FINE DAYS (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 3444
感想 : 406
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396332976

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジーっぽいのが多めの短編集。
    恋愛小説なんだけど、それよりもファンタジーっぽさとか、心地よい感じが強めの一冊。

    お気に入りは
    【イエスタデイズ】
    癌に侵された父に頼まれ、父が三十五年前に別れた元恋人を探す。
    手がかりは当時の父が書いた彼女の画。
    "僕"が当時一緒に住んでいたアパートへ向かうと、そこにいたのは若かりし頃の父と画と同じ女性で―

    もうまさにファンタジー。
    有り得ないはずなのに、有り得ちゃいそうな不思議な世界。
    切ないのに、なんだかふんわり包まれたような感じになる。

    【シェード】
    クリスマスの夜、前から彼女にプレゼントしようと思っていたランプシェードを買いにアンティークショップに行く"僕"
    しかし、ランプシェードは売り切れ。
    ひょんなことから、店主の老婆の昔話を聞くことになる"僕"―

    この1冊の中で1番好きかもしれない。
    こちらも切ないけど、気持ちが温かくなる話。
    この"シェード"から気に入ったフレーズ
    [光がなければ、闇もまた存在しません。
    けれど、一度、光を生み出せば、闇もやはりそこに生まれます。たった一つの光から無限の闇が生まれるのです。]
    [その闇の深さに怯える前に、それを照らす光に目を向けるべき─]
    [闇から生まれる闇などない─]
    [自分の中の闇に挑む─]
    [自分の中の闇に挑む─そこに光がまだあるのなら。─闇から光を守るにはそれしかない]


    久しぶりに読んだけど、やっぱり本多孝好さんの作品は不思議な感じで好き。
    短編集とはいえ、1話1話読み応えがあってオススメ

  • 「FINE DAYS」
    美貌の転校生にはおっかない噂があった。その美貌に魅せられてつきまとったり、彼女に嫌な思いをさせた者にはたたりがあると・・・
    その噂は校内最強女子の安井までも巻き込む騒動になって・・・

    「イエスタデイズ」
    死の床にある父からの頼まれごと・・・それは35年前に別れた元恋人とその子供を捜してほしい、というものだった。訪れた住所にあったおんぼろアパート。そのドアの向こうにはどこか見覚えのある男性と奇麗な女性がいて・・・・

    「眠りのための暖かな場所」
    異様なまでに来客を拒む結城と、異様なまでに星を怖がる私。果敢な挑戦者 明美。明美の事故をきっかけに、大学に来なくなった結城を気にかける私だったが・・・罪の意識と恐怖。。。

    「シェード」
    古道具屋で見つけたランプシェード。そのシェードには愛する女性を闇から守ろうとした男性の物語が込められていた・・・。
    ちょっと「賢者の贈り物」と「赤い蝋燭と人魚」を連想した。

    確かに恋愛短編集、ではあるが甘いよりは苦み寄り。
    特に「FINE DAYS」冒頭の軽さからはこんな展開になるなんて思いもよらず・・・

  • 短編4つから構成されているけど、どうなんだろ?はまりそうではまらず。盛り上がりそうで、盛り上がらず。読みやすいけど。といった感じ。個人的には、イエスタデイズが一番いいかな。MOMENTが個人的にヒットして本多作品を読みましたが、その後はヒットせずですなぁ。

