陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 3910
レビュー : 498
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396210267

感想・レビュー・書評

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  • つまり、平成小説界の「ルパン三世」とでも言いますか。
    こういうのを映像化すると、目を覆う出来になるのではないでしょうか。「ルパン三世」もねえ。小栗旬さんは素敵な俳優さんだと思いますが。。。

    設定がほとんどマンガなので、それは小説だから、読者ひとりひとりの脳内想像でリアリズムを補完して楽しんでいる、ということなんでしょうね。
    映像は絶対的な客観になってしまいますからねえ。
    (だから?伊坂幸太郎さんの小説の映像化って、ほとんど上手くいってないような…)

    ###############


    「陽気なギャングが地球を回す」(2003)
    「陽気なギャングの日常と襲撃」(2005)

    に、続いて、シリーズ3作目。

    ●おしゃべりで独善的で我儘だけどどこか憎めない響野(男)。
    ●市役所に勤める冷静沈着なバツイチ。何故か、相手が嘘をついているかどうか判る能力を持つ、成瀬(男)。
    ●住所不明、職業不明、動物と昆虫に詳しく不思議な透明感を持つ若きスリの達人、久遠(男)。
    ●やはりバツイチのシングルマザー、運転が驚異的に上手く、信号の流れを読み、秒単位の体内時計を持つ女、雪子(女)。

    この4人が実はルパン三世一味の如き、銀行専門の強盗団。
    特段義賊でも何でもないのですが、彼らが銀行強盗をしながら、何かしらホントに悪い奴らと関わってしまって、それを結果的に懲らしめて終わるという流れのシリーズです。
    (と、思うのですが、前2作の内容をほとんど完全に忘れているので、間違っていたらごめんなさい)

    およそ10年ぶり?の今作は、敵が「悪徳ゴシップマスコミ野郎」です。
    いわゆる週刊誌の編集者。
    芸能ネタから一般人のスキャンダル(例えば、「昼はOL、夜は風俗嬢」みたいな)まで、なんでもネタを作る辣腕編集者。
    それが嘘でも誤報でも「買って信じる大衆が悪い」とのたまう。
    この悪者に、銀行強盗であることが半ばバレテしまって脅される…。

    お話の流れは、「ルパン・シリーズ」や「ルパン三世・シリーズ」や「フィリップ・マーロウ・シリーズ」とほとんど変わりません。
    つまり、よくよく考えたら強引だし、リアリティはどうなんだ、ご都合で偶然でいい加減ぢゃないか。
    …と、言うだけ野暮ですね、というエンターテイメントです。

    そういう細かい仕掛けがどうこう、というよりも、レギュラーのキャラクターとか、引張って行くスピード感とか、
    物語の段取りと関係ないところで交わされる会話から醸し出される世界観みたいなところが、味わいどころでしょう。

    今回で言うと、いわゆる三流悪徳マスコミというフォルススタッフを作り上げています。
    そして、その悪党の言い分に、三分の理がある世間の業…。知る権利、売る権利と、僕らが持ってる「他人の醜聞を愉しみたい本能」。
    うーん。なかなか灯台もと暗し、僕らひとりひとりの足元の裂け目の暗闇を、ぐぐっと見せてくれています。
    そのあたり、もはや、「平成登場大衆作家の中で、ぶっちりぎりにナンバーワンの過激リベラル派」だと密かに僕が思っている伊坂幸太郎さん。
    シリーズものの娯楽活劇でも、一抹の矜持は見せてくれます。

    言ってしまえばそれまでよ、で。
    大団円は、どこかしら映画「スティング」を思わせる賑やかなるハッピー・エンド。

    伊坂幸太郎さんは多作です。
    多作でシリーズ物だって楽しんでかけちゃってるんだろうな、と思います。
    伊坂さんの小説はかなり全部に近く読んでいるつもりで、大好きなんですが、
    この人に、「もっと寡作にして上質なものを書いてほしい」と思っても、どうやら違うんだろうなあ、と判ってきた気がします。
    きっと、多作なペースの中でこそ書ける人なのかなあ、と。
    死神シリーズや、陽気なギャングシリーズは、肩の凝らない愉しい小説で、こういうことなら多作大歓迎、と、改めて思いました。

  • この作品、つまんない展開がないから長年ファンでいられるのだなぁと思う。
    緻密に組み立てられる表と裏の表情がたまらん!大どんでん返しは、相変わらず期待を裏切らない。

  • 小気味良く、軽快で洒落た会話。テンポ良く、目まぐるしいストーリー展開。物語の終盤に向かって、見事に収束していく取っ散らかった伏線。シリーズ三作目にして、いまだ衰え知らずの際立ったキャラたち。もちろん、ただ面白いだけでなく、社会的な問題も描かれています。いまさら語るまでもなく、伊坂ワールド全開バリバリの痛快娯楽小説でした。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • ワタクシ贔屓の久遠くんの出番が多くて嬉しい一冊。好青年的な外見なのに、人間なんて動物のエサになればいいとか彼の割とダークだったり不思議だったりする面が遺憾なく発揮されてて楽しい限り。動物の絵はすごく詳細に描けるのに、人の絵はちゃんとかけないとか、チマチマと新しい情報が出されてくるので、ホクホクしながら読みました。
    なんとなく事件としてはあまり気持ちもよくないし、展開としてもスッキリしきれない気もしますが、9年ぶりに彼らに再会できたことを素直に喜ぶことにします。
    逆に、作品やキャラに思い入れがない方にはあまりオススメしないかもしれません。

  • 「陽気なギャング」シリーズ三作目。前までのキャラクターと作品は薄っすら覚えている程度だったが、読んでいくうちにどこか懐かしい気持ちに。
    キャラクター達の軽快な会話と、独特な心理描写に、皮肉めいた辞書の引用、そして伏線を回収しきるラストにかけてのストーリー展開は圧巻。
    これまでの作品の中で一番面白かったかも…?

