カナリヤは眠れない (ノン・ポシェット)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 508
レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396327019

感想・レビュー・書評

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  •  新婚の墨田茜には昔、買い物依存症で借金をし実家に連れ戻された過去があった。結婚後その衝動を抑えていた彼女だったが…

     ミステリのシリーズものらしく探偵役として、整体師の合田力、ワトソン役に雑誌記者の小松崎、また合田の整骨院の受付の姉妹といずれも個性があり魅力的なキャラはいるのですが、どちらかというと彼らは添え物であくまで茜が主人公の小説という印象があります。

     優しい夫に見初められるも、どこか物足りなく言葉にできない不満を抱えていたり、昔の友人たちがお金持ちになっていて劣等感を抱えたり、
    そうした人間心理のひだというものがしっかりと書かれています。

     そしてとあるきっかけで、17歳の少年と仲良くなる茜の描写もなかなかのもの。下手すると官能小説の雰囲気になりそうなところを、とても爽やかに二人の関係性や感情を描いているところも非常に好印象です。

     文庫書下ろしでページ数も300ページ足らずながら、探偵たちのキャラの立ち具合はもちろんのこと、心理小説、恋愛小説のうまみも取り入れられていて、内容の濃い小説でした。

     その分チョット惜しいなと感じたのがミステリ部分。終盤までミステリ要素はないため、合田・小松崎コンビの活躍が急すぎるように感じました。一応伏線がないわけではなく、展開も面白かったのですが、
    ミステリでいくならもうちょっとそうした雰囲気を早めに出しても良かったかな、という気はしました。

     しかし、魅力的な作品であることには間違いありません。次回作もあるみたいなので、そちらもそのうち読んでみたいな、と思います。

     
     小説の内容と関係ないのですがちょっとびっくりしたのがこの本の出版が1999年だったこと。自分は近藤さんを『サクリファイス』で初めて知ったので、
    あまりベテランの作家さんというイメージがなかったのでちょっと意外でした。思っていた以上に息の長い作家さんなんですね。こうして読むと、昔から実力のあった人だったんだな、としみじみ思いました。

  • 『サクリファイス』が読み応えのあった近藤さん。タイトルからは想像出来ないけれど、依存症に苦しむ女性たちの話。腕はいいが変わり者の整体師が、背中と背骨からストレスを感じ取り、彼女たちが治癒する手助けをします。物事の全体の流れを語るワトソンというかヘイスティングスというかの役割には、不摂生な生活が祟って首が回らなくなってしまった若い編集者。女性たちの状況は重苦しいものの、この編集者と整体師がとぼけたというか味わいのある人物で、物語全体の雰囲気を暗くなりすぎないように調和している感じでした。巧く出来ていると思いました。

  • 整体師の合田先生シリーズ第一弾。

    このひとの物語は日常ミステリと油断していると思いがけない悪意が潜んでいて、その情緒的な部分でのやられた感が強い気がするのですが。犯人の最後の言葉が、こういうことをこの人に、ある人に向かって言わせるセンスが凄いと思いました。うーん…。

  • 今回も楽しめました。近藤さんの作品ってわたしにはわりと外れがなくて嬉しい。

  • 最後の最後で、そういえばミステリでしたね、と。

  • いつの作品かは分かりませんが、やはり読ませるなぁ、と思います。内容は買い物依存症の女性や様々な闇を持った女性達のそれぞれの物語。茜には共感できない所も多くて、何を偉そうに人の面倒見てるんだろか…的な感情もあったり。デビューが遅いとのめり込みやすいよね、と思います。再生の物語ではなく、そこから事件へ発展させていくので、そこは飽きずに面白いです。整体師の先生が良い味でした。さらさら、と読めました。

  • この人の本は本当にさらっと読める。
    実に軽快にストーリーが進む。

    読んでいて楽しくなる作家だと思う。
    後味も非常に良く、電車通勤でさらりと読むには最適。

  • 心の闇や歪みから病んでゆく女たちを描いたモラル小説のような作品でしたが、最後はしっかりミステリーでした。病んでしまう人は痛みをまっすぐに受け止めてしまう。でも質が悪いのは、痛みに気づかない鈍感さから周囲を傷つける人間です。私はどちらかといえば後者なのではないかと慄然としました。私の周りにも合田医師のような人がいたら、心も身体も安心して悪意に立ち向かえるのに。鈍感力を身に着ける必要もなかったのに。歪んだ女性が痛々しくも、魅力的な登場人物たちのおかげで爽やかな読後感です。

  • 2016/7/27
    この人の書くお店はなんでこうも行きたいのか。
    この接骨院めっちゃ行きたいわ。
    前のフランス料理より行きたいわ。
    マジどこにあんの??

  • 整体師のホームズに雑誌記者のワトソン。いかにもシリーズにします、と言わんばかりやな〜。

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プロフィール

近藤 史恵(こんどう ふみえ)
1969年大阪生まれの推理作家、小説家。
大阪芸術大学文芸学科卒業後、1993年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。
2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞、2008年度本屋大賞部門惜しくも2位、第61回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作になる。これがシリーズ化もされた代表作となった。ほかの代表作に、ドラマ化された『天使はモップを持って』シリーズ。
2006年から、母校の大阪芸術大学文芸学科客員准教授に就任している。

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