まほろ市の殺人 夏: 幻想都市の四季 (祥伝社文庫 あ 19-1)

著者 :
  • 祥伝社
3.13
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (122ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396330477

感想・レビュー・書評

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  • 久々の我孫子武丸作品。

    古い作品ではあるが122Pの物語には武丸先生らしさが詰まっていました。

    サクッと読めるので、仕事が終わって帰宅してからの一気読み。

    いやぁ、きっちりと仕込まれてましたね。

    主要登場人物は主人公であり新人作家の君村、君村のファンだと言うみずき、双子のさつき、歳の離れた妹つばき、君村の友人小山田の5人ってところ。

    なのに、!!(゜ロ゜ノ)ノ

    いやぁ、参りました。





    説明
    内容(「BOOK」データベースより)
    真幌市に住む新人作家君村義一の許へファンレターが出版社から転送されてきた。送り主の住所も同じ真幌。執筆に行き詰まっていた君村は、四方田みずきとのメールのやり取りで意欲もわき始め、まだ見ぬ彼女に恋をした。一度は彼女に会うことができたものの、彼女との連絡はとぎれ…。そして、思いを募らせる君村がとった行動が、思いがけない事件を呼ぶ!

  • 架空の都市”まほろ市”で起こる殺人
    「春」とはまた違う空気感のある話。 何となく予想がつくのですが、それでも面白く一気に読めます。 彼女の想いが、怖くて哀しい。

  • 安孫子さんの夏パート。彼らしい人物描写がなんだかとても怖かったです。人が人を好きになるってなんだろう…なんてちょっと真剣に考えてしまったりして。ミステリとしては凄くインパクトがあるというわけではないかもしれませんが、作者らしい読み応えのあるものでした。怖くてやるせなく哀しい、登場人物の気持ちを考えながらゆっくり読み返してみたいです。

  • 四人の作家による共作の「幻想都市 まほろ市の殺人」の「我孫子武丸」さん編。うーんなんか読み終えてすごく切ない感じがしました。ただ、その過程でちょっと不思議な家族だなあという気はうすうす感じてはいましたが・・・・。

    内容的にはあまりありえない設定なので詳しくは書きませんが、思惑が思惑を呼んで、結局は誰も幸せにならなかったお話です。特に双子で片方が成長が止まる病気とは実際にあるのでしょうか?そもそも、その設定自体がこの作品の急所なのですから、それが否定されると作品自体がなりたたないので、それは敢えて否定しませんが・・・。

    それにしても、話の筋としてはよくできてると思います。それほどページもないのによくあれだけの話が作れるものだと関心します。我孫子さんの「殺戮にいたる病」も読んでみたいですね。
    次は「麻耶雄嵩」さんの作品です。楽しみです。

  • さらっと読める。推理よりドラマ性重視。個人的には面白かった。

  • ★3.5かな。
    前半でトリック(?)はほぼ分かったが、結末は意外な展開。なるほどね。

  • ミステリとしては荒いけど好きな本です!あっという間に読み終わってしまう短さですが、おおおそうくるか~!と楽しめます。
    私は読み違えましたが、中編の割に伏線が張ってあるので展開を読めるひとは多いはず。ただ少し無理のあるところもあります。
    我孫子武丸は『さよならのためだけに』から入ってしまって興味が一切湧かなかったのですが、この感じなら長編も読みたいです。シリーズは蝦蟇倉市みたいな感じで関連性はなさそうだけれど秋と冬も読もうと思います。

  • 短い小説ながらよく練られたミステリー。
    「まほろ市の殺人」三冊目。
    ここはやはり、残り一冊も読まねば。

  • 本氏は某ゲームソフトのシナリオでファンになったことからいくつか作品を読んだことはあった。ミステリーが本職ではあるが、今作のような恋愛模様を交えた作品は絶品であると感じた。一気に読み上げてしまった。

  • 約120ページとかなり薄い。長編と呼ぶには少なく、中編よりは長いという印象の珍しい長さの作品。

    ファンレターから始まる、顔の見えない相手との淡い恋の物語と、それと全く関係の無さそうなところで起きる殺人事件。両者が複雑に絡み合って一気に謎が氷解するのが面白い。引きこまれ、一気読みしてしまう力のある文章はさすが我孫子さん。

