芸術とは何か 千住博が答える147の質問(祥伝社新書)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396113582

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  •  ニューヨークを拠点に国際的に活躍する日本画家の著者が、質問に答える形で自身の芸術観を語っていく本。

     大上段に振りかぶったタイトル(本書の最後の質問でもある)が示すとおり、質問の多くは「そもそも」と頭につけるのがふさわしいような“大きな問い”である。
     たとえば、「人間は、なぜ絵画を描くのですか?」「芸術家とは才能ですか、技術ですか?」「芸術家は、死ぬまで描くべきですか?」など……。

     そうした“大きな問い”の合間に、「岡本太郎は、なぜ海外で評価されないのですか?」とか、「美大、芸大の教育で画家になれますか?」などという個別具体的な問いがある。
     いずれにしても答えにくい問いが多い印象だが、著者はすべての問いにきわめて明快に答えていく。

     それらの答えの中には「うーん、極端なこと言ってるなあ」と思わせるものもあるが、「なるほど」と感心する答えのほうが多い。

     語り口調に近い平明な文章で綴られているが、随所に深い「芸術哲学」ともいうべきものが見られ、読み応えがある。

     印象に残った一節を引く。

    《良い作品ほど、余白が単なる描き残しではなく、奥行きの深い空間に感じられるものです。
    (中略)
     西洋絵画の場合、一般的にはいわゆる余白という概念が入り込めないような、空間すべてを描き込んで埋めてしまうものです。すべてを支配する人間中心の世界観からか、あるいはキリスト教的価値観から、神と自分の間には不可知を認めたくなかったからかもしれません。
     いずれにしても、余白への無関心は、西洋絵画が大きな行き詰まりに到達する要因でした。》

    《絵画の見方は、「自分」「環境」という変わりえる変数が複数ある方程式のようなものです。年齢、人生経験、立場、境遇によって、極端な場合は、朝と夜でも同じ絵画が違って見えることがあります。》

    《わびさびとは、空間と時間に対する尊敬の概念です。これは、その気になって探せば、世界中至るところに存在していますし、欧米の現代アートの中には、まさにわびさびとしか言いようがない仕事をしている芸術家たちもいます。これが、古いものを捨て新しいものを築いていく西欧的モダニズムのなかで、積み残されていたのです。
     わびさびは、そもそも、かつて洋の東西関係なしに皆知っていたことです。古びていくことのすばらしさがさび、そして「こんなおもてなししかできません」とお詫びする心をわびと言います。》

    《そもそも、「美」という感覚は、「生きていてよかった」「生まれてきてよかった」ということです。「なぜ、人間が緑の植物にや花々に美を感じるかというと、太古の昔、そこに行けば生きていけるから、それが、生存のための本能になったのでは」と、物理学の佐藤勝彦先生(東京大学名誉教授)から、うかがったことがあります。その通りだと思います。》

    《(「生きる希望を失った人に観せたい絵画は何ですか?」との質問に答えて)
     芸術作品なら、何でもその候補です。色々な作品を観せたいと思います。すぐれた芸術作品は、基本的には生きるリアリティーに満ちており、絵画は、画家が夢中で生きて描いた証です。
    (中略)
     突き詰めれば、ある意味では、絵画は生きる希望を失ったり傷ついて落ち込んでしまっている人のために存在していると言ってよいかもしれません。楽しくてハッピーな人は絵画なんか必要としていません。外に行って、ひとりで遊んでいればいいのです。》

  • あまりに漠然とした「問い」に興味を持ち読んでみたが、
    著者の千住博氏のその答えがストンと腑に落ち途中からそのことばをノートにメモりながら読み進めることになってしまった。
    賛否あるかもしれないけれで、私の中では 正統派 というか知識が一つ増えたというか...いい本だと思った。

  • インターネットの中で角に作り出した人格になり、恋愛をしている人思いますが、その先には未来もなければ夢もありません
    たけしさんの作る映画は、私たちの共通項としての「人間」を意識させ、壊れやすく、傷つきやすく、しかし時として暴力的で、時として優しい「人間と言うもの」のどうしようもない情けなさ、素晴らしさ、そして隠し持つ心の美しさと言う人間の本質を私たちに伝えようとしているのです
    氷河期の人々は、今の私たちと何も変わらない同じ大きさの脳を持つ人間だったと改めて気づき、感銘を受けました
    日本画の特徴は、自然の側に身を置く発想法です。
    レオナルドダヴィンチの最後の晩餐まるで舞台上に繰り広げられるドラマのように、劇的なシーンが目の前に広がります。人々は机の向こう側に座り、画面の端にはまるで雛台のような台が描かれ、これは日常ではなく、特別な出来事だと教えられます。
    芸術と呼ばれるものには、簡単に言ってしまえば、伝えようとしたときに生じる、ある熱量が必要なのです
    国旗の色の組み合わせは、常日頃接していることもあり、人々の脳裏にかなり深く影響与えて残っていると感じました

  • 久米書店

  • 芸術とは何かをはじめ、様々な問いに歯切れよい答が用意されている。なるほど・・・。
    おススメ日本画作品と美術館に自作と個人美術館が挙げられていたのにはちょっと驚いたけれど。

  • 芸術作品ってとっつきづらい印象がありますが、この本を読むと「芸術もいいなぁ」という気になってきます。そういう気になることが大事とのことで、この夏は美術館にでも行ってみたいと思います(^^)

  • 芸術とは縁も因も才能もない市井に人間にとって、美術や絵画は雲の上の一握りの天才達が描いたもので、感動やインパクトはあったとしても、到底その世界に足を踏み入れることなどできないと、はなからあきらめていたのだが、千住氏の、「芸術はイマジネーションのコミュニケーションある」との一言によって、芸術を見てもよいし、感じていいのだということが理解できた。
    一般的に答えにくい問いにも、できるだけわかりやすく解説を加え、あわせて、歴史や画家や美術館等についても、教えてくれる。
    これからは、堂々と美術館に行けそうな気がするのが素直にうれしい。

  • 大徳寺に納品される直前の千住の滝の絵を山種美術館で観たことがある。千住博は僕より1年半年上。妹のコンサートに行ったこともあるしCDも持っている。弟はNHKでよく見かける。よって千住には親近感を持っている。
    「芸術とは何か」のお題目への理解は一歩進んだ気がする。絵などを観によく行くが、最近、「絵は何のために描くのか?」を考えたりしていた。
    「人は何のために生きるのか」についても結局、人と人のよりよい関係のため、というのが多くの本に書かれていることであると最近わかってきた。
    芸術は別だと思っていたら、千住は同じことだと言う。
    頭ではそうかもしれないと思うものの、充分に納得できていない。「芸術作品は人と人とのコミュニケーション手段」なのか、しばらくじっくり考えてみたいと思う。

  • 多分、、、、

    Hiroshi Senju Studio
    http://www.hiroshisenju.com/

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。82年東京藝術大学美術学部卒業。87年東京藝術大学大学院博士課程修了。ヴェネツィア・ビエンナーレで東洋人初の名誉賞受賞。大徳寺聚光院の襖絵、羽田空港第二ターミナルの壁画、APEC JAPAN2010の会場構成など。革新的な日本画が国際的な評価を得ている。

「2015年 『千住博全版画カタログレゾネ1988-2015』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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