観覧車 (祥伝社文庫 し 10-7)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396332266

感想・レビュー・書評

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  • 結局わからなかったね、ダンナがなぜ失踪したのか。でも感じとしては、近くでうろうろしてる。そう思ってるあたりが半分妄想を感じさせて、その気持ちがなぜか、依頼された事件を調査中に、私もそうだよねという風に思ってゆくあたりがなんなんだこれはと思わせてくれる。

  • 目次
    ・観覧車
    ・約束のかけら
    ・送り火の告発
    ・そこにいた理由
    ・砂の夢
    ・遠い陸地
    ・終章、そして序章

    柴田よしきの、プロ作家としての初めての作品ということもあって、ちょっとまだこなれてない部分もあるけれど、面白く読んだ。
    結婚して一年で失踪した夫が遺した探偵事務所を、彼の帰る場所を守るために引き継ぐ唯が主人公。
    いくつかの事件は、唯が夫を探すための手掛かりにもなる。

    ちょっとネタバレになるので詳しくは書きませんが、単身赴任のお父さんのために娘が作った手作りチョコを送るという妻に、「帰って食べるから送らなくていい」という夫。
    これはひどい。
    夫の本心は、もう食べることができないから送らなくていいということだったんだろうけれど、却って食べると言われた家族は、彼の帰りをずっと待っていたはずだ。
    そこに思い至れないほど追いつめられていた、ということも言えるけど。

    それに対して唯は、”男は、嘘をつくのだ。決してついてはならない、嘘を”と憤るのだけど、解説の新井素子が、恋愛経験値が低いけど…といいつつ別の見解を述べる。
    ”男って、決してついてはならない嘘をつく生き物なのと同時に、”約束”と”希望的観測”の区別のつかない、単なる莫迦なんじゃないのか?”

    ああ、なるほど、確かにね。
    私も何度か起ったわ。
    ぬか喜びさせるな!って。

    だけど唯の夫は10年も失踪しているのだよ。
    目撃されたこともあるから、生きていると思われる。
    なら、なんらかのアクションを妻にしてしかるべきなんじゃないの?
    死亡届けを出すのもご勝手にってのはもう、妻に対して無責任以外の何物でもない。

    もちろん夫には夫の事情もあるだろう。
    だけど、あまりにも自分の事情しか考えてないと思うのだ。
    唯の夫も、約束と希望的観測の中で揺れたかもしれないけれど、ひとりの人間の人生を束縛するには、10年はあまりに重いと思うんだよね。

  • 失踪した夫、待たないわ。
    スパッと諦める。何か理由があるのだろうから、それを言わずしていなくなったということは探すなということだよね。
    そんな思いがあるから、他人の問題にじっくり向き合えるのかも。

  • 切ないミステリ

  • 結婚して一年、夫が姿を消した。その帰りを信じて、

    探偵だった夫の後を継いだ下澤唯。夫を待つ唯が遭遇する、

    さまざまな男女の切ない恋愛模様。



    愛しい人が突然、目の前からいなくなっとしたら…。

    ただただ、待ち続けるだろうか。それとも、
    いい加減のところで諦め、人生を切り替えて
    生きていくのだろうか。

    唯は待つことを選んだ。
    それは、今でも彼を愛しているから。

    夫の居場所を守るように、探偵という仕事を継いだ。
    そうして、いつのまにか、十年が過ぎようとしている。

    傷、悲しみ…、ハードボイルドの要素が詰まった作品だ。

    ぶきっちょな男女が巻き起こす出来事。

    その中を、唯は彼らの影響を受けながら進んでいく。

    表題作の「観覧車」ほか、6編の男女に絡む物語。


    桜と死体の取り合わせは、昔から小説の題材として
    見かける。

    その中でも、「観覧車」の美しさは心に迫った。

    この取り合わせがすぐさま、心に美しい映像として
    鮮やかに浮かび上がる。

    その美しさは、もろく、はかなく、幻影のようだ。

    蓋を開ければ、男と女のどろどろとした感情のもつれや
    醜さが事実として隠されているのだが、
    登場人物たちが交わす京ことばとあいまって、
    柔らかい恋物語に仕上がっている。


    夫の行方と、失踪の訳は、
    続編「回転木馬」へと引き継がれる。

  • 現実離れすぎる

  • で、そこは解決しないんか―い!と取りあえず初見でなる。

  • 私立探偵だった夫【貴之】が急に妻【唯】の元を去り失踪してしまう。

    唯は探偵事務所を継いで、探偵の仕事をしながら夫の帰りを待つ…

    依頼を受けて、探偵としての仕事をこなしていく唯。いくつかの依頼があって、少しずつ探偵として事務所をなんとか守ろうとしていく。

    ミステリーとしては弱いけれど。
    秘密を暴いていくような職業故、人間の心理や闇みたいなのも描かれていてなかなか深いなと思いました。

    今作ではなぜ夫が失踪したのか、わからず。

  • 柴田さんのおばんざいシリーズが好きなので他のテイストのものも読んでみたいなぁと思い手に取るも、う〜ん。しっくり来なかったなぁ。本書で完結するとばかり思っていたので、旦那の失踪の理由が明らかにされないなんて…って。表題作の、女性が観覧車に2ヶ月近く毎日乗る理由を知った時は驚愕だった。鳥肌モノ。…に比べて物語の大きな核となる旦那失踪については薄味と言うかなんと言うか…。続編出てるみたいだし失踪の理由は知りたいからたぶん読むけど、もう少し楽しみたかったなぁと言うが本音。

  • 続編(回転木馬)を先に読んでいました。
    切ないけれど、優しいほう(ばんざいやシリーズなど)の柴田さんらしさのあるお話でした。

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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