陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫 い 14-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396332686

作品紹介・あらすじ

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 今自分が一番はまっている作家、伊坂幸太郎さんのデビュー3作目の作品。
    約20年前の作品でギャングシリーズの1作品名。

    エンターテイメント全開の作品。
    伊坂さんの作品らしく登場人物がまた個性豊かで素晴らしい。
    ギャング=銀行強盗?という疑問はさておき、テンポのよい知的な会話が飛び交う伊坂節がお見事で、物語がカジュアルでスマートに写る。
    さらりと流れる様に書かれた描写が後々の伏線となっており、最終的にピタリピタリと絶妙で否応もないタイミングで回収されて行く感じがとても心地よすぎる。

    物語の奥深さは他の伊坂さんの作品と比べればそこまでな感じがしたが、突飛な物語の中に知的な心理を愉快に切り広げてくる辺りは唯一無二の作家さんだろうと思う。
    ただ今作品ではだいぶ荒い無茶振りのエンターテイメントさが目立った気がしたが、それも一趣、次作に期待。

  •  ギャングシリーズ第1作で、殺し屋シリーズが始まる前年、ちょうど20年前の作品です。
     主役は4人の銀行強盗団、ギャングです。でも「陽気な」って付く通り、一風変わった能力をもつ4人でした。伊坂さん、強盗好きですね。彼らは、「なるべく人を傷つけない」主義のもと、鮮やかに颯爽と連携して強盗をします。そのキャラクター・手口がとても魅力的です。

     暴力的犯罪活動もなく、金銭的利益を得ようとはしますが、反社会的集団、強固な組織や闘争性といった印象がほぼ感じられません。そのダサかっこよさの同居が伊坂流ギャングなんですね。
     これに、ユーモアがあって軽快な会話の妙、スリルとスピード感ある先が読めない展開、次々と新たな事件に巻き込まれながら、伏線が見事に回収されていく爽快感など、伊坂ワールドの源流を感じさせてくれます。
     
     ハイセンス伊坂節の一例は「割り算」の話。ゼロで割られない理由を、「ギャングの分け前計算に使うから、盗んだ金を誰も手に入れられないと、世の中が狂ってしまう」という理屈に脱帽!
     他にも過去の偉人の名言に、ギャングたちの名言が沢山重なり、とっても良い味を出しています。
     また楽しい読書ができました。

  • R4.2.16 読了。

     最後は見事に騙されてしまった。なのに爽やかな風が心地良い。ところどころに伏線は張られていたのに…。
     これぞ、伊坂ワールドって感じでした。
     また、いじめについてライオンの例えや自然界の弱肉強食の例えで説明しているところは、言い得て妙だと思う。
     それと自閉症のとこもとても分かりやすかったし、伊坂さんの優しさに触れさせてもらった感じがして、とても良かった。
     続編も読みたい。

    ・「他人に相談したり、弱音を吐いたりするのにも、コツがいるのだ。」

  • 図書館が休館してしまい、新しい本を買ってばかりもいられないので、この機会に、もう一度読みたかった本を再読したり、積読本の整理をしようと思いました。

    この作品は再読です。
    発売と同時に買った本は、私にとって貴重な伊坂さんのお名前と私の名前も入ったサイン本だったのですが、弟に貸したら返ってこなくなり、最近、また購入しました。

    おそらく初版のときにはなかった新たな解説がついていたのは得をしました。

    ストーリーは、嘘発見器の成瀬、演説名人の響野、体内時計をもつ雪子、天才スリの久遠の4人組が銀行強盗を働く、おなじみの(?)ストーリーです。
    この強盗たちは、基本的に、相手を傷つけないという考えを持っています。

    二転三転するストーリーは、一度読んだだけなので、すっかりオチも忘れていて、楽しめました。

    軽妙洒脱で、トボけたセリフ回し、飄々としたテンポで調子よく進んでいきます。
    伊坂さんの個性がギュッと詰まった佳作だと思います。
    ここから、伊坂作品はみんな始まったのですね。
    (デビュー作は『オーデュポンの祈り』ですが)

    響野の「ロマンはどこだ」のセリフには、懐かしさにしびれました。

  • 「、」の使い方がオシャレすぎる。
    この作品で伊坂さんの本に出会いました。 

    強盗4人の癖強い会話が非日常的なのに
    リアリティがあるところが面白い。

    最後にはどうなるかとヒヤヒヤしたけれど
    大どんでん返しがあって
    やられたなと思った。

    キャラクターでは演説の達人の響野が好きかな。
    響野は私の中で肩幅が広く、ゴツいイメージがある。
    そして、少し肌黒いのではないだろうか。

  • 親戚が引っ越すからと譲ってくれた本の一部。ギャングかぁ、絵も少し怖いなぁと気が乗らずに読み始めたのですが、あっという間にハマりました。

    ギャングと言っても、人をむやみやたらに傷つけないところに安心。一人一人のキャラクターも魅力的です。きっと大丈夫なのだろうと思いつつ、ハラハラしながら読み進めました。

