不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか(祥伝社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396114671

感想・レビュー・書評

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  • 田中俊之さんは都立武蔵高校そして武蔵大学を卒業され、武蔵大学大学院で博士取得、現在武蔵大学で助教授をされています。
    専門は男性学、武蔵って名前は宮本武蔵や戦艦武蔵など、いかにも強いかっこいいイメージ。
    しかし彼の著書は『男がつらいよ』『男が働かない、いいじゃないか!』
    そしてこの『不自由な男たち』で小島慶子さんと対談しています。

    小島慶子さんといえば元女子アナで、現在もいろいろなTV番組で活躍中。
    女子アナの結婚相手といえば、芸能界やスポーツ界で活躍している男性、
    医者や弁護士、そしてとても稼いでいる男性。
    そんな中、慶子さんの夫は数年前に会社を辞め、今は無職なんです。
    小島家は慶子さんの収入で暮らしているのです!

    彼女はそんな夫をどう思っているのか?
    何かまだ、結論が出ていないような様子が垣間見えます。

    「不安な夫を見たときに、私が不安になってしまって『不安だとか言うなお前!』って怒っちゃってる。せっかく彼の不安によって新しいつながり方ができるチャンスを逃がしている気がします。」

    「夫の場合はおばあちゃんやママが与えてくれたヒーローの台本を手放した途端に、すがるべき言葉を失くしたんです。だから彼はこれからやるんだと思います。自分の中から、自分を読む言葉、世界を読む言葉を見つけ出す作業を、です。何しろずっとママのヒーローで生きてきたから、そうでない自分に慣れるのは、非常に困難でしょう。息子たちはこうしてはならないと思います。」

    「ちなみに夫は、ママのヒーローでいなければという呪縛は強烈でしたが、家事労働に関するジェンダーバイアスは最初からまったくありませんでした。」

    「今は、年収肩書きがなくても、夫はやっぱりすごいなあと思う。新しい環境で家事育児に奔走する彼を、とても頼もしく思っています。」

    「そういえば夫が『やりたいことをやりたい』と言うので、『やりたいことがあるなら、やれば』と返したんです。すると彼は『やりたいことはないんだけど、やりたいことをやりたい!と思いたい。だからやりたいことが欲しい』と言うのです。つまり彼は、『やりたいことができない、ってことをやりたい』のです。やりたいことに恋い焦がれている不自由さを、味わいたいんですね。そして、『やりたいことをやる』という状況に自分を置けば、自分の空虚感が埋まるのではないか、と漠然と思っている。この呪いはどこからやってきたのだろう」

    「何もやらなくて安定しているのならそれでいいのに、『やりたいことをやろうと焦がれる俺』でいたいわけです。不自由であることで安定したいんですね」

    「甘やかされて育って、『勉強もちゃんとしないでまったく』と腹が立つのですが、自己肯定感がとても強い。すると屈折して自己否定してばかりの私より、私にさんざん言われても平気でいる夫のほうが、生き物として強いのではないか?とも思えたりして」

    「(前略)急に稼ぎ手が私一人になって不安でしかたがない。私は不安を怒りに変えてしまうんですね。夫に対して『だいたいあなたが仕事を辞めたから、私がこんな不安な思いをするんじゃないの』とか『いままで共働きで、私が奥さんらしいことをしてこなかったことへの復讐なんでしょう』とか言いががりをつけてしまう。そうしたら、ある日夫に言われたんです。
    『慶子は僕が思っていないことを、思っているに違いないと決めつけて、それを前提にして文句を言ってくるから会話にならない。思ってもいないことを、思っていると決めつけるのはやめてくれないか。どうも慶子の言動を見ていると、違う人への怒りを感じる。いったい誰に向かって言っているんだ。それは俺じゃないよ』と。」

    私の憶測では、慶子さんが仕事ができて稼げるかただから、夫は安心して無職になったのでは。
    彼女に甘えている。
    彼女は男の子を3人育てている。

    でも彼のおかげで慶子さんは作家として大活躍し、
    しかも哲学者になれるのではないでしょうか?


