暗闇の囁き (ノン・ポシェット)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 201
感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396323844

感想・レビュー・書評

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  • 卒論に集中する為、叔父の所有する別荘にきた拓也は、美しい顔をした兄弟と出会う。彼らの家庭教師が黒髪を切られ変死をした事件を知る。兄弟が口にするあっちゃんとは誰なのか?やがて兄弟の従兄とその母の死体が発見され、眼球と爪が無くなっていた。

    妖精のように美しい兄弟が、無邪気で年齢より幼く、物語と現実の区別もつかず兄の話してくれた物語を信じきっていて悲しくなる。
    表紙のイラストもイメージにあっていて良かった。

  • 囁きシリーズ第2弾。この作品を読んで、綾辻氏が目指すのはサイコサスペンスの様式で本格ミステリ的サプライズを仕掛けようということがよく解った。

    前作が女学園での惨劇ならば本作は双子の美少年の周りで次々と起こる不可解な殺人事件をテーマにしている。これで綾辻氏がこのシリーズで敢えて少女ホラー漫画で取り上げそうなネタを使っているのがさらに補強された形になる。
    なぜかように少女漫画チックなモチーフを使うのだろうか。それはつまりそれは美しさには影があり、それは狂おしいほど残酷なものだということだろうか。これは綾辻氏の美学そのものであるのかもしれない。

    前作では閉鎖された集団の中でいつの間にか形成される社会とは違った歪んだ常識が、そして本作では子供の独特の世界観で気づかれる価値観が物語の底に流れている。そしてそれらは全てある忌まわしい記憶に起因しており、その正体こそがこのシリーズにおけるサプライズだと云える。
    あと本書では綾辻氏のある作品についてリンクがなされており、その作品は未読であったが、すぐに気づき、「おっ」と思ったものだ。館シリーズぐらいしか作品世界に相関性を持たせていないように感じたが、意外と探してみるとあるのかもしれない。

    本書でやりたかったのはアンファンテリブル物だというのは容易に想像つくに違いない。この双子に何が起き、そして何を起こしているのか、それを成立させるバックストーリーが本書の読みどころであろう。
    こういう物語が好きな人にはこのシリーズは堪らないのだろうが、私は実はかなり苦手。館シリーズに比べて起伏が少ないストーリー展開と、まだるっこしさを感じる抑制された文体。疲れているときに読むと何度も眠気で中断してしまうように感じた。

    また『緋色の囁き』の時も書いたが、当時私が記憶について厳格だったというのがある。本書で明かされる「あっちゃん」なる者の正体、これが全く納得いかなかったのである。『緋色~』が高校生で今回はさらに年齢が下って10歳くらいの美少年だから、さらにその不信は深まった。
    だから上の評価は全く以って私の好みに起因する。しかしショックが与える心、記憶への影響というものを理解している今ならば、この障壁は取り除かれて、この評価は高くなるかもしれない。なのでこういうのに興味がある人はぜひ一読してもらいたい。

  • ミステリとしては薄味だけど、作品の持つ妖しげな雰囲気は良いですね。隔絶された世界の中で、純粋が故に生まれた狂気が哀しいけど美しい。でも結末はやるせなく、救いがないような気がしました。

  • 囁きシリーズ2作目。このシリーズは特に前作との繋がりはない模様。
    純真な子供ゆえの残酷さが恐ろしい。そして結末はあまりにも悲しかった。
    第一弾同様ラストにぞわっとさせられるのがいいですね。好きです。
    双葉山のくだりでは思わずにやりとしてしまいました。この作品は「殺人鬼」を読んだ後に読んだほうがいいかもしれません。

  • 綾辻さんの著者近影は写真ごとに印象が違うなぁ。ここではチャーミング系をねらっているのか、ちょっと気持ち悪いぞ。

    子供の残酷さがテーマのこの作品、探偵小説と言うには犯人はかなり早い段階で見当が付く。それでもドラマとしては良くできていて、最後まで飽きさせなかった。悪い印象はない。

    探偵役は西洋史を志す大学生だがクラウスヴィッツという人の『Die Staedteordnung von 1808 und die Stadt Berlin』という著作が小説でわりと重要な位置を占めているが、この本は実在するのか? Dさんか山奥の住人さんに聞いてみよう。

  •  「囁き三部作」の第2作目。
     三部作と言っても、前作「緋色の囁き」とは登場人物含め設定も全て異なっているため、単体で読んでも楽しめる作品になっている。ただ、昔の記憶が事件を読み解くカギになっている点は共通している。
     個人的には前作のほうがスリリングな展開で面白かったが、本作では「社会との繋がりがないとどうなるか」というテーマも伏線としてあり、事件そのものよりもそちらのほうに興味を魅かれてしまった。

  • 謎バレはイマイチだったが設定からラストまでは映画のような感じで見応えあった。実写化はむずいな。とりあえず前回とのつながりはなし。

  • 囁きシリーズ第二弾.
    転倒し,木の枝に喉を貫かれた状態で見つかった女性は,髪を切り取られていた.
    泥酔した風太郎の青年は撲殺され,目玉を取り出されていた.
    一連の猟奇的な犯行の裏には,すでに死亡しているはずの少年の影が見え隠れする.
    主人公の記憶と交錯する不可解な一家にまつわる謎を追う.

  • ◆あらすじ◆
    円城寺実矢と麻堵───それが妖精のように美しい兄弟の名だった。
    烏裂野の夏の住人となり、二少年と出会った拓也は、彼らの女家庭教師が黒髪を切り取られ変死した事件を知った。
    もの言わぬ母、夜毎徘徊する白い影───秘密めく円城寺家と、兄弟がひた隠しにする「あっちゃん」とはいったい?
    やがて兄弟の従兄とその母が無残な死を遂げ、眼球と爪が奪い去られた……。

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著者プロフィール

綾辻 行人(あやつじ・ゆきと)
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院修了。’87年9月『十角館の殺人』で作家デビュー。「新本格ムーヴメント」の嚆矢となる。「館」シリーズで本格ミステリシーンを牽引する一方、ホラー小説にも意欲的に取り組む。’92年『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2018年度第22回ミステリー文学大賞を受賞。464

「2021年 『黄昏の囁き 〈新装改訂版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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