モルヒネ (祥伝社文庫)

著者 : 安達千夏
  • 祥伝社 (2006年7月1日発売)
2.79
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  • 277レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396332983

モルヒネ (祥伝社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「思い出は、閃光のように突然に意識を貫き駆けまわるけれど、私を傷つけはしない。記憶は安全だ。過ぎた時間は戻らない。命を落とした姉が、二度と死ぬことはない。 」

    母の死。姉の死。かつて愛した男の死。
    どうして私の好きな人はみんな先に死んでしまうんだろうというやり切れなさ。私も味わったことがある。死という避けられない課題をすがるように夢見るように追い続ける主人公が、運命的に死へと歩み続ける元彼の姿に、その恐怖や失っていくものを見せつけられ、生きているということはそれだけで手放さなくて良い可能性を秘めていることに気づかされていく大人の成長記。
    綴られている言葉の全てが突き刺さって、涙があふれてしまいそうだった。
    家族が死ぬって、どう乗り越えればいいのだろうか。
    それが自分で解決できるまで、乗り越えられる自信がつくまで、家族には死ぬのを待っていて欲しいなとも思った。

  • よくある「恋人が余命○ヶ月」というのを期待していると違う(amazonで低評価を付けている人はそうなのかな)
    島田雅彦の解説も、その辺を捉えていて、もしかしてそれを説明するための「解説」なのでしょうか。
    人間すれ違ってばかりだし、近しい人がなくなっても次第に記憶から外れていって、本人は本人の人生を生きていく。
    最後に思い出す一言は、恋人でもなく近親者でもないひとりの言葉。このひとが一番、主人公と本音で話せていたりする。

  • 誰かに公然と説明できたり胸を張れる気持ちでも状況でもないのだと思う。けれど純粋と思う。人の命を止めも引き延ばしもするモルヒネが抽象するものについて考える。やるせないラスト、でも個人的に終わり方がとても好きなのです。心にずっととどまっているお話。

  • 無音がよく似合う。
    この本を読んだ人はちょっと不思議に思うかもしれないが俺にはこの本を読んでいて常に無音を感じ続けた。それは真紀の心なのかもしれないと感じた。どこか音のない世界にただいるだけのために生きていく真紀。その世界に唯一存在を感じることができたヒデとの間にいろいろな想いが伝わってきた。
    完全に俺の感性だけどなwでも、二人の関係性にちょっと惹かれたりもする。ただそれでも俺は長瀬のようにしかなれないと思う。そんな中で読者としてみるとどこか不思議な魅力があったりして。
    個人的には難しい話だと思うしちょっと読みにくいかも?ただ考えさせられることもがかなりあった。どこか共感できないところもなぜか惹かれたりして。

  • 幼い頃に母親に先告立たれ姉を亡くし、二人の死の要因となった父親とは縁を切りホスピス治療にあたる医院に勤める女性医師の話。死んでゆくこと、死にゆく近しい人を見送ること、尊厳死と安楽死の違いなど、作品全体を通してずっと「死」について語っている。そもそも悲しい生い立ちで後に出会う暖い人たちの心の発する熱で暖を取ってかろうじて生きてきた女性が大人になり死を扱う職につき大切な人を見送ることになり自分を見つめ直し再生してゆく話。全体的に沈んだ雰囲気で読んでいて悲しかったけれど、彼女の周囲の人たちが優しいのと前を向いた感じで完結するので読後感は暗くないです。

  • 何を考えているのかわからない元恋人に振り回される主人公の女性。
    元恋人にイライラするだけでした。
    男性にとっては感情移入しにくい。
    姉が亡くなる導入部分が非常に良かっただけに残念。

  • 筋書きは面白いと思うのに
    ちっとも読み進まなくて
    結末にさえ興味持てなってしまい
    八割くらい読んで終わり

    言い回しが苦手
    肌が合わない感じ

  • 本屋さんのPOPで「うずくまって泣きました」といったことが書いてあったので、以前から気になっていました。

    真紀は在宅医師である。
    婚約者がいて、日々、病で死を待つ患者の元を回っている。

    真紀が医師になった理由は、自由に薬が手に入るからだった。
    真紀の母親は小さい頃、湖に身を投げて自殺していた。
    父親は、姉と真紀に暴言を吐いたり暴力を振るったりしていた。

