長江落日賦 (ノン・ポシェット た 18-2)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 95
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396326715

作品紹介・あらすじ

思わず立ちすくんだ子鵬は、侯景の意図を察して慄然とした。侯景が船底に穴をうがち、そこから水中に逃れようとしていたのである。「おれは漢帝だ。陛下と呼ばぬか!」南北両朝から叛逆者とされる侯景の遺した、それが最期の言葉だった…(表題作より)。長江の流れの如く悠久な中国の歴史。その檜舞台に立つことのかなわなかった人物たちに命を吹き込んだ珠玉の歴史ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 田中芳樹『長江落日賦』(祥伝社文庫、1999)を読む。
    解説に「読書の幸せを一粒で五度も六度も味わえる作品集」と作家の森福都氏が書いています。
    三国志しか知らない人は残念ですね。中国の歴史はお話の宝庫であることを田中芳樹氏に教えられたと思っています。
    田中芳樹氏の歴史小説を表すキーワードを森福氏があげているのでメモしておきます。
    野心・智略・妖異・躍動・歴史
    この短編集は以下からなっています。
    黒竜の城
    天山の舞姫
    長安妖月記
    白日、斜めなり
    長江落日賦

  • 三国無双で若い子の間でも有名になった夏侯覇の短編集が入った1冊。彼が何故父の仇である蜀に下ったのか。男気あふれる、彼の強い意志に納得する方も多いかも。力強い夏侯覇の生き様が読めますよ!

  • 田中芳樹先生の中国もの短編集です。掲載作の中に『白日、斜めなり』という夏侯覇と姜維の小説があります。夏侯覇という数奇な運命を辿った人物を主人公にした所が、史実に伝がたてられていないけども当時の歴史を語るうえで重要な役割を果たした人物の視点で、奥行きのある興味深い話になっていると感じました。

  • 短編集なのですが、その中の一篇「白日、斜めなり」は夏侯覇が主役です。三国志もだいぶ終わりの方で、魏から蜀へ亡命した夏侯淵の息子です。

    小品ですが佳作かと。蜀末期、宴の終わりが近づいてくる寂しさが雰囲気を出していました。

  • 古代中国を扱った田中芳樹の短編集。中でも三国志末期に魏から蜀へ降った夏候覇の短編は傑作。

  • 全1巻

  • 再読。一番の目当ては、魏の皇族にして、司馬一族に追われるように蜀に亡命し、そこでも蜀の皇族として遇され、重用された夏侯覇の複雑な思いを描いた「白日、斜めなり」。「魏にあっては、皇族にして叛逆者。蜀漢にあっては、皇族にして亡命者。これほど奇怪な境遇に置かれた者は、歴史上にそう多くはあるまいな」(夏侯覇)。流れてきた蜀が、漢王朝の正統な後継を歌うのに史観が置かれていないことに違和感を感じ、魏に比べてあまりに文雅の風がうすいことを寂しく思い、反面、将軍として、后妃の親類として重用されることをありがたく思いつつ、君主や同僚たちに良きものを見出すも、時に駆られるふわふわとした居心地の不安定さ、ふたつの国に仕えることの思いなどが描かれ、やはり、読み返してよかったと思える一編。。他に、宋の皇族の末裔を名乗るあやかしが、イシハの野望を、仕える君主の悪名が代々伝わることを告げる「黒竜の城」。ウマイヤ朝のクタイバ・ブン・ムスリムの伸張に対抗するため送られた唐の武人河東の李炎が最後はクタイバを討ち果たすがその過程で不可思議に登場し自分を助けてくれた愛する舞姫ゼノビアを失ってしまう「天山の舞姫」。太宗李世民の死の間際、病身につけこんだ方士に心を操られた皇帝を救うための、文武のトップ、李靖、尉遅恭らの奮闘、李淳風の予言、そして正道にもどしたはずの政権の顛末に寂寞を覚える「長安妖月記」。侯景の乱を中心に梁の混乱と、名称羊侃の息子羊鯤の若くしての活躍を描く「長江落日賦」。/すべては天命だ。だが、だからといって、人の営為が無為であるとはいえぬ。人であればこそ天命を知ることができるのだから(李淳風)(「長安妖月記」)

  • 以前読んだ同作者の中国歴史物『紅塵』及び『纐纈城綺譚』に比べると纏まりがあり、かなり読みやすかった。
    確かに前2作が長編であり、今回は短編集である単純な事実に原因は収束する。

    前2作の感想にもあるように挿話がやたらと多いので時間軸が至る所で飛躍してしまい、混乱を招いたが、短編はやはり纏まりこそ重視する物で、多少前2作の片鱗はあるものの苦痛にはならなかった。
    あとはいやに説明的な文章をどうにかすれば…。

  • 中国を舞台とした、歴史小説の短編5作。

  • 4396326718 281p 1999・2・20 初版1刷

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著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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