サイバー・インテリジェンス

  • 祥伝社 (2015年9月2日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784396114343

感想・レビュー・書評

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  • 文字通り、サイバー攻撃についての話。

    これまであまり知る機会のなかったサイバーハッキングについて知ることができた。

  • "アルビン・トフラーさんは、著書の中で、技術革新を大きな波と定義して、第三の波が20世紀後半に起こっていると我々に視座を与えてくれている。第一が農業革命、第二が産業革命、第三が情報革命。本書の著者は、「力(ちから)」と拡張して、それぞれの波で大きく世界を動かす力とは、第一の波では軍事力、第二の波では経済力、第三の波では知恵、情報力と喝破している。
    利害関係のある複数の集団の中にいる場合、相手がどんな思考で、どんなことを考えているのかを知ることは、今後の行動を決めるうえで自分に有利な方向に導けることになる。
    国家間では、日常的に行われていることだが、日本のそれは立ち遅れていると、警笛を鳴らしている。
    突き詰めると、いわゆる参謀となっている人物が日ごろどんな生活を送って、どんなことを考えて、次の一手をどうするつもりなのかを知るために、究極の情報戦力はテレパシーのようなものになるのかもしれない。
    映画では、「スキャナーズ」や「フューリー」といった作品を思い浮かべる。
    「スターウォーズ」でも、ジェダイマスターはフォースの力で、相手に自分のやってほしい行動をさせてしまうシーンがいくつも出てくる。
    「ブレインストーム」という映画では、ある人物の体験したそのものを第三者が追体験できる装置が出てくる。「マトリックス」の世界も荒唐無稽な映画ではなくなる現実社会が到来すかもしれない。

    仮に、そんな社会になったとき、国家はどんな行動をとるのだろう。そんな未来社会をどなたか小説にしていただけないでしょうか?
    本題とは、少々離れてしまったが、情報や知識をいかに活用するかという社会に生きている我々は、リテラシーとしての情報管理、情報活用、情報発信を身に着けておくべきことなのだろう。"

  • 防衛省出身の伊東さんの書籍。国家間の争いはこれまで力、金のために行われていたが、最近では情報、すなわちインテリジェンスに関する争いが起こりつつある。なかでもサイバー領域に関しては、物理的な国の境界がないことから重要度が高まっている。著者が防衛省出身ということもあり、過去の戦争における情報戦に関する記載が豊富である。電力網というアメリカの弱点や、サイバー攻撃をした旨を隠す北朝鮮に対して金銭的制裁を与えるアメリカなど国際情勢に関する記載もあり興味深い。

  • 陸上自衛隊において、インテリジェンスの分野、サイバーの分野で活躍された経験を持つ著者。
    古代から現在に至るまで起こった出来事の数々を、インテリジェンスの観点から解説した本。

    ある事象の裏には、何らかの意味がある。
    インテリジェンスの現場がサイバーの世界に移りつつあり、またサイバーの世界にはいろんな情報があふれかえっている。
    そんな背景の中で、これから日本が重視すべきことについても書かれている。

    「情報戦」はもはや軍隊だけのものではない。
    一般市民であっても、インテリジェンスについて知っておいたほうが強みになる。

    インテリジェンスについて考えたことがない人でもわかりやすく、興味をもてるようになる、きっかけ本になると思う。

  • 周囲の人が買っていたので購入してみる。
    筆者は2020年までに日本版NSAあるいは日本版GCHQを発足し、特にカウンターインテリジェンスを強化すべきとしている。
    ポエニ戦争の際のカルタゴと今後の日本の行く末を重ねてみせるのは、祥伝社新書の読者層を考えると、ちょっと刺激が強いか。

  • 本書では、従来のインテリジェンスの枠組みに対して、サイバー領域がどのような可能性を持ちうるかが考察されている。インテリジェンスに関する基本的な常識への理解が深まると同時に、各国がこれらの原則に則って実際にどのように動いているのかを知ることができた。

    なかでも実例を通して示された米国の技術力には圧倒され、他国との圧倒的な差を改めて実感させられた。また、国家間における本音と建前の駆け引きについても丁寧に解説されており、インテリジェンスに関心を持つ者にとって、入門書としても価値の高い一冊だと感じた。