  • 続編は出ないと思っていたので、半端ない期待感を持って読み始める
    やはり、伊坂作品が好きなので、満足。
    相変わらず響野さんは最高。面白かったです。
    とりあえず、前2作を読み直し。

  • 私の中で伊坂氏といえばこのシリーズ。
    こういうエンターテイメントを書かせればこの人の右に出るものはいないな
    ストーリー、ミスリードさせてくる文章、キャラクターと
    どれも素晴らしく時間を忘れて読めた

  • あぁおもしろい!!!!!やっぱりのこのシリーズは痛快なわけであるから面白いと思わずにはいられない。←伊坂さん風。
    いやはやまさか陽気なギャングシリーズの続編が出てたとは。なんと9年ぶりだとは。即購入し、おもしろくて止まらないけど読み終わるのがもったいなくて無理矢理3日かけて読了。相変わらずの4人で相変わらず面白い。大好き。
    動物大好き久遠も、お喋り止まらずしかもスーパーポジティブ響野も、体内時計はいつでも完璧雪子も、なにより嘘を見破り頭が良く完璧な計画を立てる成瀬もなんて魅力的なんだ!!!伊坂さんのお話はわかりやすいくらいの悪役(今作はえげつないライターの火尻さん)が出てくるからどうやってぎゃふんと言わせるのかが痛快で良いし、毎回言葉の意味を辞書風に載せててそれがすごい面白いところも魅力。伊坂さん特製国語辞典とかあれば是非とも欲しい。最高!!!

  •  『陽気なギャングの襲撃と日常』以来、実に9年ぶりとなるシリーズ第3弾である。予想外の続編を書店で発見し、急いでレジに持っていく。他に例を見ない、陽気で明るいクライム・ノベル。愛すべき面々の現在は…。

     そろそろ引き際かなあと思いつつ、久々に銀行を襲った陽気なギャングたち。焼きが回ったというわけではないだろうが、小さなミスを犯した。それは致命傷になるほどのミスではないはずだったが…後に4人を窮地に追い込むことになる。

     帯には「強敵あらわる!」とある。過去2作の敵も十分に強敵だった。今回の敵は、実はたった1人。なぜたった1人に手こずるのか? 敵は悪徳記者であり、何人もの人生を壊してきた。そんな男に、正体を掴まれてしまったのだ。

     頭脳明晰で腕っ節には自信がある彼らも、逃れようがない。悪い偶然が重なったとはいえ、この記者には心底腹が立つ。とはいえ、そもそも彼らも犯罪者であり、身から出た錆なのだが…それでも、無関係の身内まで巻き込むわけにはいかない。

     記者の要求は、彼が裏カジノで作った借金をどうにかすること。仮に借金を肩代わりしたところで、要求がエスカレートするのは目に見えている。ぶっちゃけた話、「始末」する以外にないではないか。しかし、殺人に手を染めたら陽気なギャングではない。

     期限が迫る中、とりあえずカジノへ潜入するが…彼ららしくない迂闊さが目につく本作だけに、おいおいそんな手口で大丈夫か? と心配になってくる。ラスト直前まで、どんな逆転への秘策があるのか、まったく読めない。確かに伏線はあったが…そっちを利用するんかいっ! ま、まあ、価値観は人それぞれだよね。脱力した…。

     さらなる続編を読みたい気もするが、さすがに懲りたであろう4人は、今後どうするのだろうか。9年ぶりに会えて嬉しかった。

  • 陽気なギャングのシリーズでは3作目、それも前作から9年ぶりの新作。

    前の2作品も当時読んだのだが、詳しいことは覚えていないため、不安に思って映画「陽気なギャングが地球を回す」をレンタルし、メインの登場人物の特殊能力や設定を把握してから読んだ。もちろん独立した話ではあるが、このくらいのおさらいはしておいた方が、読みやすいかも知れない。

    大の大人たち(それも「悪党」)が成長した慎一の勤め先に押しかけていって、たむろしていたりするのが微笑ましい。
    軽妙な掛け合いも相変わらずで読んでいて楽しい。久遠が動物の蘊蓄で敵と意気投合して長々としゃべったりしたときの「本題とのズレ感」がたまらない。本来はそこは響野の演説の持ち味なのだけど、別のキャラクターが生き生きとしているのもそれはそれで楽しいものだ。
    直接の敵の火尻よりずっと怖いカジノの一味をなんとかかわしていくところは、爽快というにはすこし物足りないかもしれないが、いけ好かない小物がやっつけられるところは、気持ちが良い。
    テンポ良く楽しいコメディである。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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