世界を変える5つのテクノロジー ――SDGs、ESGの最前線 (祥伝社新書)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396116361

作品紹介・あらすじ

このままでは日本だけが取り残される!

行き過ぎた資本主義に対する反省から、日本では「脱成長」がブームとなっている。

しかし、GAFAMなど世界のテック企業の進化が止まることはない。
むしろテクノロジーを加速させて、気候変動、食料不足、教育格差といった社会課題を
ビジネスチャンスに変えている。

また、世界では、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った
ESG投資が急速に進む。SDGs(持続可能な開発目標)にも重なるESG投資の運用資産は、
2025年には世界で53兆ドルを超えるともいわれており、取り組まない企業には人も資金も集まらない。
ESGに根ざした経営は、もはやビジネスの〝参加条件〟ともいえる。

本書では、ESG、SDGsの観点から5つの社会課題を取り上げ、最新のテクノロジーの動向とイノベーションを生み出す企業の強さを解説。GAFAM、テスラ、セールスフォース、その他注目のスタートアップが見据える未来とは―。そして、自ら環境問題と国際協力に取り組んできた著者だからこそ言える、日本のビジネスパーソンがESGを自分ごと化するために必要なこととは何か?

第6章では、元スタンフォード大学教授で東京大学マーケットデザインセンターの小島武仁センター長との対談も収録。世界を知る二人が語り合う、持続可能な社会の実現に果たす経済学とテクノロジーの役割とは。

欧米に比べてすでに出遅れている日本が、「脱成長」という幻想に浸っているひまはない。
最先端のビジネスモデルを知り、サステナブルを武器に変えて未来を切り拓け!

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    う〜ん、広くもなく深くもなく、どこかで見たことのある話をかいつまんで並べました、という本だ。

    ページ数的に一つの話を深掘りできないという制約はあるのかもしれないが、それにしても5つのテクノロジーの紹介があっさりしすぎている。特に大量廃棄×リサイクルの項目に関しては、事例が無さすぎて何も言ってないに等しい。2021年9月に出版されている書なのだから、最新の事例は掘ればいくらでも出てくるはずでは?と思ってしまう。

    議論が片手落ちで終わっているのは(かつどこかで聞いたことのある話ばかりになっているのは)、ピックアップしているのがGAFAMやユニクロ、テスラ、ソニーといった大企業ばかりで、環境問題に特化して取り組んでいるはずのスタートアップ、ベンチャー企業をガン無視しているからだと思う。業界全体の動向がSDGsに向かっていることを強調するために大企業にフォーカスを当てているのだと察するが、環境投資の分野は始まったばかりで、かつテーマが「テクノロジー」なのだから、最先端を走る企業を積極的に取り上げて欲しかった。「アップルが〇〇を始めた」という経過報告だけでは、それが業界全体の中でどの立ち位置にいてどのぐらいのスピード感なのかが見えづらいため、「最先端の取り組み」+「大企業の動向」という二本立てを組めば、内容に厚みが増したのではないかと思う。

    本書はあくまで取っ掛かりとし、別の本でSDGsビジネスの知識を深めていくのがいいだろう。

    ―――――――――――――――――――――――――――――
    【まとめ】
    1 地球を救うテクノロジー
    2070年までには地球の人口の約3分の1がサハラ砂漠並みに暑い環境で暮らすことになるだろうと研究者たちは警告している。もはや、個人の消費行動や良識といった小さな努力の積み重ねだけでは、気候変動の危機は到底止められない段階にきている。では、どこに希望の道筋を見出せばいいのか?その答えはテクノロジーにある。

    本書では、人類を救う鍵を握る最先端のテクノロジーのトピックスを5つの軸で紹介する。

    ①食糧不足×フードテック
    ・代替肉
    →排出される温室効果ガスのおよそ4%は「過剰な畜産」によるもの。環境問題、動物倫理、健康面といったあらゆる観点での問題に対応するために、細胞を培養して作り出されるビヨンドミート、インポッシブル・ミートが注目を集めている
    ・アグリテック
    AIやロボットを活用し、育成状態を解析することで農業にかかる労力を削減する。特に水を再生・循環することで気候変動による水不足にも対応できる。

    ②教育格差×エドテック
    ・AIが生徒の学習進度や不得意な点を解析し、その人専用に最適化されたパーソナル教材を提供する。

    ③医療・介護×ヘルステック
    ウェアラブルデバイスによる心拍数や運動・睡眠時間などの生体データを記録することでメンタルヘルスの状態を随時測定する。集めたデータを各病院のデータインフラにすることで複合的な診断が可能に。

