FINE DAYS (祥伝社文庫 ほ 2-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396332976

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジーっぽいのが多めの短編集。
    恋愛小説なんだけど、それよりもファンタジーっぽさとか、心地よい感じが強めの一冊。

    お気に入りは
    【イエスタデイズ】
    癌に侵された父に頼まれ、父が三十五年前に別れた元恋人を探す。
    手がかりは当時の父が書いた彼女の画。
    "僕"が当時一緒に住んでいたアパートへ向かうと、そこにいたのは若かりし頃の父と画と同じ女性で―

    もうまさにファンタジー。
    有り得ないはずなのに、有り得ちゃいそうな不思議な世界。
    切ないのに、なんだかふんわり包まれたような感じになる。

    【シェード】
    クリスマスの夜、前から彼女にプレゼントしようと思っていたランプシェードを買いにアンティークショップに行く"僕"
    しかし、ランプシェードは売り切れ。
    ひょんなことから、店主の老婆の昔話を聞くことになる"僕"―

    この1冊の中で1番好きかもしれない。
    こちらも切ないけど、気持ちが温かくなる話。
    この"シェード"から気に入ったフレーズ
    [光がなければ、闇もまた存在しません。
    けれど、一度、光を生み出せば、闇もやはりそこに生まれます。たった一つの光から無限の闇が生まれるのです。]
    [その闇の深さに怯える前に、それを照らす光に目を向けるべき─]
    [闇から生まれる闇などない─]
    [自分の中の闇に挑む─]
    [自分の中の闇に挑む─そこに光がまだあるのなら。─闇から光を守るにはそれしかない]


    久しぶりに読んだけど、やっぱり本多孝好さんの作品は不思議な感じで好き。
    短編集とはいえ、1話1話読み応えがあってオススメ

  • 「FINE DAYS」
    美貌の転校生にはおっかない噂があった。その美貌に魅せられてつきまとったり、彼女に嫌な思いをさせた者にはたたりがあると・・・
    その噂は校内最強女子の安井までも巻き込む騒動になって・・・

    「イエスタデイズ」
    死の床にある父からの頼まれごと・・・それは35年前に別れた元恋人とその子供を捜してほしい、というものだった。訪れた住所にあったおんぼろアパート。そのドアの向こうにはどこか見覚えのある男性と奇麗な女性がいて・・・・

    「眠りのための暖かな場所」
    異様なまでに来客を拒む結城と、異様なまでに星を怖がる私。果敢な挑戦者 明美。明美の事故をきっかけに、大学に来なくなった結城を気にかける私だったが・・・罪の意識と恐怖。。。

    「シェード」
    古道具屋で見つけたランプシェード。そのシェードには愛する女性を闇から守ろうとした男性の物語が込められていた・・・。
    ちょっと「賢者の贈り物」と「赤い蝋燭と人魚」を連想した。

    確かに恋愛短編集、ではあるが甘いよりは苦み寄り。
    特に「FINE DAYS」冒頭の軽さからはこんな展開になるなんて思いもよらず・・・

  • 短編4つから構成されているけど、どうなんだろ?はまりそうではまらず。盛り上がりそうで、盛り上がらず。読みやすいけど。といった感じ。個人的には、イエスタデイズが一番いいかな。MOMENTが個人的にヒットして本多作品を読みましたが、その後はヒットせずですなぁ。

    MOMENT>MISSING>FINE DAYS>正義のミカタです。

  • 表題作『FINE DAYS』を含む、四作品収録の短編集。ちょっと不思議で切ない恋愛小説です。

    ホラー要素の加わっている話では、ゾクッとするような感覚も味わえて面白い。

    全体的にどれも読後感は悪くないし、短編集ではなく長編で読みたいとすら思わせてくれます。

    ただ、純粋に恋愛小説として読むと多少残念な感じがしてしまうかも。

    事前にSF要素やホラー要素があると知って読めば、その独特な世界観を十分に楽しめると思います♪

    何より素晴らしいのは登場人物の科白。素敵な科白ばかりで、印象に残りやすいと思います。

    胸にグサッと突き刺さるような、それでいて優しい温もりを感じるような……不思議だなぁ。

    小説が苦手な人にも、是非オススメしたい作品です☆

  • 恋愛小説の短編集。感想は・・・特にないかなぁ。やっぱり短編集って苦手なんだろうな、私。

  • まったく本を読まない男子だった弟が、
    「大学までの通学が暇だ」
    という理由から本を読み出した。

    弟の部屋の本棚から見つけましたシリーズ
    第1弾がこれ。

    4つの作品からなる短編集。

    読みながら、
    まぁまぁおもしろいかなって評価だったのですが。


    最後の作品『シェード』が
    かなりよかった。

    自分の今の恋愛状況で、
    見つめなおすことがあったというか。

    示唆されることがあった。


    本から何かを得られる体験は、
    すばらしいことだなぁ。

  • 人間らしさというか、心の中を理解しているなぁと感心させられました。
    本多孝好さんはすごい。

  • だから、もっと確かなものが欲しくなる。将来の可能性でも、頭の中にでもなく、今、ここに。

  • こういう短編ものが実にうまい・・・。
    サスペンスタッチもあり単なる恋愛ものとは違ってます。
    なんだかいつも最後にホロリとさせるんだなーw

  • 最後に入っている「シェード」という短編が好きだ。
    届かないものへの憧れと、挫折。どうやっても変えることのできない過去、自分のものではない過去を想い、悩みながら、それでも今を生きていくのだと強い決意を持つこと。使われている比喩的に言えば、自分の闇に呑み込まれないために、自分の力で火を灯し、それを守っていくこと。
    こうありたい、と思う。こんなふうに生きていきたい。それが、御伽噺のような幻想的な語りを交えて書かれている。ずっと昔に読んだけれど、そのときの印象や衝撃が変わったことは、今にいたってもない。ずっと手放さずに手元に置きたい物語。

    ほかに収録されているものもそれぞれに面白い。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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