    ガンバレ慶子さん。
    あなたは同じ悩みをもつたくさんの女性の星になると思います。

  • 田中先生の新作を見つけて、つい手にとってしまった。

    男性とはこうあるべき、女性とはこうあるべきという価値観は、個人のものかと思えばそんなことはないのだなと。私はわたしだから、だけでは済まないのだなぁと思いました。

    自分の立場と重ね合わせ、夫婦間のお話の部分をより一層目を見開いて読んだのだけど、特に小島さんの旦那様が言ったという「君は誰と戦ってるんだ」のエピソードがぐさりときた。私が泣き叫んで起こっていとき「そんなことは言ってない、思ってないよ」と悲しそうに言っていた旦那さん。そうだなぁ、わたしはきっと私が作った「女性像/妻像」とのギャップへの苛立ちを、旦那さんにぶつけていたんだなと。至極反省。

    男性も、女性も、性の呪縛から解き放されることはないし、その必要はないのかもしれないけれど、価値観の多様化が必要なんだ。その意味を考えさせられた。

    一言で言うと、「根深い」。

  • まぁ「男だから」というレッテルの元に生きなければならない、男って大変だよねって本。愚痴、つらさを素直に語れる場がある人は幸せって事。まぁそうだよね。

  • 読了。いろいろなことが理解できた気になった。
    人生指南の本であった。自分の生き方にあっていると思った。男女の話、子育ての話、子育てが終わったあとの夫婦生活、もりだくさんの内容であった。小島慶子は相当苦労してきたのだと想像できた。凄みのある本であった。読んで人生が変わるわけでないが、読んだほうがいいかもしれない人はたくさんいるかもしれない。

  • ・昭和の親世代の価値観(夫は家庭を顧みずに仕事に専念し、妻は専業主婦で家庭を支える)で育てられた世代は、男は学校を卒業したら定年まで働き続けるという人生しか選べなかった。
    ・家庭を持った男は、収入が夫一人の場合は特に仕事を辞めるわけにはいかないので、働き続けるという選択肢しかなくなってしまう。
    ・夫が仕事ばかりで子育てに関与しない家庭で専業主婦の場合、妻が家庭では父親と母親を兼ねることになってしまい、子供は母親が絶対神になる。そうなると、子供の価値判断が自分の中に育つことがないまま成長してしまい、常に母親の判断を基準にしてしまう(母親に怒られないように行動する)。
    ・子供には無限の可能性があると子供本人にも思わせてしまうと、常に競争して勝つことが必要になってしまい、価値判断が他人に依存してしまうことになる。
    ・子供のためにも、父親と母親は自分たちの親世代の価値観を捨てて、これからの世相に合った新しい価値観を持つ必要がある。

  • 男も不自由だが、その呪いに気付いていないのが一番の問題。「不自由」という呪いをかけられた男たちが、他の男たちに同じ呪いをかけようとする。だから男たちはいつまでも気付かない。

  • 男性もまたジェンダーに縛られる存在であるということを再確認させられる本。様々な切り口から男性のジェンダーの問題を取り上げているのも興味深い。対談形式なので読みやすい上、田中先生の分析や小島さんの感性の鋭さに驚かされる。

  • 367.5

  • 完全にシステムを変えないと難しい。

  • 「フェミニズム」を信奉する人々の主張には、女性を男性、男性を女性に読みかえた時、噴き出してしまうようなものが散見され、あまりに真剣に叫んでいる姿を見ると、うんざりしてしまうことがこれまで何度となくあった。
    アファーマティブアクションや非対称規制が世の中をよくするとは、個人的には思えない。
    小島慶子さんと対談している田中俊之さんは、著者紹介によれば「『男性学』の第一人者」とのこと。
    多分「女性学」のカウンターとして命名されたのだろうが、それはそれで変な名前だと思う。しかし、女性学があるなら男性学がないのは、本来おかしなことではあるはず。
    小島さんは、「働かない夫を養う妻」として、これまで気づかなかった自らの男性というものに対しての思い込みに気づき、その思い込みに意識的になった、という。
    意識的になれたからと言って、そこから自由になれたわけでもないことも、いう。
    なんだかこじれた話をこじれたように対談して終わった印象。
    性別も、人種も、国籍も、さらにいえば、個別の一人ひとりも、さまざまな価値観、思い込みに縛られて、不自由なことだなあ、と思う。
    でも、価値観、思い込みの偏り具合こそが、一人ひとりが世界を認識するということそれ自身だろうし、なにかから自由になろうとして、他のものに囚われたところで、本質的に「良い状況」に近づいたともいえないとすると、なにをどう考えていいか分からなくなる、ところはある。
    レビューを書いていつつ、混乱してきてしまった。

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著者プロフィール

小島慶子(こじま・けいこ)
1972年生まれ。放送局勤務を経て、現在はタレント、エッセイストとして活動中。著書に『解縛 母の苦しみ、女の痛み』『これからの家族の話をしよう わたしの場合』、小説『わたしの神様』『ホライズン』など。家族と暮らすオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する出稼ぎ生活を送っている。

「2017年 『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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