    ④気候変動×クリーンテック

    ⑤大量廃棄×リサイクル


    2 2030年をリードする企業の勝ち方
    ESG経営で成功する企業の共通点はなにか。それは「自分たちのプラットフォームをしっかり整えた上で、時代の変化を見極め、柔軟に対応する」姿勢に尽きる。自分たちの企業が何者で、どの位置に立っているのかをまず把握することが大切。


    3 ESGで激変する業界
    これからはソフトウェア開発が製造業の鍵を握る。たとえば、テスラのソフトウェアは、OTA(Over The Air)といったインターネットを活用した形で直接アップデートされる。従来であれば自動車メーカーは数年ごとにモデルチェンジを行なって、機能追加や性能改善をした新型モデルを発表してきたが、未来の車はボタン操作ひとつで機能をアップデートできてしまう。
    そうなると、必然的にソフトウェア開発が自動車産業のメイン事業となり、それができない旧来の自動車メーカーは、車体というハードウェアを作るメーカーとなり、価格競争に陥ってしまう可能性がある。これからはソフトウェアがモノの価値を決めることになり、ハードウェアを作るだけのメーカーはどんどん弱体化していく。

  • 最近ESG投資とSDGSについて触れる機会が多く、手に取った本。
    元々テクノロジー系が好きな人であれば、聞いたことがある内容が羅列されている印象。
    海外のテクノロジーの躍進ぶりに比べ、日本はまだカーボンニュートラルやフードロスについて本腰を入れていない。
    いつになったら自然環境と向き合うことになるのか‥。日本という国を残念に思う一冊。

    暗号資産についても記載が多く、興味深い内容だった。具体的な銘柄を解説するという事ではないが、ビットコインがもたらした革命的なイノベーション!などは読んでいて共感できた。

  • 興味のある所や仕事で使いそうなところをささっと速読。

    う~ん、何というか、ちょっと情報量が薄いような気が。。
    逆に言うと、コンパクトに必要最小限の情報がまとまっていて、
    SDGsとかESGとか〇〇テックという言葉を初めて学びたい人にとっては、
    最初の一冊目としては、有用な書籍かも。
    そうでない人(ある程度知っている人、深掘りしたい人)にとっては、
    別にこの本である必要はないかなという感じ。

  • 文字通り、世界を変えるテクノロジーについて。

    テクノロジーについて色々知ることができた。

  • 資本主義の結果として発生している気候変動、資源枯渇、格差などに対して、脱成長ではなく、新たなテクノロジーで克服していこうという考え方。
    目新しいことはないものの、日本企業のESGに対する意識が他国から遅れていることに警鐘を鳴らし、付加価値的に考えるのではなく今のままでは先がないという自己否定を出発点に、どう変わって行くべきか真剣に模索する必要がある、という記載は印象的。

  • SDGs、ESGという流行りの単語に対して、企業の取り組みなどを概括した本。
    深くはないので、さわりを知るのにいいでしょう。
    こういった世間で語られる言葉に対し「自分事化」することの重要性を説いています。
    最後の小島武仁氏(東京大学)との対談が一番面白かったです。

  • 世の中は知らないことばかりがすごいスピードで流れていってる…もう充分便利だよなとか思ってたらもっともっと地球のため人のためになる商品も出来てて、素晴らしい人がいるもんだと感心してしまいました。 
    そして何より、うーん、人間って地球に必要?と思ってしまって悲しくなったから星1つ減らしてみました。
    だけど自分も普段からもっと色んなところに目を向けないとなと思った。

  • 先週の三連休から自宅静養が続いていることもあり、今週末も読み放しで部屋の隅に置き去りになっていた本のレビューを書いています。この本は本は丁度一年前に読み終えたもので、今年以上にコロナで盛り上がっていた時期にこの本を読んで、この本で解説されている5つのテクノロジーで将来は変わっていくのかと思いました。

    コロナ対策は行いつつも、やるべきことは行われているようですね。この10年の流れを振り返ると、2030年には私が今想像できないような世界が来ても少しも不思議ではありません。レビューを書きながら、この本に書かれてあったポイントをおさらいしたく思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ESGとは、企業の価値を測る際の新たな指標を意味する、従来のように売上高・利益のみを重視するのではなく、顧客や取引先、従業員、地域などのステークホルダーにも目を向け、環境・社会・企業統治の3つの観点から複合的に捉えて企業価値を向上させていく、という考え方のこと、ESGを推進することは結果として、世界の共通目標であるSDGs(持続可能な開発目標、2015年9月国連サミットで採択、p31)の達成にもつながる(p7)

