奇憶 (祥伝社文庫)

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著者 : 小林泰三
  • 祥伝社 (2000年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396328160

奇憶 (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • “考えられる可能性の第一は夢だ。幼児は夢を現実だと思い込む傾向があるのかもしれない。あるいは、何かの錯覚だったのかもしれない。金星のような明るい星が月のすぐそばにあったか、大気中の何かの現象が月を二つに見せたかしたのだろう。それとも、空想と現実の区別が曖昧だったのか?ひょっとしたら、自分は幼い頃から、少し狂気が帯びていたのだろうか?今のこの状況はその狂気が原因なのだろうか?
    直人は背筋が寒くなるのを感じた。
    どうすれば、自分の正気を確認できる?おそらく、さらに思い出を探り続ければはっきりするはずだ。あの頃、月は常に二つだったのか、それともいつもは一つだったのか。そう。月に関する思い出を探すんだ。月に関する別の思い出を……”[P.37]

    この本の話「奇憶」は以後の「忌憶」に収録されているのでした知らなかった。
    今更だけど、汚い部屋の描写が上手い。眉をひそめて思わずその本すら埃に塗れているんじゃないかと思うような。
    よもつしこめ。ぬわいるれいとほうてぃーぷ。ショゴス2号。

    “部屋の中にはもう一つ別の生き物がいた。真っ黒なそいつはゼリーのように床に広がり僕の体を嘗め回した。
    「これは何!?」僕は思わず叫んだ。
    「呪われたもの……這い寄る混沌」
    老婆はますます意味のわからないことをぶつぶつと呟きながら、僕の周りで踊った。”[P.103]

  •  量子力学やらクトゥルーやらブレードランナーやらへの言及もあったりして、この作者らしい作品になってます。しかし、なんといってもすばらしいのは、足の踏み場もないアパートに住み、恋人(恋人がいたこと自体が謎だが)にも逃げられ、だらだらと生活するダメ人間のリアリティあふれる描写ですね。特に、何もしない自己を正当化するために展開する自分勝手な論理には唖然・・・
     内容自体は今までの小林作品の中ではサイテーランクです。中編ではなくやはり短編の方が力を発揮できる作者なのでしょうかね。

  • 現実生活はみじめなものだった。恋人も去り、大学も行かず、金はない。
    だが〔夢〕だけはよく見た。そこでは鬼の顔をした老婆「よもつしこめ」が
    囁くのだ。「物心がつくと世界は一つしか見えなくなる」と。そうだ、子供の
    時、僕は確かに二つの月を見た。あれははたして現実だったのか?

  •  だめだめな主人公が、物心がつく前は二つの月や、空の半分を埋め尽くす月を見た事を思い出す。
     「物心がつくと世界は一つしか見えなくなる」という鬼の顔をした老婆「よもつしこめ」は実在するのか、本当に平行世界は実在するのか、、
     主人公のだめだめさが酷過ぎて共感できるところが少なく、残念だった。
     平行世界(パラレルワールド)の表現はさすが小林泰三というところが見られたのが救いだった。

  • 小林泰三にしては、パワー不足が否めない

  • まあ、あんまり面白くはなかったかな。何かしら実体験っぽさがあるけど、小林泰三は電器メーカー勤務だから当てはまらんね。今から読むのなら、これと書きおろしの収録されてる忌憶を買った方が良いかと

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