- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396326715
作品紹介・あらすじ
思わず立ちすくんだ子鵬は、侯景の意図を察して慄然とした。侯景が船底に穴をうがち、そこから水中に逃れようとしていたのである。「おれは漢帝だ。陛下と呼ばぬか!」南北両朝から叛逆者とされる侯景の遺した、それが最期の言葉だった…(表題作より)。長江の流れの如く悠久な中国の歴史。その檜舞台に立つことのかなわなかった人物たちに命を吹き込んだ珠玉の歴史ロマン。
感想・レビュー・書評
-
田中芳樹『長江落日賦』(祥伝社文庫、1999)を読む。
解説に「読書の幸せを一粒で五度も六度も味わえる作品集」と作家の森福都氏が書いています。
三国志しか知らない人は残念ですね。中国の歴史はお話の宝庫であることを田中芳樹氏に教えられたと思っています。
田中芳樹氏の歴史小説を表すキーワードを森福氏があげているのでメモしておきます。
野心・智略・妖異・躍動・歴史
この短編集は以下からなっています。
黒竜の城
天山の舞姫
長安妖月記
白日、斜めなり
長江落日賦詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三国無双で若い子の間でも有名になった夏侯覇の短編集が入った1冊。彼が何故父の仇である蜀に下ったのか。男気あふれる、彼の強い意志に納得する方も多いかも。力強い夏侯覇の生き様が読めますよ!
-
田中芳樹先生の中国もの短編集です。掲載作の中に『白日、斜めなり』という夏侯覇と姜維の小説があります。夏侯覇という数奇な運命を辿った人物を主人公にした所が、史実に伝がたてられていないけども当時の歴史を語るうえで重要な役割を果たした人物の視点で、奥行きのある興味深い話になっていると感じました。
-
短編集なのですが、その中の一篇「白日、斜めなり」は夏侯覇が主役です。三国志もだいぶ終わりの方で、魏から蜀へ亡命した夏侯淵の息子です。
小品ですが佳作かと。蜀末期、宴の終わりが近づいてくる寂しさが雰囲気を出していました。 -
古代中国を扱った田中芳樹の短編集。中でも三国志末期に魏から蜀へ降った夏候覇の短編は傑作。
-
全1巻
-
以前読んだ同作者の中国歴史物『紅塵』及び『纐纈城綺譚』に比べると纏まりがあり、かなり読みやすかった。
確かに前2作が長編であり、今回は短編集である単純な事実に原因は収束する。
前2作の感想にもあるように挿話がやたらと多いので時間軸が至る所で飛躍してしまい、混乱を招いたが、短編はやはり纏まりこそ重視する物で、多少前2作の片鱗はあるものの苦痛にはならなかった。
あとはいやに説明的な文章をどうにかすれば…。 -
中国を舞台とした、歴史小説の短編5作。
-
4396326718 281p 1999・2・20 初版1刷