    MOMENT>MISSING>FINE DAYS>正義のミカタです。

  • 表題作『FINE DAYS』を含む、四作品収録の短編集。ちょっと不思議で切ない恋愛小説です。

    ホラー要素の加わっている話では、ゾクッとするような感覚も味わえて面白い。

    全体的にどれも読後感は悪くないし、短編集ではなく長編で読みたいとすら思わせてくれます。

    ただ、純粋に恋愛小説として読むと多少残念な感じがしてしまうかも。

    事前にSF要素やホラー要素があると知って読めば、その独特な世界観を十分に楽しめると思います♪

    何より素晴らしいのは登場人物の科白。素敵な科白ばかりで、印象に残りやすいと思います。

    胸にグサッと突き刺さるような、それでいて優しい温もりを感じるような……不思議だなぁ。

    小説が苦手な人にも、是非オススメしたい作品です☆

  • 恋愛小説の短編集。感想は・・・特にないかなぁ。やっぱり短編集って苦手なんだろうな、私。

  • まったく本を読まない男子だった弟が、
    「大学までの通学が暇だ」
    という理由から本を読み出した。

    弟の部屋の本棚から見つけましたシリーズ
    第1弾がこれ。

    4つの作品からなる短編集。

    読みながら、
    まぁまぁおもしろいかなって評価だったのですが。


    最後の作品『シェード』が
    かなりよかった。

    自分の今の恋愛状況で、
    見つめなおすことがあったというか。

    示唆されることがあった。


    本から何かを得られる体験は、
    すばらしいことだなぁ。

  • 人間らしさというか、心の中を理解しているなぁと感心させられました。
    本多孝好さんはすごい。

  • だから、もっと確かなものが欲しくなる。将来の可能性でも、頭の中にでもなく、今、ここに。

  • 最後に入っている「シェード」という短編が好きだ。
    届かないものへの憧れと、挫折。どうやっても変えることのできない過去、自分のものではない過去を想い、悩みながら、それでも今を生きていくのだと強い決意を持つこと。使われている比喩的に言えば、自分の闇に呑み込まれないために、自分の力で火を灯し、それを守っていくこと。
    こうありたい、と思う。こんなふうに生きていきたい。それが、御伽噺のような幻想的な語りを交えて書かれている。ずっと昔に読んだけれど、そのときの印象や衝撃が変わったことは、今にいたってもない。ずっと手放さずに手元に置きたい物語。

    ほかに収録されているものもそれぞれに面白い。

  • 読み始めて、この空気感は何だろう、と思った。
    澄んでいる、と言おうか。


    『FINE DAYS』 本多孝好 (祥伝社文庫)


    これは“感性”で読む小説だ。
    美しい言葉を尽くして語っているわけでもなく、むしろ淡々とした語り口なのに、風景がしんと胸に沁む。
    夕暮れの教室、爽やかな風が吹く屋上、古いアパートの一室、星降る夜のグラウンド。

    ミステリー作家である著者の初の恋愛小説集である。
    が、恋愛色はかなり薄い。
    ファンタジーやオカルトの要素も入っていて、「世にも奇妙な物語」みたいな感じ。

    表題作「FINE DAYS」は、彼女と関わった者は飛び降り自殺をするという噂のある、奇妙な転校生の話。

    私は、高校生はもう子供ではなく“こっち側の人間”だと思っているので、彼らの行動が妙にリアルに感じられた。
    目を覆いたくなるほど殺伐とした状況の中で、苦しまないように感情をコントロールし、うわべだけで生きようとしている彼らが痛々しい。
    そのまま大人になった彼らが幸せだとは、どうしても思えなかった。

    「イエスタデイズ」は、癌で余命いくばくもない父親に頼まれ、35年前に別れた父の昔の恋人を探す息子の話。

    探し当てたアパートのドアを開けると、そこには若き日の父と恋人がいた。
    というタイムスリップもの。
    「ドラえもん」でもそうだが、歴史は変えちゃいけない。
    そう、だから読んでいて何か歯痒かった。
    主人公である「僕」が何か行動を起こせば、そこに必ず矛盾が生まれる。
    だから彼は何もできなかった。

    でも出来れば少しだけでも、運命に支障が出ない程度にでいいから何か引っかかりというか冒険が欲しかったな。
    せめて病床の父が「山崎」のことを覚えていたりしたら…。

    「眠りのための暖かな場所」は、この中でいちばん恋愛小説っぽい。
    けれどもいちばん怖い。

    主人公の「私」は大学院生である。

    「私の妹は九つで死んだ。私が、殺した」

    と、彼女は言う。
    空へ昇って星になった妹に、十二年間彼女は怯え続けた。
    何か楽しいことをしたり嬉しいことがあったりすると、空から妹の声が聞こえる。

    「お姉ちゃん、楽しい?」

    うわ、こわ!

    そして「私」と同じゼミの二年生「結城ツトム」。
    彼もまた、異常な能力を持つ「姉」に怯えて暮らしていた。
    「姉」に悪意を向けられた人間は、必ず事故や不幸な目に遭う。
    彼らの両親もそうやって死んだ。
    「私」と「結城」は、心に同じ闇を持つがゆえに惹かれあうが…。

    「姉」の新たなターゲットになってしまった「私」。
    どうなってしまうの…?
    結城のお姉ちゃんに殺されてしまうの…?
    この二人には幸せになってほしいなぁ。

    最後の「シェード」は、すごくファンタジー。
    よく考えると、ちゃんとハッピーエンドってこの「シェード」だけなんですよね。

    古びたアンティークショップで老婆が聞かせてくれた“ランプシェード”にまつわる昔話。

    老婆の住むこの場所じたいが異次元の世界のようで、作者の仕掛けた魔法になんなくかかってしまう自分は、心のどこかでこんな場所を求めているのかもしれない。

    裸電球の明かり。
    ストーブの火でほどよく暖まった店内で、老婆がアルコールランプに火をつけ、フラスコで紅茶のための湯を沸かす。
    紅茶を待つ間さらさらと砂を落とす砂時計。眠りを誘う柔らかな香の匂い。時を刻まない振り子時計。置物のような猫。

    老婆が語る「ランプシェードを作ったガラス職人」の話は、いつしか主人公である「僕」の今とシンクロしていく。
    老婆の最後の言葉、「ほんのささやかな、アフターサービス」が、違う意味で鳥肌モンだった。

    落ち着いた、独特な世界観を持っている作家さん。
    この雰囲気私は結構好きです。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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