    ハッピーエンドではないが、完全なるバッドエンドとも言いがたい、救いと余韻の残る終わり方が切ない。

  • 架空都市 真幌市。
    この都市で起きた事件を四季毎に四人の作家が描く。
    我孫子 武丸氏 <夏>
    軽くサクサク読めます。
    結末が重い。

  • 架空の都市・真幌市を舞台にしての4作の競作の内のひとつ、夏編です。(ちなみに他は、春:倉知淳、秋:麻耶雄喬、冬:有栖川有栖が書いてます)

    デビュー早々大スランプ中の小説家・君塚義一のもとに、ファンレターが届いた。送り主の女性・四方田みずきと何度かメールのやりとりをしている内に創作意欲と共に好意も湧き上がってきた彼は、本人と実際に会って話がしたいと考える。偶然にもお互い真幌市在住だったため会うことも叶い、ますます彼女に恋愛感情を募らせるのだが、何故かその後みずきからのメールの返信はそっけなくなっていく。
    とうとう彼女と連絡すらとれなくなってしまい、途方にくれた彼は友人に相談をし、いっしょに彼女の家を探すことになるのだが……。

    前半はなかなか事件に行き着かず、少々主人公の鬱さにうんざりする部分はあるんですが(笑)後半でいっきに核心に突っ込んでいってくれます。「わ?わわわっ(汗)」という感じで。(ちなみに推理物ではありません)
    我孫子作品のこの微妙な狂気感覚は結構好きな私です。
    「殺人者」の狂気がその境遇から徐々に出来上がってきたであろうこと、そしてその時の「殺人者」の心情。
    文章にはなっていない部分を想像してしまいますね。
    それにしてもコレ、是非1時間くらいのドラマでみてみたい…。映像でも結構視聴者を騙せると思うんですがね…ダメかなぁ…。問題はキャスティングよね…。特に女優…。

  •  我孫子武丸は引き出しの広い作家で、多様なミステリーを書くがどれも好きである。グロすぎると評判の『殺戮にいたる病』ももちろん好きだ。

     本書もストライクゾーンの作品だった。こういう女性絡みの話もおもしろい。

  • 真幌市シリーズとしては珍しく、コンパクトに巧くまとまった中編という印象。良い意味で裏切られました。

  • 小一時間で読んでしまった。我孫子武丸らしいスマートなプロットで、非常に楽しめた切ない話だった。文章も整然としてるし、安定感がある。ただちょっと雰囲気が古いかな?

  • やられたね。なるほどね。そういうことね。トリックは何となく感付いてたんだけど。そっかー。くそー。悔しい。

  • 「幻想都市の四季」と銘打たれた競作企画の夏を彩るのは、ゲーム「かまいたちの夜」のシナリオで知られる我孫子氏。

    その緻密なシナリオ構成は、本作でも健在。

    たった120ページほどの作品にこれほどまでに詰め込まれているのかと、驚嘆いたします。

    最後の一行を噛みしめてください。

  • 我孫子氏の作品では一番好きです。でも本人はこういうオーソドックスなものを書きたがらないので逆に稀有な作品か(苦笑

  • 自分的には、「あ」っと驚いた感じ。予想してなかった。
    手品のトリックみたいな、こう、死角利用的な印象強し。
    感覚的に、犯人は判ったものの、どうしてそうなるのか、の流れが判らなかったので、最後まで普通に楽しめた。こういの、結構少ない。
    ただ……何と言うか、主人公にとって都合の良い展開ではなかったかな、とは思う。感情的にではなくて、状況的に。
    因みに一番驚いたのは「叶わない想いを抱く相手の為に、己を犠牲にしちゃった」人のことか。いや、犠牲にするつもりはサラサラなかったのだろうが……。
    そしてその人の扱いが、なんとなく杜撰なのが、悲しかった(書き方が、ではなくて、やっぱり状況が)。

    短いが、短いが故にこの感覚なのだろうな。
    そう思えた話。

    因みに、これってコラボ作品なのだろうか?