  • 保全の観点から根拠が書けないだけなのかもしれないが、推測というか、陰謀論に近い記述もあり、読み物として完成度が高いとは言えないと感じた。
    サイバーインテリジェンスの概要はわかる。

  • インターネットの発達・普及に伴いインターネットを利用した犯罪やテロなどが増加していることから、最近そんな犯罪やテロに関係する本をよく読んでいる
    その流れで、本書のチラシ等に「インテリジェンスの標的が企業や個人に変わってきた、日本は、個人は、どう対応すべきか?」とセキュリティ対策のようなものになっていたことから、本書を読んだのだが、タイトルどおり本当にサイバーインテリジェンスに特化した内容で、正直拍子抜けでした

    著者は自衛隊のサイバー戦部隊の隊長等を歴任し、現在セキュリティ会社ラックの研究所長として日々インターネット空間における情報戦などの動向に注目しているようだ
    そして著者は、
    ・サイバー攻撃は抑止が困難
    ・費用削減はセキュリティ予算の削減から行われる
    ・未知のウイルスは検出不可能
    と考えられることから、情報収集・分析が大事であり、日本としては、サイバーインテリジェンスを重視すべきだ、という結論に至る

    正直いうと、ただそれだけ、という感じの本
    チラシにあるような個人としてインテリジェンスにどう対応すべきかという論点はあまり感じられませんでした

    読書状況 読書時間90分、ページ数207ページ

  • 元陸上自衛隊システム防護隊長で情報、サイバー分野の経験がある筆者により、分かりやすくサイバーインテリジェンスの現代までの流れや、インテリジェンス分野での視座を与えてくれる。
    読み物としても過去の有名な事象などを例にあげ、個人的な見解も踏まえながら、面白く読める一冊。

    ソニーのハッキングやスノーデンの告発などを事例として、公表されている事実以外に、インテリジェンスの世界ならばこう読むという見解を示している。インテリジェンスの世界では公表されている情報は、それ自体が意図があり公表されていると見なければならない。筆者も含めて真実を知るのは難しく、推察の域を出ないが、情報を見る目を補強してくれる。

    孫子以来のインテリジェンスの普遍的な原則、日露戦争でのイギリスのインテリジェンスの日本勝利への貢献、などからインテリジェンスの流れを辿り、インターネットの発展、海底ケーブルの重要性や衛生通信の特徴まで触れている。
    サイバーインテリジェンスというと特別なものに思いがちだが、過去から人間は目的達成のためにインテリジェンスを利用しており、その延長線にサイバーインテリジェンスもあると捉えたほうがよい。

    他方でサイバーインテリジェンスにも特徴はあり、報復による抑止の難しさ、犯人特定の難しさ、国際法の戦争法規が適用されない、など、他のインテリジェンス手法や武力手段よりも拡張した領域として考える必要がある。

    アメリカはインターネットの地の利や自国のインターネット企業などを利用して、またテロとの戦いを建前に個人情報を多く搾取しインテリジェンスとして活用ている。
    また、自国に有利である現状であれば、あらたな国際的なルールで制約などは設けず、むしろ自国に有利なようにルールや解釈を変える傾向にある。

    サイバー領域では民間企業やインフラに対する攻撃も懸念となる。
    アメリカのインフラは実は脆弱性が高いと言われている。国家としても民間企業にコストをかけたシステム刷新が強要できないため。
    また、どの国でも民間企業が危ういのは、民間企業vs他国の国家など、の構図である。
    民間企業もコストをかけて自社システムをサイバー攻撃から守ろうとするが、コストにも制限がある。攻撃元がが国家である場合コストでの対決ではどうしても不利になる。

    日本はインテリジェンス機関全体に構造的欠陥がある。
    これは、アメリカが第二次世界大戦後にうまく組み込んだ罠のようなものと言える。
    陸上自衛隊はシギントに特化しており、自衛隊内に総合的なインテリジェンス機関が存在しない。
    また、人事ローテーションが多いため専門家が育ちにくい。

    日本は過去の歴史を振り返り、インテリジェンスがどのように国を救ったか、インテリジェンスを軽視するとどんな結末になるかを考え、構造的欠陥を無くしていく必要があると感じた。

  • 大学で必要そうなので読む予定

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