梅干と日本刀(日本人の知恵と独創の歴史) (祥伝社新書)

  • 祥伝社 (2014年5月31日発売)
3.71
  • (8)
  • (23)
  • (14)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 243
感想 : 17
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784396113698

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『梅干しと日本刀』で再発見した日本文化の知恵と美
    「正直、タイトルだけでは読む気が起きなかった——」

    そんな一冊が、帯に記された「130万部のベストセラー」の文字に背中を押されて読み始めたところ、まさに“読んでよかった”と思わせてくれる内容でした。『梅干しと日本刀』は、私たちが当たり前だと思っていた日本文化の裏にある深い知恵と合理性を、軽やかな文体で解き明かしてくれる一冊です。

    質素な弁当に秘められた科学
    たとえば「梅干し弁当」のエピソード。これまで私は、梅干しの入った質素な弁当を「ただの倹約の象徴」くらいにしか思っていませんでした。しかし、著者はそこに驚くべき科学的知見を見出します。梅干しが胃の中で白米の糖質を中和してくれるというのです。栄養学や医学を知らずとも、先人たちは“経験”と“観察”から健康的な知恵を生み出していたのだと知り、感動しました。

    日本刀に込められた技術と工夫
    また、日本刀についての記述も驚きの連続でした。西洋のように高温で鉄を精錬する技術がなかった日本では、木炭による低温精錬で鉄を叩き、幾重にも重ね、不純物を取り除くという独自の製法を編み出していたとのこと。その結果、強靭かつしなやかな刀が生まれたのです。反りのある形状は、ただ美しいだけでなく、切れ味と耐衝撃性を兼ね備えた機能美でもありました。

    着物の合理性と美しさ
    着物についても同様です。これまで私は、着物を「伝統的だけど不便なもの」と思っていました。しかし本書を通じて、冬は重ね着で暖かく、夏は涼しく湿度調整までできるという、極めて実用的な衣服であることを知りました。さらにデザイン面でも、洋服のように「パーツ単位」ではなく、上から下まで一貫した美しさを作り出せるという魅力があるのです。

    観察する力、思考する力
    本書を通じて私が最も強く感じたのは、「日本人の観察力と思考力のすごさ」です。自然と共生し、森羅万象から学び、それを知恵として日々の生活に取り入れていく——そんな文化的な力が、日本という国を形作ってきたのだと再認識しました。

    今、AIの進化で多くの仕事が変化しつつありますが、だからこそ「観察して考える力」がより大切になってくる。本書は、そんな現代人の行動指針としても大きなヒントを与えてくれる一冊でした。

  • 日本人が気がついていない、日本の素晴らしさについて述べる本。周囲を囲む海、湿気の高い環境、自然を克服するのではなく順応することで独自の文化や技術を培ってきた古き良き日本の再評価です。
    とかく、自分が住んでいる国や街については、案外知らないことが多いもので、その殆どは根拠希薄なパブリックイメージに左右されていることがほとんど。
    例えば、一見、栄養など殆どなく、ただお腹を満たすためだけのように見える「日の丸弁当」が、酸性食品(米)、アルカリ性食品(梅干し)の組み合わせによる、極めて合理的なエネルギー補給を促す食事である等という話は学校で教わることもなく、通常、知りようもありません。タイトルにもなっている「梅干し」については、そんな形で本書にて紹介されています。
    当たり前に存在する道具、衣服、言葉、風習には、それを生み出し、育んだ先人たちの知恵が隠されていることが多いですが、一方で、その背後にある物語が語られることは少なく、よって、下手をすると自国の文化に敬意を払うことを忘れがちになります。したがって、この本で紹介される数々の、日本文化に関するエピソードは知的好奇心を刺激すると共に、自国に対する自信と誇りを換気させてくれる効果があると高く評価されています。

  • 昭和49年に発行された比較文化論の復刻。
    著者自身がまえがきに「一片のノートも参考書も手許になく話しているので、あるいは誤りもあるかもしれないが、ご教示を願いたい」と書いているので正確性には言及しないでいただきたい。
    著者が考古学者ということもあって、その手の話が結構でてくる。
    正確性をぬきにしても、面白く読めたし、あらゆるところに目を向けている感受性には驚く。
    褒めすぎだろう、そこは偶然だろう――と思うところもあるが、逆にそれらが事実どういう経緯をたどって現在に至ったかに興味が出てくる。

