黒祠の島 (ノン・ノベル)

著者 :
  • 祥伝社
3.40
  • (52)
  • (99)
  • (273)
  • (18)
  • (4)
本棚登録 : 778
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396207083

作品紹介・あらすじ

その島は風車と風鈴に溢れ、余所者には誰も本当のことを話さなかった-作家葛木志保が自宅の鍵を預け失踪した。パートナーの式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴を辿り、「夜叉島」という名前に行き着いた。だが、島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠の島」だった…。そして、嵐の夜、神社の樹に逆さ磔にされた全裸女性死体が発見されていた…。島民の白い眼と非協力の下、浮上する因習に満ちた孤島連続殺人の真相とは?実力派が満を持して放つ初の本格推理。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『屍鬼』なんかで有名な小野不由美女史の作品。
    氏の作品の中ではかなりミステリテイストが濃いものと思われます(他の作品を読んだことがないのですが)。
    とは言いつつもしっかり歴史的な背景みたいなところを書き込んでくるのが作者の趣味。タイトルの意味も割と序盤で判ります。

    メイントリック的な部分はよくできていましたが、なんとも説明下手な印象。
    解決の盛り上がるところで「ん?」と読み直さなくてはならないのはちょっと残念。無論わたくしの読解力不足という可能性もありますが。
    他に難癖をつけるなら、動機の部分が少し弱いかな、と感じました。まぁ、これも好み次第でしょう。

    全体的に、雰囲気が淡々としているのが物足りなかった。
    怪しい島で事件(これ以上ここでは書けないのがもどかしいが)が起きるのだから、もっとおどろおどろしくしてもよかったかな、と。
    とは言いつつも、割と楽しめました。4にするか迷いつつの3。


    付記。
    麻耶の『鴉』にとても似ています。でも別物です。
    例えて言うなら、綾辻の『殺人方程式』と法月の『誰彼』くらい違います。

  • 民俗ネタは大好きなので、こういうギミックは嬉しいです。黒祠の島で信じられている表向きの信仰の姿、信仰の正体、そして村人たちが無意識のうちに培っている価値観――パズルのピースのようにかっちりとはまっていて、本当に見事だと思う。ある意味、この本のミステリー部分は殺人事件とその犯人ではなく、民俗信仰のこのスタイルそのものではないかと。犯人をバラす瞬間より、信仰の形が少しずつつまびらかになっていく様にカタルシスを感じましたし、萌えました。小さい頃から自然と信じてきて、不自然なことのはずなのに当然のように受け入れてしまっているってよいですのう。罰を受けているから犯人だ、という逆説がすんなり受け入れられている状況が説得力豊かで、よかったです。

     ただ、殺人事件のからくりとその犯人の方は、思い入れがちょっと弱い感じ。犯人との対決軸でないからか、なんでそんなことをしたのか、どんな気持ちでそんなことをしたのか、犯人の内情をもっと掘り下げてくれてもよかったなぁと思います。そして、ラストシーンの美しさに一瞬忘れかけたのですが、罪と罰の帳尻はあれで合ったといえるのだろうか。っていうか浅緋さん放置ですか? お医者さんが一番釈然としないだろうなあ。
     読者視点から見れば、殺人に対する対価を殺人者は払いきっていない気がします。殺人事件の謎解きミステリという視点では、不完全燃焼さがありました。

     あと、TRPG的視点から見た場合。
     出だしの島民がみんな情報を出してくれないところとか、宿屋のさりげない妨害ぶりとか、前日と態度を次々と変えていく病院やフェリーの人や――シチュエーションからするとゲーム的に結構そそるのですが、同じ事をしたら、きっとセッションがだれるだろうなぁ……。式部さんは見事に突破口を見つけて、次へ次へと情報収集を続けていましたが、あそこまで八方塞がりの状況は、マスターとしてやってみたいシチュエーションでありながら、実際やったら取り返しがつかなくなるだろう事が容易に連想できるシチュではありました。
     ただ、情報収集をしていたら、しょっぱなから死体を見つけるというシーンの転換は面白いと思う。何かに使えないかなー。

  • 小説

  • いつも調査を依頼する作家の葛木志保が失踪した。残された手がかりからようやく夜叉島と言われる島を探しだした。しかしその島はかたくなに島外者を拒むところだった。そして独自の信仰、独自の神社を持っていた。それが黒祠の島。そこで何が起きたのか、式部は島の秘密を捜し求める。

