- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396332983
感想・レビュー・書評
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読んだのは3度目ですが、やっぱり好きですこの小説。
ただ3度読んでも、恋愛小説といえるほど恋愛が主題になっているとは思えない(笑)
どちらかといえば、尊厳死や安楽死について考えさせられる話だと認識しています。
わたしもあんな風に、毅然とした態度で人を看取ることができればと思うけど、きっと愛する人にはどんな形でも長生きしてほしいと延命措置を望むのだろうなあと毎回考えてしまう。 -
切ないという言葉の意味を理解できた。
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夢中になって連続して読みました。
何と表現していいか…?
胸が苦しくなって、涙が止まりませんでした。
恋愛小説なんて、くくってほしくありません。 -
痺れます。
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だいぶ前に読んだのだけど。
恋愛小説を読んで泣きそうになったのは初めてかもしれない。
主人公の元恋人の男性は末期癌にかかり、余命は三ヶ月。
二人の恋愛に未来はないけれど、終わりに向かって歩む……。
あぁ、そうか。
物語全体に「しめやか」さが漂っているんだ。
この感じ、源氏物語の宇治十帖に似てる。 -
実父の虐待によって、姉を失った過去を持つ真紀。
在宅医療の医者として働く彼女の前に、七年前に突然姿を消した元恋人克秀が現れる。彼がいた場所は、ホスピス。克秀の病はグリーオマ……末期癌であった。
−−−
一見すると不幸を題材にしたお涙頂戴の娯楽小説に思えてしまう。しかし美しい文体と病の緻密な描写、そして主人公の細やかな心の動きがそれを許さない。
『死』というテーマを正面から向き合った小説なのにそれほど重さを感じなかった。登場人物はみんな聡明で魅力的だ。現実に打ちひしがれるのではなく、受け止めるのでもなく、巻き込まれて流されていく真紀。それが一層現実的で、悲しみを深めていると思う。
(以下ネタバレ)
姉の死後、『取り残されてしまった』と感じる真紀は、消極的に死を求めている。この『消極的に』という部分に心を打たれた。
生きることをうち消すために、患者の為にくたくたになるまで働く。日常を少しでも短くして、人生を縮めている。
向き合う必要のない男と婚約し、なぜ自分は生きているのだろうと自問する生活。こんな悲しい自殺があっていいのだろうか。
それに対して元恋人のヒデ(克秀)は、真紀に決して同情しない。それでいて、真紀の全てを受け止め、理解している。そして最期の見送る人間を妻ではなく真紀を選んだ。
恋愛小説のカテゴリに分類したが、正確には恋愛ではないかもしれない。ヒデと真紀の繋がりは、恋愛よりも深い理解者としての方が強い。
パートナーが必ずしも自分を一番理解してくれているとは限らない。自分が死ぬ時、私は誰を選ぶだろうか。そんなことを考えた。 -
生きていることへの絶えることなき罪悪感。
宙ぶらりんのまま、それでも立ち止まることの許されない悲しみ。
諦めと期待のはざまの現実。
私、という存在。
この、手にしえないその理由。
どこへ向かうのか。
なんだ、これは。
鮮やかに痛い。 -
余命を宣告された男性。 昔の彼女。
「死」について考えさせられます。 -
婚約者のいる女性が余命わずかな元彼の突然の出現に戸惑い、死を意識した毎日を過ごす物語。賛否両論ある本ですが、私は好きです。末期がんに侵されたピアニストであり元恋人である男性がある日、医療者である自分の目の前に現れたら… まず普通ではありえない状況だからこそ、小説として楽しめた本でした。