クール・キャンデー (祥伝社文庫 わ 6-1)

著者 :
  • 祥伝社
3.45
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本棚登録 : 1006
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396328139

感想・レビュー・書評

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  • 杉原渚、中学二年生。7月。自分の誕生日イブから始まる真夏の大冒険。

    葉崎市シリーズの順番からいったら3番目の作品ということで買ったんだけど、なんかいつもと違うんだよね。渚(なぎさ)の一人称で語ってるし、行間も広い。よってサクサクっと読めちゃうんだ。夏休み用のジュブナイルかな、と思うじゃない?でもやっぱりそんな「やさしい」もんじゃなかった。季節は事件の始まりが7月20日!でも本の初出自体は2000年の11月10日なんだよね。「祥伝社文庫創刊15周年記念 特別書き下ろし作品」とまで銘打ってるんだ。少なくとも夏休み用ではないことだけは確かだよね。それまで光文社文庫で出ていたのに、葉崎市シリーズを他出版社から出すって、コレそれなりに仁義切るの必要だったんじゃない?そこら辺は、今の政治と同じで闇の中なんだけど、そのあと次は光文社文庫に戻って二度と祥伝社文庫が出てくる気配はない。コレってなんだったんだろね。いや、いいんだけどさ。

    あ、そうそう。事件の内容が大事だよね。わかってるよ。渚の(腹違いの)お兄さんに、(お嫁さんの死亡の原因になった)ストーカー殺害の容疑がかかったんだけど、渚がその疑いを晴らすために七面六臂の右往左往をするお話なんだ。結論の持って行き方は、(数えたらこの3年間で若竹七海を20冊も読んでいるんだよね)まともに終わらないのは織り込み済みなわけよ。で珍しく、詳しいことはわからなかったけど、世間で評判の「最後の一行」は予想したわけですよ(←エヘン)。でも、最後のどんでん返しの前に、もう一つどんでん返しがあったんだ。コレは全く気が付かなかった(←クスン)。

    というわけで、「軽い読み物」のわりには(クール・キャンデーのように)「甘冷たい物語」でした。

    ※他の人の感想を読んでいたら、7年前に失踪したお父さんが最後まで出てこなかったんだけど、もしかしたら‥‥と思って、かなり冷えた。

  • 書き下ろし。葉崎市ものでもあるので、他作で出てた人達がちょっと出てくる読者サービスも楽しい。中2女子の描き方がやや昔風ではあるが、この年代の気持ちとかちゃんと拾ってると思う。最後の一行が苦かった。葉村晶シリーズを思わせるダーク感。

    • ひだまりトマトさん
      111108さんこんばんは
      コメントありがとうございました。返事の仕方がわからないので、大好きな若竹さんの本を借用しました。
      カフカは私も好...
      111108さんこんばんは
      コメントありがとうございました。返事の仕方がわからないので、大好きな若竹さんの本を借用しました。
      カフカは私も好きで読み返します。たまたま久しぶりに手にとって気がつきました。今後ともよい本に廻り合いたいですね。
      2022/06/05
    • 111108さん
      ひだまりトマトさん、こんばんは。

      お返事ありがとうございます!
      カフカ好きを思い出して思わずコメントしてしまったので、お返事いただき嬉しい...
      ひだまりトマトさん、こんばんは。

      お返事ありがとうございます!
      カフカ好きを思い出して思わずコメントしてしまったので、お返事いただき嬉しいです。

      ひだまりトマトさんはいつも優しく語りかけるようにレビューを書いていらっしゃるので、私があまり手に取らないタイプの本でも読んでみたい気持ちになります。
      ありがとうございます♪
      これからもよろしくお願いします!
      2022/06/05
    • ひだまりトマトさん
      11108さんこんばんは。
      ありがとうございます。
      こちらこそよろしくお願いいたします。
      11108さんこんばんは。
      ありがとうございます。
      こちらこそよろしくお願いいたします。
      2022/06/05
  • 14歳歳上の良輔兄貴のお嫁さん(柚子さん)が死んだ。
    柚子さんは、ストーカーに襲われそうになって、七階から飛び降りて重体となって亡くなり、そのストーカー男も変死を遂げ、兄貴に疑いがかけられる。
    夏休みを目前にひかえた妹の渚が、兄の疑いを晴らそうと奮闘する物語。
    ミステリー好きな渚目線でずっと語られている。
    渚は14歳の女子中学生だけれど、芯が強くて、頭の中クール過ぎてカッコイイ。