    章が変わる度に辞書のような語句の説明があり、後半の作者オリジナルの例文にクスッと笑ってしまいました。
    伊坂幸太郎ワールド、おもしろいですね。

  • いやぁぁぁ
    非常に面白かったです。途中まで予想も当たりましたが「そうきたか!!」って感じでした
    気軽に読めるのに、内容はシッカリしてました♪
    ヽ(´▽`)/

  • 年度の変わり目。一年で1番忙しい時期。山盛りのお仕事をきっちり片付けた自分へのご褒美!ずっと封印していた、伊坂作品!

    乗り切ったら絶対に読もうと、2月から本棚に準備していた!
    ふひひ、うれしー‼︎

    特殊能力を持った、四人組の銀行強盗犯(ギャング)のお話。
    4000万円の銀行強盗を企てるところから話は展開されていく。とったりとられたり、騙されたり騙し返したり、きっと銀行強盗の話は世の中に沢山あると思うけれど、こんなにオシャレで笑って応援したくなるギャングは伊坂ワールドだから。

    1人1人のキャラクターがなんとも魅力的。
    ギャングの作法や日常生活をギャング目線で感じ発する言葉や、会話が、とってもお洒落。

    あと、大小様々な伏線がはられていて、そこがパッと分かると気持ちいい。

    あぁ、伊坂ワールド、楽しい♫

    有隣堂書店で、伊坂幸太郎20周年記念スペシャルカバーの文庫版を購入したのですが…

    1番下に今までの黄色にギャングが地球を持つカバーが、その上には人気イラストレーターが手掛けた新しいお洒落なカバーが、そして更にその上には、有隣堂書店の色を選べる『本は心の旅路』と印刷された素敵なカバーまでついて、カバーだけで三重にもなっていて…、なんて贅沢‼︎ 大切にします!

    • りょうさん
      こんにちは松子さん。
      フォロー&レビューのコメントありがとうございます。
      本を読むだけで満足でしたが、このように好きな本を通して人と繋がれる...
      こんにちは松子さん。
      フォロー&レビューのコメントありがとうございます。
      本を読むだけで満足でしたが、このように好きな本を通して人と繋がれる事を知ってまたひとつ楽しみが増えました。
      よろしくお願いしますm(_ _)m
      2022/04/11
    • 松子さん
      りょうさん、お返事ありがとうございます(^^)
      『好きな本を通して人と繋がれる』って素敵ですよね♫ 私も楽しいです!

      フォローしあえて嬉し...
      りょうさん、お返事ありがとうございます(^^)
      『好きな本を通して人と繋がれる』って素敵ですよね♫ 私も楽しいです!

      フォローしあえて嬉しいです…と言っておきながら、コメント書いた後フォローし忘れてました(>_<)ごめんなさーい!
      先程、ちゃんとフォローしました。
      こんなドジな私ですが、どうぞお願いします(^^)
      2022/04/11
  • 地球を回すほど、えらい事はしてないけど、個性あるギャング4名は魅力的!
    会話は相変わらず、軽快なテンポで好きな感じ。まぁ、あ〜言えば、こう言う…「軽快かテンポ=屁理屈多い」やけど。
    4章立てで、更に個人単位に分かれて、はじめに用語解説まであるって書き方も面白い。
    その4名が銀行強盗成功!って思ったのも束の間…
    で、盗ったお金は、御同業に取られるし、ロクな事なし。
    そこから、最後までテンポ良く進み、一気に読めた!
    重た〜いのも好きだけど、こういう軽いのも良いな!
    最後に用語解説気に入ったのがあったので書いとく!

    さつじん【殺人】
     人を殺すこと。読者の興味を失わせない、唐突に発生する事象。
    -じけん【殺人事件】
     小説が推理小説であるのことを分かりやすく広告するために、題名に付けられる接尾語。「後光-」

    …笑ける(*≧∀≦*)

  • これは面白い!今更ながらに手に取った…もっと早く出会いたかったくらいオススメ!

    4人の強盗どのキャラも素敵で、作中もドキドキが止まらないのにクスッと笑えたりして最高!

    2、3も読んでみたい!

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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