  • 土着の宗教を信じている、独特な雰囲気の島。宗教に関する解説がどっさり。
    「私が裁定者」という人が出てきて、一気に解決ってのは、趣は違うが水戸黄門のようだった。

  • てっきりホラーだと思って、買った100均一古本。
    ミステリーでした。

    閉鎖的な島での土着信仰に関する殺人事件。こういうの大好きだけど、登場人物が多くて(ほぼ苗字同じだし・・・)訳が解らなくなって何度も戻って~を繰り返したw
     
    最後ちょと急ぎすぎ?
    映像で見てみたいなぁ。

  •  再読。どうしても読み返したくなって。

     小野作品は十二国記以外あまり読んでないんだけど、この話はすごい好きです。残虐性、狂気性、異常性、そんで論理性。素晴らしい。医者の先生途中で殺されるんかなって思ってたけど、全然違った。
     カイチの存在は覚えてたんですよ、本家にいる女の子がそうだっていうのも。その子の頭のなかがぶっ飛んでるっていうのも覚えてた。けど大きな事件の犯人が誰だったのかとか、志保と麻理の入れ替わりとか、全然覚えてなかったです。
     カイチ信仰とか、呪術的な内容ががっつりあるからそれに気を取られがちだけど、骨組みはものすげぇしっかりしたミステリだったんだなぁ、と改めて思いました。
     個人的にはこう、罪とか罰とか、あんまり深く考えたくはねぇなという気分。罪を犯しているから殺してもいいとかさ、殺されてもしかたないとかさ、「裁き」の定義にもよるけどさ、まあ通じない相手に常識を説いてもしょうがないだろうけど、社会的動物であるのなら、それは個人がするべきことじゃないよとは思うけどね。狂人には狂人の論理がある、化け物には化け物のルールがある、同じように社会的動物には社会のルールがあるんだよ。
     結局一連の事件がどんな結末を辿ったのか、分からないままっていう。
     抜粋。カイチさまのお言葉より。ここのセリフだけ忘れられなくて。


    「けれども……それでは、私は誰を殺せばいいのです? 永劫、誰も殺してはならないのでは、愉しみというものがありません」


     彼女がカイチである理由が身体に印があるからだって話だけど、印があるからカイチなのか、その思い込みから周囲が彼女をカイチとして育ててしまったのか。どちらだろうねぇ。
     あと本家の在り方としてどうしても血が濃くなるわけで、ときおりカイチが生まれてしまうのも、子どもが短命っていうのも、そのせいじゃねぇのかとも思います。

  • 小野不由美らしく宗教の細かい知識がてんこもり
    文章も素晴らしく後半に行くにつれ引き込まれていった
    ただラストは少々物足りない

    ここから物凄いネタバレ↓
    -----------
    -----------
    -----------

    真犯人が発覚してから、何故弘子が殺されたのか?弘子を殺したのは本当に杜栄だったのか?
    そこに言及がなかったのが腑に落ちなかった。

    英明を殺すのは財産目当てだから納得したが、だからと言って実の娘まで殺そうと思うのか…?
    おまけに母親の弘子のことは良く知ってるはずなのに面影のある娘の見分けがつかないってどういうことなのか?
    葛木を目にする機会がなかったから、というのは分かるがどちらにしても浅緋の台詞と矛盾するような…

    実の娘を殺すというのは結構インパクトがあると思う(しかも生きたまま苦しめた後で)のでそこに至るまでの狂気の描写が欲しかった。

    結局杜栄もカイチの血が流れてた、ということなのかな?

  • 探偵ミステリー。葛木さんと式部さんのキャラが良いのか。すっとのめりこめます。

    お医者さんをがっつり疑ってたんですが。ミスリードでした(゚Д゚|||)

  • 罰が下ったのだから罪があったのだろう、っていう考え方は面白いなぁと思った。完全に原因と結果が逆なんだけどそれがまかり通るのが因習というものか?結果式部さんは因習に負けた感じか。
    しかしこの作品は推理モノでは無いかもしれない。ホラー臭強すぎ怖い怖い。

全101件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

黒祠の島 (ノン・ノベル)のその他の作品

黒祠の島 (新潮文庫) 文庫 黒祠の島 (新潮文庫) 小野不由美

小野不由美の作品

黒祠の島 (ノン・ノベル)を本棚に登録しているひと

ツイートする