    ・植物工場の特長は、水をリサイクルできるので9割以上も削減できる、日本が使う年間の水使用量のうち、農業用水が3分の2を占めている(p62)

    ・今の時代のビジネスパーソンに求められているのは、未知のものに触れて自分に最適な方法を探し出して能動的に探究していく姿勢である(p73)

    ・ESGの視点から見たアップルの優れた点は、有言実行と具体性、いつまでに、どのような施策と組み合わせて、どれだけ削減するかというアクションプランまでに落とし込む(p108)

    ・ショックがあったときにどう動くか、自分たちは何をすべきなのかというのは、普段から考えて頭に染み付いていないといざというときに動けない(p121)

    ・EVシフトについて日本において現状維持バイアスに引っ張られ、大きな変化が直近に迫っていることを感じられない人が多いように思われる。2008年にiphoneが日本に上陸したとき、「日本では流行らない」と冷ややかな目で見る人が多かった状況に似ている、ガラケー全盛期においては日本の携帯電話業界はiphoneの持つ本質的な優位性に気づけなかった(p160)

    ・実際に自動車の持ち主がマイカーを運転するのは、保有時間の5%、この空き時間(95%)を自動運転技術を使って活用するのがロボタクシー、となる。すると車は自分で購入する物ではなく、オンデマンドで手配するものになり車に関わる生活様式が変わる、自動運転は街の形も変えることになる、人々の移動手段は鉄道からEVへとシフトする。駅を中心とした同心円状に賑わうような街の形も変わる(p165)

    ・自分たちでOSを開発できなかった携帯電話メーカがプラットフォームを奪えわれ、ハードウェアの生産でも中国メーカに敗れ、業界から撤退することになったのと同じ構図が、自動車メーカでも繰り返されそうとしている。自動運転サービスの開発こそ真剣に取り組むべき(p166)

    2021年10月4日読了
    2022年10月15日作成

  • ①フードテック(代替肉や昆虫食)・アグリテック(植物工場)②エドテック(デジタル教材)③ヘルステック(日々のデータ活用)④クリーンテック(脱プラスチック)⑤リサイクルに軽く触れた上で、ESGが進んでいる企業(アップル、ソニー等)を紹介し、自動車のEV化やデジタル通貨の現状などについて解説した本です。【日本では「脱成長」ブームが来てるけど、それじゃまずい。それより最先端のテクノロジーで問題解決しつつ成長しましょう。英語で世界の情報を取得するようにしないと世界から置いてけぼりになりますよ】⁇
    世界では、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったESG投資が急速に進むSDGs(持続可能な開発目標)にも重なるESG投資の運用資産は、2025年には世界で53兆ドルを超えるともいわれており、取り組まない企業には人も資金も集まらないESGに根ざした経営は、もはやビジネスの〝参加条件〟ともいえる。ESG、SDGsの観点から5つの社会課題を取り上げ、最新のテクノロジーの動向とイノベーションを生み出す企業の強さを解説。GAFAM、テスラ、セールスフォース、その他注目のスタートアップが見据える未来とは―。そして、自ら環境問題と国際協力に取り組んできた著者だからこそ言える、日本のビジネスパーソンがESGを自分ごと化するために必要なこととは何か?
    欧米に比べてすでに出遅れている日本が、「脱成長」という幻想に浸っている暇はない。最先端のビジネスモデルを知り、サステナブルを武器に変えて未来を切り拓け!

  • SDGsやESGについての本を見てみようということで、目に留まった本書を読んでみた。

    5つのテクノロジーと銘打っているが、それぞれの説明は概略に留まっている感じがする(ヘルステック以外はあまり詳しくなかったので、ためにはなったが)

    著者が投資などをしてきた関係か、どちらかというとこのままじゃマズイよ、という不安をあおるようなニュアンスや、どうすれば良いという問題定期的な側面が強かったと感じた。

    テクノロジーの進歩により変わってくる側面が強いというのはその通りと思うし、今後も情報を追い自分ごととして捉える必要はあると感じた。

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著者プロフィール

京都大学経営管理大学院客員教授

「2023年 『アフターChatGPT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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