    若竹七海さん読むの3冊目だし、これ最後の最後まで目が離せないって思っていたけど、やっぱり最後の一行で背筋が凍った。

  • やってくれたな、の一冊。

    葉崎市シリーズ3冊目。妻殺しの容疑をかけられた兄の無実を証明しようと14歳の妹 渚が悩み奮闘するストーリー。

    ユーモアももちろん散りばめられ、テンポよく読めたのがうれしい。

    渚が時折、立ち止まって思考を巡らす時間、自分の境遇を有名小説になぞらえるシーンが印象に残った。

    小さな驚きと共に全てが丸く収まるかと思いきや…やっぱりそこは若竹ワールド。 
    やってくれたな。

    もうサラッと毒をばら撒いて、はい、さよなら〜って感じ。はぁ…。この毒、どうやって掃除しよう。

  • 兄の無実を証明しようとする女子中学生の話。死亡したのは兄嫁とストーカー。腹違いの兄と妹の行動が見事にシンクロしている。ラストの一言をにっこり笑って言うのは普通じゃない。

  • 「葉崎市シリーズ」3冊目。
    前の二作は光文社だったが、こちらは祥伝社文庫創刊15周年記念の特別書下ろしとやら。

    160頁の中編であっという間に読み終えた。
    ストーカーに襲われ重態だった兄嫁が他界、更に同時刻にそのストーカーも変死し、兄に疑いが掛かるという事態に、中学生の渚が兄の容疑を晴らすため奔走するという話で、軽い感じで進められる展開にどう収束するのかと思っていたが、…なんだかゾッとしない読後感。

  • 最近、若竹ミステリにハマっている理由が、この本を読んで分かったような気がした。

    葉崎市シリーズ第3弾。
    主人公は葉崎の「ロコ」(この言い方好き)、中学2年生の渚。
    自分の誕生日とともに華々しく幕を開けるはずだった夏休みに、よりによって兄貴の妻が自殺の末死んでしまう。兄嫁のストーカーや地元の痴漢騒ぎも絡んできて、八面六臂の活躍を見せる渚だったが……。

    海沿いの町、古本屋でのバイト、親友もいるし男の子たちもいる、そんな「夏100パーセント」の渚だけど、事件に巻き込まれ解決に奮闘し、なんとか八方丸くおさめてめでたしめでたし。……もしそうだったら「若竹七海のミステリ」でなくても読めるだろう。

    たとえ主人公が中学生であっても容赦しないこの最後。この「毒」こそが若竹ミステリの魅力であり、後味が悪いのにやみつきになる要素なのだと思う。

  • 主人公は中学生の杉原渚。

    ストーカーに襲われ重体だった兄嫁である柚子さんが他界し、さらに、同時刻にそのストーカーも変死した。
    そのストーカーの殺害容疑が兄の良輔にかかっていると知り、渚は事件の真相を調べ始める。

    渚の悪いと思ったら、すぐ謝るところとか、兄の為だと思っていたのに自分の為だったことに気づいて自己嫌悪になるところとか、小学生の女の子を自然と助けていたり、良い子だなぁと思う。

    事件の真相については何も書かないけど、最後の最後でえっ!?となる終わり方でした。

  • 短くて軽いミステリーだと思って楽しく読んでたら、最後の最後にやられた。やっぱり若竹七海さんだった~(好き)

  • 葉﨑市シリー作三作目。

    そうそう、この感じ。
    何度も痛い目に遭っているにもかかわらず、
    心温まる場面に油断をしてしまい、
    ぐさっと胸につきささるお話。

    主人公は、渚。
    中学生。
    一年で一番好きな日、誕生日の前の日に義理の姉が亡くなる。
    同じ日に義姉を襲った犯人が車にひかれ、
    そして人生最悪の夏が始まる。

    こう書いてしまうとおどろおどろしいが、
    父が蒸発していても、
    異母兄の結婚相手が無神経な嫌な女だとしても、
    書店のお手伝いで本がもらえることに喜んでいる、
    現実的で「天才」な渚の夏は軽やかに進んでいく。

    その書店、鬼頭堂は
    「ヴィラ・マグノリア」に出ていた書店だと、
    すぐ気が付いた。

    自分が義姉が嫌いな理由はかなり客観的に説明できても、
    世の中が白と黒で単純に出来上がっているような描写もあって、
    本当に中学生らしい。

    異母兄にかかった容疑を晴らし、
    明らかに意図的に男子であることを伏せられていた、
    「忍」の恋心も明らかになって…、
    最初の感想に戻る。
    コージーミステリー、なんだろうか。

    七年前に蒸発したパパは大丈夫なんだろうかと、
    ちらりと心配になったことは否めない。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

若竹七海の作品

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