでもらう、その程度でいいのではないか。色々とさも自分が発見したかの様に書いているが、少なくとも日本語の話については大野晋の岩波の親書に全く一緒で且つもっと正確に解りやすく載っている。英語について個人的に目から鱗の話は確かに有ったが、中国語と日本語の話にかなりいい加減な論があったことから、英語の話も適当なことを書いているのではないかと疑ってしまう。全体に中途半端で胃がムカムカする本。2018.2.17

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著者プロフィール

1982年、埼玉県生まれ。慶應義塾志木高等学校卒、慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程修了。博士(文学)。慶應義塾志木高等学校講師(国語科)等を経て、現在、お茶の水女子大学基幹研究院助教。専門は中国語を中心とした文体論、比較詩学。著書に『7力国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社文庫)『物語における時間と話法の比較詩学』(水声社)『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ)『日本語の謎を解く』(新潮選書)『ノーベル文学賞を読む』(角川選書)などがある。

「2019年 『使える!「国語」の考え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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