花の生涯〈下〉 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396333522

作品紹介・あらすじ

なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?-米国総領事ハリスの嘆きは、同時に井伊直弼の嘆きでもあった。もはや世界の趨勢を止めることはできない。徒らに攘夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった…。腹心長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜に生きた直弼の波瀾の生涯を描く、不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 出身地が鹿児島なので、幕末を扱った小説となると薩長の視点から見てしまう事が多かった。ところが、今回は彦根藩主・井伊直弼。日本史では悪人として描かれ学習した記憶がある。大老となり不平等な日米通商条約を結び尊皇派志士らを多数投獄して処刑する安政の大獄を引き起こすからか、桜田門外で襲撃されても自業自得とばかり思っていた。
    直弼は十四男だったので藩主となることはないと、政治から遠ざかり埋木舎(うもれぎのや)と自ら名付けた邸宅で世捨て人のように暮らしていた。気楽に書を読み歌を詠み茶人としても大成したという。
    ところが思いがけず彦根藩主に祭り上げられ出府していくことになる。「人間はおのれの意思通りに歩いているつもりでも、いつのまにか時代の潮に行く手を決められてしまう」と言葉を残して~。その後、大老となり幕末の激流に呑み込まれ奔騰される運命をたどる。
    当時の世情から遅かれ早かれ誰かが開国をしなければならなかっただろう。たまたま直弼に白羽の矢が立ったと同情したくなった。武士よりも文人だった生い立ちを知れば知るほど、安政の大獄を断行した彼の胸中を思わずにいられない。
    ハリスが箱根関所を越える時の侍とのかけひきの様子や、ペリー艦隊からスパークリングワイン、アメリカの歴史書などの土産を、家来たちが気味わるく海中に捨てたりする記録も興味深かった。
    自分の国の歴史を知っているようで知らないことがあまりに多過ぎる。いかに知識でなく点数を取るために勉強していたかを思う。ああ、口惜しい!

    • しずくさん
      コメント、とても嬉しい!
      ええ、彦根へは行ってきましたよ。
      彦根城で直弼が30初めまで過ごしていた埋木舎を訪れ、管理人さんから「あきんど...
      コメント、とても嬉しい!
      ええ、彦根へは行ってきましたよ。
      彦根城で直弼が30初めまで過ごしていた埋木舎を訪れ、管理人さんから「あきんど」(幸田真音著)を勧められました。著者に苦手意識があるからか、小説はそれほどまでではありませんでしたが、彦根で出会った人々が親切な方々ばかりだったのは忘れられません。近江商人の心意気を思わずにいられません。
      2018/07/10
    • 地球っこさん
      近江商人の理念「三方よし」は、売り手よし、買い手よし、世間よしですから、
      しずくさんが満足してくださって何より。
      滋賀在住の地球っことし...
      近江商人の理念「三方よし」は、売り手よし、買い手よし、世間よしですから、
      しずくさんが満足してくださって何より。
      滋賀在住の地球っことしてはとても嬉しいです(*^^*)
      2018/07/10
    • しずくさん
      ええっ、そうだったのですか!?
      滋賀は和歌などで昔から憧れの地ー。
      自転車で早朝に廻った近江八幡の街並みも素敵でした。若い息子夫婦らとは...
      ええっ、そうだったのですか!?
      滋賀は和歌などで昔から憧れの地ー。
      自転車で早朝に廻った近江八幡の街並みも素敵でした。若い息子夫婦らとは年甲斐もなく『琵琶湖ジップライン』を楽しみました。
      夫と2人、更に一泊増やしたのですがもっとゆっくり観たかった・・・。
      2018/07/10
  • 這本書一開始引用唐人阿吉的橋段頗為有趣(這場愛情故事似乎是杜撰,但讓哈里斯的故事生色不少)。霸氣的大老一心一意要推動開國,和長野搭配地虎虎生風,不過被暗殺後卷末樹倒猢猻散的急寥感甚為糾心。

  • NHKの大河ドラマ第一作だったとは、知らずに読んでしまいました。

    井伊直弼は悪役ではないんですね。安政の大獄も、開国も別の視点で見ることができます。

    考えが合わないものは、法でさばかれずに、勝手に成敗される幕末はおそろしいと思いますが。論理がわかると、やり方はともかく、色々な知見は与えられますね。

  • 記念すべき大河ドラマ第1回の原作です。悪役として認知されている井伊直弼を、日本のため、敢えて憎まれ役に徹するヒーローとして描いています。歴史小説としてはあまりに物語的ですから好き嫌いはあるのかもしれません。

  • けっこうあっさりと井伊直弼さんは殺されてしまいました。

    最初から最後まで「たか女」さんがかなりの量で出てきたけど、結局彼女は何だったんだろ?
    男性からしたら美人でナイスバディで忘れられない女ってことみたいだけど、ちょっと作られた女性って感じが強くて共感できなかったなぁ…。
    彼女に共感できないと、彼女に惚れまくっているたくさんの登場人物にも共感できないので、そこが残念でした。

  • 期待はずれかなー。長野主膳の存在感が薄いし、ヒロインたか女の造形が掴みどころがない。井伊直弼もまぁ斬新な造形ではなかった。

  • 彦根などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

舟橋聖一(1904.12.25~1976.1.13)小説家、劇作家。1928年、東大国文科卒。大学在学中の26年、戯曲「白い腕」で注目され文壇に登場。32年から33年「都新聞」に連載した「白い蛇赤い蛇」で劇作家から小説家への転身をはたす。戦後は風俗小説の代表作家と目されるが、官能表現を耽美主義へと高めた純文学の佳作も多い。主な著書に『悉皆屋康吉』『雪夫人絵図』『芸者小夏』『ある女の遠景』『好きな女の胸飾り』等。

「2013年 『芸者小夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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