    「お前達は母親が亡くなった歳である三十二歳までは生きられない」と父親に言われる。
    姉は父親の暴力によって、頭の打ち所を悪くして亡くなっていた。

    真紀は、常に死を考えていた。
    今はやることがあるから、辛うじて生きている。

    真紀には恋人がいたが、七年前に突然、姿を消していた。
    時が流れても、真紀はずっと恋人の姿を探している。

    恋人・ヒデはオランダでピアニストをしていたが、真紀の前に姿を現す。
    ヒデは脳に腫瘍があり、既に手遅れの状態だった。
    オランダの方が医療環境は整っているのに、ヒデは日本に帰国して、手術や延命措置を断っていた。

    当初、ヒデはホスピスにいた。
    ワザと騒ぎを起こしては、真紀の気を引く。
    モルヒネを欲しいとヒデに言われたが、真紀は与えなかった。
    仕舞いには、一緒にオランダへ行こうと言われる。

    当作を読んで、主要人物は皆、勝手だなと思いました。
    真紀にはフィアンセがいるのに、ヒデのところにフラフラと行っちゃうんだもん。
    しかも、「モルヒネを諦める代わりにセックスして欲しい」という取引に応じるし。

    心の整理がつけられなかったのは仕方ないかなと思います。
    ヒデはインパクトのある男性ですし、放っておけないオーラを放っているから。

    いくら余命いくばくもないからって、ヒデはメチャクチャな行動をし過ぎだわ。
    こういう奴だから魅力が感じられたのかな。
    イケメンそうだし。

    フィアンセの長瀬は忙しそうで、真紀と擦れ違っています。
    仕事柄、自分のことは二の次という感じです。
    少しは真紀を気に掛けてやればいいのに。
    ラストで真紀を迎えに行ったことに対しては、よくやったと思いましたが。

    オランダ行きの目的は、現地に残した妻に会う為とヒデは言っています。
    ヒデは真紀を残して姿を消したので、本当のところは分かりません。

    てっきり、二人で心中するのかと思っていました。
    ヒデが真紀を翻弄する理由が分かりませんでした。
    最後まで読んで、もしかしたら真紀を三十二歳で死なせないようにしたかったのかなと勝手に解釈しました。

    今後はヒデのことを思い出しながら、真紀は生き続けそうです。
    ヒデは真紀とセックスをした時、腹下死すれば幸せだったんじゃないかな。

    悪い話ではなかったのですが、ツボが合わなかったのか泣きはしませんでした。

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    ピアノ バッハ レオンハルト

    アムステルダム スキポール空港 コンセルトヘボウ

  • 死ぬために医者になり、死に憧れながらもちゃっかり婚約者までいる状況下で、死にかけの元彼と浮気をし、さらに海外にまで飛んで行ってしまう、意味の分からない女性が主人公の話。

    これほどまでに感情移入出来ない主人公も、相手も珍しかった。

    人生を戯曲か何かと勘違いしてるような言い回しがお互い多く、真意が本当に伝わっているのか不安になるレベル。伝わっていたから、彼らは「恋人」だったのだろうけれど、伝わっていなかったから彼との別れは二度とも「失踪」だったのではないだろうか。

    冒頭の姉の死と、167P~171Pのやりとりはとても良かったが、あとの全てが蛇足に感じる。

    「意識を失ってなきゃ耐えられない状態なんて、もう俺自身であるとは思えない。耐える理由もない。」

    こう切望するヒデの言葉に、ただの医者でも掛けられる程度の言い訳じみた言葉しか返さなかった主人公に失望した。さらに海外に着いていくと言い出したものだから、こっちがついていけなくなった。

    表現方法が独特で、はっとするほど綺麗な言い回しがあり、その点だけに☆+1。

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