壬申の乱と関ヶ原の戦い――なぜ同じ場所で戦われたのか (祥伝社新書)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396115272

感想・レビュー・書評

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  • 富=地位権力の奪い合いにおいて、史実から長・トップとなるべき人材は軍を如何に先導でき纏めるか、さらに国民、国家を如何に治めていくか、両方がうまく噛み合っていないと崩壊の危機に遭うということ。現代、良いプレイヤーは良い監督になれるとは限らない、それは個人の力から人を纏めるリーダーシップが必要だからだ。さらに、それは学ぶ側と教える側では全く違うということだ。

  • 壬申の乱をストーリー的に知りたくて読みましたが、関ヶ原の戦いが濃かった。

  • 関ヶ原は日本史上の重要な合戦が起きている場所である。古代には壬申の乱が行われた。慶長五年(一六〇〇年)九月一五日には天下分け目の関ヶ原の合戦が起きた。

    各合戦の迎撃側と攻撃側を整理すると以下になる。
    壬申の乱:迎撃側・近江朝廷、攻撃側・大海人皇子
    青野原の戦い:迎撃側・室町幕府、攻撃側・北畠顕家
    関ヶ原の合戦:迎撃側・石田三成、攻撃側・徳川家康

    全て攻撃側が勝利している。壬申の乱と関ヶ原の合戦では勝者の大海人皇子や徳川家康が新しい政治体制を作った。これに対して青野原の戦いは敗者側が室町時代という新しい時代を作った。
    壬申の乱と関ヶ原の戦いは攻撃側がそのまま最終勝利まで突き進んだ。これに対して青野原の戦いは攻撃側が勝ち切れなかった。迎撃側が最終防衛に成功している。青野原の戦いだけ敗者側が新しい時代を作ることになるが、最終的な勝者と考えれば全て勝者が新しい政治体制を作ったとなる。
    知名度では関ヶ原の合戦が最も高い。壬申の乱もそれなりにある。しかし、青野原の戦いは日本史に詳しい人でも知っているとは限らない。攻撃側が勝利して新しい政治体制を作ったという後の歴史へのつながりが弱いためだろう。

  • 日本は外国と比べて、戦乱が少なかったんですね。
    それ故、世襲が一般的になった。
    納得しました。
    ほとんどのものを中国から模倣しているのに、なぜ科挙がなく世襲になったんだろう、と前々から疑問でした。

  • 壬申の乱と南北町時代の青野ヶ原の戦い、そして関ケ原の戦いについて分析した一冊。

    どの時代も戦略上、大規模戦闘をする上で関ヶ原の位置が重要だったことが理解できた。

  • テレビで見かける人だから1冊くらい読んでみようととりあえず。判りやすく書こうとして内容が薄くなっている気がします。あと、地理好きとしては関ケ原で大規模戦闘があった理由を地理的な観点からも見てほしいところ(あそこ、東西交通が1か所に集まる交通の要衝であり、かつ、適度な平坦地があって合戦に向いてる珍しい場所なのです)。なんとなく文献と小縮尺の地図だけで書いた感じなのが物足りなかったです。

  • 天下を分けた決戦の地が関ヶ原という指摘とその理由に納得。京の都を基準に愛発関、不破関、鈴鹿関が防衛上の要衝で、その関の東側の地域が「関東」と言ったという新たな知見が得られた。戦の勝敗を、誰が最終目的を達成したかで計る見方も新鮮! 「関ヶ原の戦い」の部分は、再読した『関ケ原合戦―戦国のいちばん長い日』での考察とほぼ一致した内容で、復習にもなった。関ヶ原以後、譜代を中央に、外様を辺縁に置くことと併せ、鎖国により独立採算の各藩の目を海外との自由貿易から内需へと向けさせる家康の構想がすごい。

  • 関ヶ原で起きた3つの戦いは、東側が西側に勝負を挑むもの且つ外圧により発生したものという言説には、目からウロコで面白かった。
    青野ケ原の戦いについて知りたいと思って読んだ分、物足りなかった。

  • 壬申の乱と青野ヶ原の戦いと関ヶ原の戦いが、同一の場所であり、それを構造的に分析している点は、新しいし、とても興味深い。
    著書は中世史が専門ですが、古代史もいけますね。
    読みやすいし、面白かった。

  • 古代、中世、近世と三度に渡り決戦の地となった関ヶ原。土地というプリズムを通して歴史学者が考察するスケールの大きな作品。

    壬申の乱の不破、室町幕府を確立させた青野ケ原の戦い、そして徳川家康の関ヶ原の戦い。時代を大きく隔てていずれも同じ場所で行われている。

    歴史とはあるボンヤリとしたかたまりを学者や作家の視点で切り取るもの、羊羹と包丁のようなものだと思う。本書は東国と西国の観点から日本史をズバリと切り取る。

    「蔑まれていた東国の人たちが西国の豊かさを奪い取ろうと都を目指す、つまり東の人たちが富の再分配を求めて西に勝負を挑むという構図が、八世紀から十六世紀までの日本史の基本的なトレンドです。」

    「日本は極東、つまりユーラシア大陸の東端にあります。ですから、すでに述べたように、東アジアとつながる西国は新しい文化や新しい理念を取り入れることができ、西を押さえている都が常に優等生として権力を掌握していました。逆に言えば、そうした都の秩序に意義を申立てようとする人たちは、東から攻め上って来たのです。そして、都の政権とぶつかったのが、不破関に近い関ヶ原でした。」

    ちょっと視点を変えただけで、今までの定説に新たな発想がもたらされる。これぞ歴史の面白さであろう。

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。1983年、東京大学文学部卒業。1988年、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同年、東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、東京大学史料編纂所教授。専門は中世政治史。著書に『東大教授がおしえる やばい日本史』『新・中世王権論』『壬申の乱と関ヶ原の戦い』『上皇の日本史』『承久の乱』『世襲の日本史』『権力の日本史』『空白の日本史』など。

「2020年 『日本史でたどるニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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