  • まほろ市の競作4冊を続けて読みましたが、この話が一番好きです。みずきの心情を思うと切ないです。エピローグも印象的でした。

  • 借本。
    著者の本はこれがはじめて。
    割とサクッと読めたし、面白かった。

  • 『まほろ市の殺人』シリーズの二作目。夏。
    まほろ市シリーズとは、「真幌市という架空の都市を舞台にする」という縛りで行われた競作もののこと。
    春が倉知淳、夏が我孫子武丸、秋が麻耶雄嵩、冬が有栖川有栖というそうそうたるラインナップ。
    一作一作は中編なので短く、二時間もかからず読了できる。ちなみに2009年くらいには、四作を一冊にまとめたものがNONノベルから出ている。

    シリーズものらしく、各作品の様々な箇所でリンクが見られ、全て読むと面白い。
    本当は春から順に読みたかったのだが、どうしても見つからなかったため、仕方なく夏から手を出してみた。どこから読んでもいいということだったし。


    さて、内容だが、作家の主人公にファンレターが届く、というところから始まる。じわじわと奇妙さを出してくるところは、ホラーも手掛ける我孫子の腕が光るところ。
    事件が起こり、いよいよおかしい、となってからのあのラスト。
    短い尺ながら、人間心理もよく描けているように感じた。

  • 幻想都市の四季シリーズの1冊「夏」です。
    まほろ市に住む新人作家君村義一のもとへ、1ヶ月遅れで転送されてきたファンレター。
    送り主の四方田みずきとのメールのやり取りが始まり、いつしか恋心を抱く。
    一度会ったあと、なぜか連絡が取れなくなり、友人とともに彼女の家を探しだし会いに行った後、二人の交際は順調に進んでいるように見えた。
    ところがその友人が……。

    いろいろな人の思いが絡み合い、悲劇に発展してしまった。
    誰もそんなことは望んでいなかったのに。
    恐ろしさ、切なさ、なんとかならなかったのだろうかという思い、そんないろんな感情がわきおこってきました。
    途中からなんとなく先が見えてきますが、それでも先を読まずにはいられず、何かにひきつけられるような気がしました。

  • まほろ市4冊の一編。まとめて発売当初に購入、読了。

  • 微妙な線だなあと。
    割と好きだったんだけど、推理小説として読むにはちょっと物足りず、普通の小説(まあ、恋愛小説になるのかな)として読むのにもちょっと深みが足りない感じがする。
    中編という難しい、ある意味中途半端な長さのせいと言えないこともないけど。どちらかに比重を置いたら(普通の小説側希望)もうちょっと安定したかもしれないな、と思うのです。勿体ない。

    初め、名前が似通っているという時点で多重人格の話かと思ったんだけど、姉と妹が出てきたというところで、これは違う、誤認の話だな、と思った。誰がみずきなのかは予想がついたけど、
    ↓ネタバレ

    さすがに嘘をついてないとは思わなかったなあ。


    それにしても、すべてをみずきに語らせてしまうところ(小山田やさつきの気持ち)はちょっと強引かなあと思う。中編だから仕方ないのか。
    エピローグがどうも蛇足的だと読み進めたときは思ったけど、最後の一文が良かったのであれはよし。

    我孫子武丸ってこういうのも書くんだねー。意外。

  • 「春」の雰囲気からは思いっきりかけ離れた(いや、作者違うから当たり前なんだけどね)、恐ろしくて哀しい物語。殺人事件はあまりメインじゃない気がするけど、まあいいか。

  • 2003年2月読了

  • 真幌市に住む新人作家にファンレターが届く。
    送り主は同じく真幌市に住む若い女性。
    新人作家は興味を持ち,連絡を取り合うようになるが,
    彼女との連絡は突如とぎれてしまう。
    彼女を思うあまり彼がとった行動が思いがけない事件に…。
    短編ほどの厚さしかないが,短編のような完成度はない。
    叙述トリック的だが,驚きもあまりない。
    この出版社の文庫はいつも内容が軽すぎる気がするが,
    まあ価格も軽いからバランスは取れていると言える。
    架空の街・真幌市を舞台に4人の作家が連作で,
    四季を書いているものの1冊のようである。
    著者が好きなので読んでみたが,
    他の季節まで読むほどにはひかれなかった…。

  • (図書館本)

  • ミステリー中編。

    スランプに陥っている若手作家の主人公。そんなある日、19歳の女の子からファンレターが届く。順調に手紙、メール交換が進み、二人は会うことに。話が弾んだ二人。今後もまた会おうとメールする主人公。しかし、彼女からの返信がぷっつりと途絶えた。彼女に一体何が?

    中編なのになか×2よくできてた♪最後に、「あぁ〜そういうことか!!」って、謎が解けた後の充実感がかなりあった。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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