    まったくの蛇足ですが、途中、女紋について言及されていたが、あれは関西の風習だと聞く。
    実際、私の住むところでは女紋は使われていない。

  • 懐かしく読んだ。

    この本を初めて読んだときは衝撃的だった。

    何か身体の中から力が湧き出てくるような、自信が出てくるような気持ちになったのを覚えている。

    ステレオタイプで言われていた「日本人像」とは全く違っていた。

    久しぶりに読んで、やはり良かった。

  • N049

  • 2017.09.06 あゆみ書店で見つけて気になった。

  • 考古学者により、日本人の知恵と独創性を紹介した本。明治以降、優れたものとして西欧文明を積極的に取り入れ、日本社会や伝統を時代遅れの恥ずべきものとの認識が浸透していったのは誤りだとの視点に立って、様々なことを簡潔に説明している。面白く読めたが、根拠がわからないものもあり、学術的とは言えない。
    「(刀)日本には(エネルギーとして)木炭しかなかった。(石炭ではなく)木炭という低温燃料しかないという不利さが、逆に「鍛えて焼きを入れる」という知恵を生んで、世界一の利器を作ったのである」p41
    「日本人は、世界中の人が食べてきた、すべての食品を食べている。というより、さらにそれに輪をかけた多種のものを食べている」p45
    「フグやウルシの新芽まで、日本人は危険の一歩手前まで食べる」p46
    「奈良県の大神神社という酒の神様を祀る神社は、杉の新芽で作った玉を売っている」p68
    「大阪人に限らず日本人は「あいつは義理堅い奴だ」というと、少々、とぼけた人でも尊敬するし、「人情もろい人だ」というと、社会の転落者であっても大事にする」p206
    「女性は結婚しても、紋付の紋は実家の紋を付けている」p210
    「性の問題というものは、放っておけば、自然に人間が知恵を出して処理していくのであって、いくら制限しても、要求があれば、いくらでも潜在的に拡がっていくのである。私は、性については、古代人のようにおおらかに考えた方が、健康的な人間関係を送っていけるのではないかと思う」p240
    「ヨーロッパの近代思想が、日本に持ち込んだ個人主義というものは、しばしばエゴイズムの形をとってあらわれる」p243

  • やたらと日本文化偏向のきらいがあるように感じられましたが、
    著書が書かれたのは、敗戦後、日本文化よりも欧米文化を優れていると信じ、「日本嫌いの日本人」になっていた人が多かったというバックグラウンドがあったと知り、
    著者が必死に主張しようとしている日本文化の良さがストンと落ちてきます。

    現代の科学に当てはめて、本当に正しいかは別として、
    筆者なりに仮説を立て、色々調べたことなどが書かれているので内容は興味深いです。

    ただ、著書では頻繁に”日本の科学性”と出てきて困惑しますが、いわゆる西洋の科学(=総合的な経験を分析して公式化すること)とは区別して読み進める必要があります。

    また、著者が紹介する日本文化は衣食住農業等々、多岐に渡り、
    混在している感もあるので、「衣」「食」「住」などカテゴリ分けして書いてくれた方がより理解できた気がします。

  • 日本人の柔軟性、工夫や研究熱心なことを改め
    が印象に残ったて知らされた。米食における梅やみその効能、コークスがない中での日本刀の製錬技術、そして何より西洋四味、中国五味、日本は六味が印象に残った。

  • かなり日本を持ち上げていますが書かれた時代を思えばそれも必要だったかも知れない、と思われる本でした。

    海外から入った技術や文化を換骨奪胎する日本人の器用さ、連綿と続く測量等の技術は確かに素晴らしいとは思います。
    しかし、現在では一歩間違えばナショナリズムに利用されそうな怖さもありました。

  • 今の日本人は少なからず外国にコンプレックスを持っているのではないだろうか。特に欧米に対して。今の世界が欧米の価値基準に支配されているから仕方ないかもしれない。しかし、樋口清之は日本人が欧米人に劣らず素晴らしい知恵を持って生活していたかを一つ一つ紐解いていく。読んでいてとても楽しい。600こちら情報部で子供の質問に答えてるみたいに、とても優しく日本人を語っている。

  • 考古学者として有名な樋口清之氏の名著である。
    本書は、欧米的な価値観(いわゆる合理主義や科学至上主義)にのみ価値を見いだし、日本文化に対する自虐的否定的な物の見方に警鐘をならすことを意図して書かれている。

    樋口氏は日本文化について、一見すると不合理で非科学的なものに見えるが、実は厳しい自然条件に柔軟に対応した合理的科学的なものであったとし、「不合理の合理」と紹介している。

    日本文化は日本の風土に合わして進化・改良したものであり、欧米の風土の中で培われた文化に偏重するのは如何なものか、という氏のメッセージは現代社会においても未だに重要な示唆に富むものだ。

    くれぐれも本書を読んで、偏ったナショナリズムに陥らないよう注意してもらいたい。それは著者の意図に反したものなので。

  • ずいぶん日本を持ち上げるなぁ……もっと淡々と書いてくれたらいいのに、と思ったが、後書きまで読むと最初にこの本が出版されたときはそれが必要な時代背景だったのかもしれない、と思った。

  • 20141215読了。
    私が生まれるよりも前に書かれた日本文化論だが、全く古さを感じさせず、今に通じるものがあった。
    最近の「おもてなし」ブームにより、クールジャパンを発信しよう、外国のお客様に日本の良さを伝えよう、日本は素晴らしい!という風潮から復刊されたと思われるのだが、日本の食文化をはじめ、様々な文化について、自分が見ていた視点とは違う高さや角度から見ることができた。
    すべてにおいて日本はこんなに素晴らしい、日本人であることを誇りに思おうということが多いため若干辟易する面もあるが、発刊された時代から考えると納得できる面もある。

全15件中 1 - 15件を表示

著者プロフィール

樋口清之(ひぐち・きよゆき)
奈良県生まれ。先祖が織田有楽斎の旧家。國學院大學文学部国史学科を卒業。同大学文学部教授、名誉教授、同大学栃木短期大学学長を歴任。文学博士。静岡県の登呂遺跡発掘をはじめ、考古学の黎明期に多大な業績を残す。専門の考古学民俗学の世界では最高権威者の一人。マスコミ出演、講演活動など幅広く活躍し、豊富な知識に裏付けられ数々の著書にはファンも多い。

「2025年 『日本史の”なぜ“』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋口清之の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×